洗堰・水位管理に関するお問い合わせと回答

項目内容
問い合わせ日平成18年7月22日
住所(府県)滋賀県
タイトル全開放流と降雨量と水位の関係について
問い合わせ内容

最近の5〜6日の琵琶湖の水位は、全開放流にもかかわらず、毎日上がっているようです。(7月22日6時で+50センチ) 全開放流でも、どれくらいの降雨量で、水位は下がらずに、上がりますか? 全開放流より、もっと沢山流す放流のやり方はありますか? 全開放流で、水位が2.5メータになるのにはどれくらいの降雨量が必要ですか? お教えください。

回答日平成18年7月31日
回答

琵琶湖河川事務所です。お問い合わせありがとうございます。回答作成に時間がかかり、申し訳ありませんでした。以下、ご質問に回答させていただきます。

<全開放流でも、どれくらいの降雨量で、水位は下がらずに、上がりますか?>

琵琶湖の水位の上昇・下降は、琵琶湖からの総流出量(琵琶湖から出て行く量)と流入量の関係で決まります。降雨による水位上昇は、湖面に降った雨はそのまま琵琶湖への流入量となり、琵琶湖周辺に降った雨は河川等を通じて徐々に琵琶湖に流入してきます。琵琶湖からの総流出量より流入量が多くなった時から総流出量と等しくなるまで琵琶湖の水位は上昇します。この水位が上昇している間の降雨は、全て水位上昇に影響を与えます。流入量が減少し総流出量より少なくなると水位は下降することになります。この水位が下降している時の降雨で水位が上昇するか、継続して下降するかは降雨時の琵琶湖への流入量により変わってくるため、降雨量では一概に言えません。

たとえば、下記の1.2.と降雨後の流入量が200m³/s程度の場合には、30mm程度の降雨で水位は上昇又は横ばいになります。

  1. 洗堰全開時の放流量は琵琶湖の水位や大戸川の合流量により変わりますが、現在の放流量は700m³/s程度と推定されます。宇治発電所と琵琶湖疏水を合わせますと約760m³/sとなります。
    琵琶湖の湖面積から計算しますと、琵琶湖への流入量が0m³/sの場合、80m³/s放流を1日行なうと、琵琶湖水位は約1cm下がります。(760m³/s放流の場合、約10cm)
  2. 琵琶湖に30mm程度の降雨があれば、琵琶湖の水位は10cm程度上昇すると言われています。
    降雨量×琵琶湖の流域面積/湖面積×流出率
    30mm× 6 × 0.5 =90mm 約10cm

<全開放流より、もっと沢山流す放流のやり方はありますか?>

瀬田川洗堰を全開にすると、瀬田川は他の河川と同様自然の流れとなります。したがいまして、これ以上の放流はありません。

<全開放流で、水位が2.5メータになるのにはどれくらいの降雨量が必要ですか?お教えください。>

琵琶湖水位2.5mとなる降雨状況での洗堰全開放流は考えられません。(下流宇治川・淀川の洪水流量低減のため全開操作あり。)ちなみに、2.5mまで上昇することを想定した琵琶湖浸水想定区域は、明治29年9月の洪水を対象として、現在の河道条件で計算しています。

この洪水の雨量は、以下のとおりです。

期間:明治29年9月3日〜10日(8日間)

  • 大津     417.9mm
  • 草津     423.4mm
  • 水口     616.4mm
  • 愛知川  776.8mm
  • 山上   1022.0mm (現在の東近江市永源寺付近)
  • 彦根   1007.7mm
  • 木之本  750.9mm

(以上、琵琶湖治水沿革誌より)