洗堰・水位管理に関するお問い合わせと回答

項目内容
問い合わせ日平成18年7月18日
住所(府県)愛知県
タイトル堰の放水量について意見があります。
問い合わせ内容

堰の目的については治水、利水などであることをHPを通じて一応理解しているつもりですが、漁業資源確保、在来魚をはじめとした在来生物や在来水生植物の保護の観点から、極端な放水量の増減を控えていただきたいと思います。例えば、四月下旬に全開放水を行いますと、南湖では北湖からの冷たい水が流入し、一気に水温が2〜3度低下します。私の簡単な計算では全開放水を行なうと、琵琶湖大橋より南のいわゆる南湖の水は丸四日で入れ替わることになります。

このような人為的行為による急激な水温や水質の変化は、在来の生物にとって好ましい生存環境を作っているとは言い難いです。結果、環境変化に強い外来魚など、外来生物が生き残る率が高くなるということは考えられませんか?

また、ここ数年の傾向として放水の変化が急激すぎはしないかと思います。基準水位を目安に調整されているのでしょうが、例えば、一日目20トン、二日目250トン、三日目700トン、四日目50トン、五日目15トン、といった具合です。ご存じと思いますが、700トン放水のときには堅田付近のエリが倒れるほどの潮流が発生します。在来種の産卵と重なった場合、卵が流されてしまうことが考えられますし、浅瀬に産み付けられた卵が孵化する前に干上がる可能性も否定できません。

琵琶湖の水は京阪神に利水権があるようで、また治水の点でも難しいかもしれませんが、過去の雨量などのデータを元に、年間を通じて50〜100トン程度の安定した放水量にすることはできないものでしょうか?

そもそも琵琶湖はダム湖ではありません。現在の琵琶湖の水位の増減は毎年1メートルを越え、まるでダム湖のようではありませんか。これでは、古代から琵琶湖に生息してきた在来生物は、たまったものではないのではありませんか? できるだけ琵琶湖の在来生物にとって優しい、自然な放水の方法について、研究、検討をしていただきたいと思い、メールをさせていただいた次第です。よろしくお願いいたします。

また、願わくは見解をお聞かせいただきたいと思います。

問い合わせ日平成18年7月31日
タイトル意見
問い合わせ内容

お願いですから、もう全開放流はやめてください。
湖の環境が変わりすぎてしまいます。
これから、渇水期になりますし。

回答日平成18年8月1日
回答

琵琶湖河川事務所です。回答が遅くなり、申し訳ありませんでした。

以下、質問に回答させていただきます。

お問い合せの洗堰の放流量の件ですが、全開放流などの場合、琵琶湖の自然環境への影響が懸念されます。

しかし、ご指摘の「年間を通じて50〜100t程度の安定した放流量にすることは出来ないでしょうか」につきましては、「治水上の面から出来ない」との返答になります。

理由としましては、大規模な洪水時には琵琶湖流入支川から何千tもの流量が琵琶湖に流れこみますので、その時に100t程度の放流だけでは、琵琶湖の水位上昇が加速し琵琶湖流域で浸水被害を増長させることになるからです。

このような大規模な出水が発生した場合には、琵琶湖からの放流量を出来るだけ大きくするために、天ヶ瀬ダムと調整を図りながら、瀬田川洗堰で全開放流を行うことが必要になります。

なお、現在の降雨予測の精度はまだ低く、翌日の予測雨量しか参考にできない状況になっており、場合によってはやむなく急速に放流量を変更する場合もあります。

琵琶湖河川事務所では、旧洗堰を明治38年に設置してから今日至るまで約100年間、瀬田川洗堰において、洪水時には洪水防御のための水位操作、渇水時には適正な下流用水補給を行い、治水・利水に配慮した操作を行ってきました。現在の生態系はこの100年間に培われたものであると考えられます。

しかし、平成4年に瀬田川洗堰操作規則が策定され、琵琶湖水位を洪水制限水位(6月16日〜10月15日)に移行する時に、5月中旬から1ヶ月程度の間に約50cm、急激に水位を下げることが、琵琶湖の生態系に影響を及ぼしていると学識経験者等から指摘を受けております。

これらの新しい知見を得るため、平成15年から水位操作が自然環境に及ぼす影響を出来る限り小さくすることを目的に、生態系に配慮した水位操作を試行的(詳しくは、 琵琶湖河川事務所Webサイト内 pdf記者発表資料 を参照) に行うとともに、琵琶湖岸でモニタリングして計測することにより、その結果をフィードバックし、より適切な水位操作のありかたを検討しているところです。

なお、モニタリング調査の結果、魚卵の干出はありますが、卵が流されたことは確認されておりません。

返答日平成18年8月1日
タイトル意見
返答

ご丁寧にご回答いただき、ありがとうございました。