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[po.gif] 「日本におけるレンタサイクルの誕生と成長」
九州東海大学工学部長・教授 渡辺 千賀恵
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■ はじめに(駐輪問題について)
  • 駅前の歩道が自転車の路上放置によって埋め尽くされている。
  • 都市人口が多くなると駅に集まる自転車の数も多くなる。
  • 大都市と地方都市では、地域特性が異なる。今特に問題なのは、大都市型。
  • 大阪では、高槻市で最初に放置自転車が問題になり、無料の駐輪施設が整備された。
  • 駐輪場を無料にすると自転車利用を誘発する。行政の間では、「無料地帯は無法地帯」と言われている。
  • 放置自転車に関して、現在では3つのテクニック((1)放置禁止、(2)撤去+保管、(3)有料化)が使われている。(ただし、撤去には相当の労力が必要となる。)
  • 「有料化」に絡んで「レンタサイクル」という考え方が登場する。

■ 黄色い自転車(八日市市)
  • 1973年、日本で初の自転車都市宣言をした滋賀県の八日市市で、1975年、日本で初の無料の貸し自転車(当時「レンタサイクル」という言葉はなかった)が実施された。
  • 1回目(2年間)は100台、2回目は188台(1回目で残った88台+100台)で行われた。車体の耐用年数がきたことにより、試行は終了した。
■ 言葉「レンタサイクル」が登場
  • 1975年、運輸経済研究センターの報告書に、省エネ対策の一つとして「レンタサイクル」という言葉が登場した。
  • ただし、言葉だけが登場したもので、具体的なイメージは未検討であった。
■ 「貸し自転車」の分類
  • 「貸し自転車」は、大きく「行楽地型」と「都市型」に分けられる。通常、「レンタサイクル」というと、「都市型」の貸し自転車を指す。
  • 「都市型」は、さらに「元に戻すタイプの『レンタサイクル』」と「乗り捨てタイプの『シティサイクル(コミュニティサイクルとも呼ばれる)』」に分けられる。
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■ 都市型レンタサイクルの発想
  • 「自宅から駅への順利用」と「駅から職場・高校等への逆利用」により、1台の自転車を2台分に活かすことができる。
  • 都市型レンタサイクルを実施するには、「専用の駐輪場」、「統一規格の自転車」、「管理のための会員制度(会員証、磁気カード等)」が必要となる。
  • 都市型レンタサイクルがうまく機能すると、4つのメリット((1)駅に集まる台数を減らせる、(2)駐輪場の規模を小さくできる、(3)管理人[人件費]が不要である、C24時間いつでも利用できる)がある。
  • 1980年から10年間に、首都圏で少なくとも15駅に導入され、成功例、失敗例が蓄積されている。
■ 「実物」の出現(平塚駅)
  • 1980年、日本発のレンタサイクルが神奈川県の平塚駅で、建設省の委託事業としてスタートした。
  • 付近に無料駐輪場があったため、利用率[契約者数/自転車台数]は低迷(1984年:41%、1990年:52%)した。
  • 当時、新聞に「レンタサイクル方式は失敗だ」との記事が掲載されたこともあったが、アイデアを実現してみせたということで、平塚での意義は大きかった。
■ 初の成功例(上尾市)
  • 埼玉県の上尾市が初の成功例で、これにより日本でレンタサイクルが受け入れられたと言ってもいいと思う。
  • 3つの措置((1)駅前再開発で約7300台分の駐輪場を整備、(2)全駐輪場を有料性に、(3)レンタサイクル方式の導入)を一挙に行った。
  • 最初は100台で試行し、利用希望者が多かったため、320台で本格導入した。開業3年目で利用者数523人、利用率163%となった。
  • 成功の理由は、「有料化を先行していた」、「高校の協力で『逆利用客』を確保できた」ことである。
  • 上尾での意義は、「条件を整えば理想に近い成果を挙げうることを実証したこと」、「その後のレンタサイクルの普及に展望を与えたこと」と言える。
■ 発想を転換(大泉学園駅)
  • 1989年、「逆利用にこだわらず」に「区民に新しい足を」という新発想でレンタサイクル(500台)を導入した。
  • 1年後の実績は、順利用100%の状態で、区民に好評であった。
  • 大泉学園駅での意義は、「『レンタサイクル=順逆利用』という先入観を打ち破り、可能性を広げたこと」、「用地節約というメリットを実証したこと」と言える。
  • 現在、レンタサイクルを導入しようとしているところは、この論理(逆利用にこだわらないこと)で考えている場合が多い。
■ 「乗り捨て自由」への展開
  • RC方式は単独でも1つのシステムであるが、元に戻すことで利用圏が限定される。
  • もし、隣の駅にも同じRCを導入すれば、「(1)二つの駅間で自由に乗り捨てできる」、「(2)利用圏が一挙に広がる」、「(3)近距離用の新しい交通システムが誕生する」こととなる。
  • 「乗り捨て自由のレンタサイクル」は、「シティサイクルシステム(仙台市内での実験時の名称)」或いは「コミュニティサイクルシステム(練馬区内での実験時の名称)」と呼ばれる。
■ 「共用思想」の普及
  • 例えば、マンションを作るときに、あらかじめ「共用の自転車」が組み込まれている例がある。
  • 宇部市と地域振興整備公団が整備している「アストピア」という新都市では、電動自転車を使った試みが行われている。
■ RC、CCSの課題
  • 課題は、「複数サイズの自転車の採用」、「駐輪機や自転車の故障(管理する人が必要となる)」、「ビジネスとしての採算性(安価で耐久性のある駐輪機、需要を見積る方法)」が挙げられ、当面は、「社会実験等のデータの蓄積」、「入門テキストの作成」を行う必要がある。
■ 社会実験について
  • 大都市では、必要に迫られているので、ある程度自然発生的にレンタサイクルの需要が現れている。
  • 一方、地方部では、恐らく自然発生はしないと思う。何かを仕掛けてみてレンタサイクルについて認知してもらい、その後議論するというステップになると思う。その際、国土交通省の社会実験の制度を活用するとよい。
■ おわりに
  • レンタサイクルのシステムを導入すると、利用者を確認するためのカードが必要となる。カードは大きく分けて「磁気カード」と「ICカード」があるが、現段階では、基本的に磁気カードが採用されている。
  • 磁気カードは互換性がないので、CCSに発展する際に問題が生じる(ICカードは1本化できる可能性が高い)。CCSを導入する場合、カードの形態をどうするか?ということは、重要なテーマとなり、慎重に検討する必要がある。
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