洗堰・水位管理に関するお問い合わせと回答

項目内容
問い合わせ日平成19年3月27日
住所(府県) 
タイトル琵琶湖沿岸の浸水被害について
問い合わせ内容

私達は今、琵琶湖沿岸の浸水被害について勉強中なのですが、門外漢の集まりのため、よく分からない事が色々あります。ご多用中恐れ入りますが、下記の点についてお教え願います。

第20回淀川水系流域委員会(H15.4.21) 資料3-3「天ヶ瀬ダム再開発計画の見直し案説明資料」の中の*p8(上段)の「浸水被害の状況(平成7年5月洪水)」と題するパワーポイントについて。

(問1)

大同川排水機場周辺の湛水状況を示す写真が示されていますが、琵琶湖最大のこの排水機場の周辺がこのように湛水した原因は何だったのでしょうか?

(問2)

「淡海よ永遠に」に由りますと、琵琶湖開発事業での内水排除の検討においては、湛水深30cm以上の発生を回避することを図ったようですが、この写真の中で30cm以上に湛水している所はどの程度あるのでしょうか?

(問3)

栗見新田、栗見出在家の集落が写っていますが、これらの集落では床上浸水・床下浸水があったのでしょうか?

(問4)

琵琶湖開発事業計画が想定している状況(琵琶湖水位=+80cm、瀬田川下流疎通能力1500m³/s)の場合は、この地域での湛水は殆んど発生しないことになるのでしょうか?

以上、よろしくお願い致します。

回答日平成19年3月28日
回答

お問い合わせいただき、ありがとうございます。ご質問につきまして、以下のとおり回答いたします。なお、文書では十分伝わりにくいかと思います。事務所にお越しいただければご説明いたしますので、よろしければ、ご連絡下さい。

(回答1)

内水排除ポンプの能力がとてつもなく大きなものであれば、洪水時には速やかにゲートを閉めて排水ポンプを運転することによって、堤内地の浸水を防ぐことが出来ます。しかし、ポンプの能力を大きくすれば、機械の設置費用や維持管理費用もそれだけ多額となります。琵琶湖開発事業で整備した内水排除ポンプは、他の河川での内水対策の水準も考慮して、琵琶湖の水位が+80cm(30年に一度発生する確率の水位)となって堤内地が浸水した時に、その地域の湛水深を速やかに30cm以下に低下させる(稲に被害を発生させない)能力としています。

琵琶湖開発事業による治水対策は、(1)迎洪水位を低くすることによって、洪水時の琵琶湖水位を低減させること、(2)浸水した地域の湛水時間を大幅に短縮させること(内水排除)にあり、浸水を防ぐ完全治水とは異なります。

大同川排水機場は、最大のポンプ能力を有していますが、考え方は同じです。洪水の内水排除施設の操作は、流域からの流出量が多いときは、樋門を開け自然排水し、琵琶湖の水位が内水位よりも高くなり逆流する恐れがあるときには、樋門を閉め、ポンプを稼動させることとされております。写真は、平成7年5月13日に撮影されており、この日からポンプを稼動していますので、琵琶湖水位と内水位がほぼ同じとなり浸水しています。

図以上のように、この洪水においては、琵琶湖水位が上昇したことが浸水の原因となりますが、右図に示しますように、排水ポンプによって、湛水時間を大幅に短縮させる効果を発揮しています。

なお、琵琶湖開発事業における内水排除施設設置の考え方について、「淡海よ永遠に」の記載内容をとりまとめたものを添付します。

(回答2)

この写真が撮影されたのは、平成7年5月13日で、大同川排水機場流域の内水位のピークはB.S.L.+70cm程度でした。

当時の調査結果では確認できておりませんが、現在持ちうる情報で判断しますと、この地域の農地の地盤高においては、ごく一部にB.S.L.+50cmを下回る箇所があります。その場所においては、30cm程度浸水した恐れがあります。

(回答3)

当時の調査記録によりますと、この流域での住家浸水は確認されておりません。

(回答4)

(回答1)でご説明したとおり、現在計画している施設が完成した状態においても、琵琶湖の水位がB.S.L.+80cmまで上昇するような降雨では、湛水が発生しなくなるということではありません。

*いただいた御質問ではp5となっていましたが、当該資料はp8と判断しましたので、事務所で変更しました。