瀬田川洗堰
瀬田川洗堰
川の流れをコントロールする

 琵琶湖の洪水を防ぐために、瀬田川の川底にたまった土砂を堀取る「川ざらえの工事」が昔から何度も行われてきました。それで、瀬田川の川底が深くなり、よりたくさんの水が流れるようになって、琵琶湖の洪水は少なくなりました。
 しかし、瀬田川の川の流れがよくなると、今度は下流の淀川が洪水を起こしやすくなってしまいました。また、長い間雨が降らないと、琵琶湖の水が少なくなって、水不足になったりします。


これを解決したのが、洗堰です。
洗堰の役目は、
  1. 大雨で琵琶湖の水の量が多いときには、たくさんの水を流す
  2. 雨不足で水の量が少なくなると、むだな水は流さない
  3. 上流と下流で洪水が起こらないように、水位調節する
 今の洗堰は二代目で、昭和36年(1961年)にでき、瀬田川洗堰(新洗堰)といいます。その前の初代は、明治38年(1905年)に完成した南郷洗堰(旧洗堰)で、新洗堰のそばに今もその一部が残っています。
 さらに、平成4年には瀬田川洗堰の横に、バイパス水路ができました。





電気で操作、開閉に30分ずつ
 洗堰で水の流れを調節する方法があります。水門を開け閉めするのです。水を少しだけ流す時は、水門を少しだけ開けておき、水を多く流す時は、水門を全開します。
 だから、この水門の開け閉めをすばやく行うことができれば、それだけ速く水の流れを調節できることになります。
 明治38年(1905年)にできた南郷洗堰(旧洗堰)は、大きな角材を人力で上げ下ろしして、水門の開閉をしました。そのために、洗堰の水門を全開するのには1日、全部閉めるには2日もかかりました。
 ところが昭和36年(1961年)にできた瀬田川洗堰(新洗堰)は、電気で水門を動かすようにしたので、全部の水門を開けるのに約30分、全部の水門を閉めるのも約30分でできるようになりました。ものすごくスピーディになりました。


洗堰がない頃を1としたら 流量は1秒間に50m3
▼南郷洗堰(旧洗堰)ができるまでは、川底にたまった土砂を掘り取る、川ざらえ工事もあまりできませんでした。ですから川底にたまった土砂で流れが悪くなり、大雨が降ると琵琶湖の周辺はよく水につかりました。

旧洗堰時代は4倍 流量は1秒間に200m3
▼明治38年に南郷洗堰(旧洗堰)が完成しました。明治42年の大がかりな川ざらえで、水の流れる量はいっきに堰がない頃の4倍になりました。

今の新洗堰では16倍 流量は1秒間に800m3
▼瀬田川洗堰(新洗堰)ができてパワーアップしました。洗堰がない頃に比べたら16倍も水が流れるようになって、家や道路や畑などが水につかることは少なくなりました。
水の流れ


どうしておこるの?
上流・下流の洪水
 昔から、琵琶湖や川のまわりに住む人々は、大雨が降るたびに、洪水に苦しんできました。琵琶湖の出口になるのは瀬田川1本だけで川の幅も狭く、川底にたまった土砂で川の流れが悪くなって、琵琶湖の水があふれて、周辺が水につかっていました。大雨で水位が上がった激しい川の流れは、堤防を越えて家や田畑を水浸しにしたり、ひどい時は、家を壊して流れたりしました。
 水につかるたびに、瀬田川の川ざらえをしていましたが、川ざらえをして川の流れがよくなると、下流が洪水になるおそれが出てきます。それで、「川ざらえをする・しない」で、上流に住む人と下流に住む人の対立もありました。でもそれも、琵琶湖の水位を調節できる洗堰の完成によって解決しました。


堰を開けたり閉めたりする順序
越流
大雨で宇治川、木津川、桂川、淀川の水位が上がると、洗堰は水門を半分開いて少し水を流します。
全閉
宇治川、木津川、桂川、淀川の水位が最高になると、下流が洪水にならないように洗堰は水門を閉めます。
全開
宇治川、木津川、桂川、淀川の水位が下がってくると、洗堰は水門を全開して水を流し、琵琶湖の水位を下げます。


どうしておこるの?
水不足
 下流の人々にとっては、琵琶湖から流れてくる水は生活に欠かせない大切なものだから、琵琶湖の水位がさがると水を利用できなくて困ります。瀬田川洗堰は、下流の人々の生活を守るために水不足の時は水門を閉めて水を節約します。でも、とても雨の少ない時は水不足になることもあります。


平成6年(1994年)の水不足で、琵琶湖の水位はものすごく下がり、いつもは水の中に浮かんでいた浮御堂の地面が見えています。

延勝寺付近はふだんは砂州でできた島がぽっこり湖面に浮かんで散らばっていましたが、水が少なくなって陸続きになりました。
琵琶湖流域平均雨量(mm)

ひどい水不足だった平成6年も不足していたことが分かります。いつもの年の約63%しか雨は降っていません。


恵まれた琵琶湖だからこそ大切にしたい

 琵琶湖に住む生物や美しい景色を守り、琵琶湖の水が汚れないようにしながら、洪水などの被害をなくし、琵琶湖を上手に利用しよう、というのが琵琶湖総合開発です。

 これまで紹介されてきた、瀬田川の川ざらえ工事や水質観測などもその一つです。他にも写真のようなものがあります。

 北湖では、豊かな自然の前浜が残っています。南湖にも、新たに木や花を植えた前浜がつくられました。

 琵琶湖の水位が下がっていても、水が確保できるように、沖には、飲み水などを汲み上げる施設もできました。

 琵琶湖の水位が上がっても、周囲が水につからないように、湖岸堤ができました。この堤防は普段は管理用の道路です。

 琵琶湖岸の港のつくりかえや、船の航路や停泊地の土砂を取って、水位が下がっても船が運航できるようにしました。

広々とした憩いの場「前浜」


取水施設


湖岸堤・管理用道路


川ざらえ
湖岸堤や排水ポンプで浸水をストップ
 琵琶湖の水位が上がると、周辺の土地の低いところでは、湖の水が逆流して水につかる被害が起きます。それで湖岸堤をつくり、湖と周辺との仕切をを高くしたり、周辺にたまった水をポンプで湖に送り返す装置もできました。
 平成7年5月にものすごい大雨が降り、琵琶湖の水位は1m近くも上がりましたが、湖岸堤や排水ポンプの働きで、水につかる面積が今までの約4分の1でおさまり、少ない被害ですみました。


バイパス水路で水の少ない時も調節OK
 瀬田川洗堰は、琵琶湖の水位がマイナス1m以下になると、正確な流量の調節はできませんでした。そこで、水位が下がっても、正確な水の量を流せるように、瀬田川洗堰の横にバイパス水路をつくりました。バイパス水路により今では、マイナス1.5mの水位まで琵琶湖の流量を調節し、水が利用できるようになりました。



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