(わ)き出(い)ずる
  御手洗(みたらし)の水(みず)
    田中(たなか)より
和知町下粟野
和知町下粟野の田のまん中に、御手洗の水という、年中枯れることもなく、濁ることもない清水が湧いている。近くの阿上三所神社の神事に使い、祭の前の浄めの水であり、生活用水でもあることから、ほ場整備の際にもそのまま残された。最近では、美味しい水として遠方からも汲みに来る人がいる。

カヌー漕(こ)
  立岩迫(たちいわせま)
    渓谷美(けいこくび)

綾部市上原町
立岩は綾部市上原町、由良川左岸にそびえる高さ20m、周囲40mの巨岩である。頂には数本の松が生えており、道行く人を魅了する。京都の風流人、一鶴翁はこの奇勝を愛で「阿々惜しや和知の 河原の崖の間に 衛門正しく孤り立つ岩」と詠んだ歌碑を夜久野石に自刻し、路傍に建てた。歌碑は現在、バス停・立岩の広場に移設されている。立岩周辺の淵はカヌー愛好家の格好のフィールドとなっており、シーズンになると鮎釣りとともに賑わう。
養老水(ようろうすい)
  茶(ちゃ)の湯(ゆ)によしと
    お殿様(とのさま)
福知山市長田段
養老水は福知山市長田段の長田野丘陵の崖下にある湧水。福知山藩主第六代朽木綱貞によって名づけられたといわれ、綱貞は茶の湯に好んで用いた。近くに京街道の絵堂(えど)ヶ坂があり、旅人の喉をうるおし、江戸に上る参勤交代の武将もここで水を補給したと伝える。かたわらに水神を祀った祠や地方風流人の歌碑が建つ。近年は水量は減ったが、どんな干ばつでも枯れたことがないという。周辺は現在、養老水公園として整備され、市のツツジの名所としても知られる。

段丘(だんきゅう)
  水(みず)をめぐらす
    子来井根(ねごろいね)

和知町篠原、市場ほか
由良川の中流・上流には河岸段丘が発達し、流域独自の景観をもたらしている。安永9年(1780)、船井郡市場村(現・和知町市場)出身の川勝善五郎などが上和知川の水を下粟野で引き、下乙見、篠原、市場を経て升谷、大倉まで通す延長7,200mの水路を開削し、段丘面の荒地30町歩余を新田開発した。この年が庚子であったため、水路を子来井根、新田を子来新田という。天保10年(1839)建立の開墾記念碑「子来成就塔」が市場の南の稲荷神社の境内にある。