琴滝(ことたき)
  奏(かな)でる調(しら)
    谷(たに)に満(み)
丹波町市森
琴滝は丹波町市森にある高さ約43m、幅約22mの京都府内最大級の滝。巨大なチャートの一枚岩を水が数十条に分かれて流れ落ちる。この様子が琴のようであり、水の音が琴の調べに似ることから、寛延年間(1748〜1751)、亀山藩主松平紀伊守が琴滝と名づけたという。古くは市森の滝、棚見の滝とよばれ、「今昔物語」には棚波ノ滝としてみえる。上流はため池となっており、藩主の滝見の時には水量を加減して滝の見映えをよくしたと伝える。「京都の自然200選」の一つ。

(えら)びぬき
  大納言(だいなごん)なる
    小豆出(あずきい)

春日町東中
春日町東中は全国一の大納言小豆の産地として名高い。大納言小豆は京菓子の原料として用いられる最高級の小豆。大粒で色つや、風味ともによい。宝永2年(1705)より将軍家に献上し、煮ても腹割れしないことから大納言小豆(江戸城中で大納言は太刀を抜いても腹を切らずにすむ)と名づけ特産としたと伝え、東中に発祥之地の記念碑が建つ。黒豆と同様、流域の深い霧の発生が大納言小豆を育ててきた。
手品(てじな)かな
  七木(ななき)が宿(やど)
    仏主(ほどす)の地(ち)
和知町仏主
和知町仏主の長老ヶ岳(916.9m)の西麓、権現谷に幹周7.35m、樹高11mのカツラの巨木がある。このカツラにスギ、ケヤキ、フジ、カヤ、イロハモミジ、イタヤカエデの6種類の木が共生し一本の木のようになっており、「七色の木」と総称している。権現谷周辺は昔から神聖な場所であり、すべての木が神木とされ、木を伐採すると祟りがあると信じられてきた。谷の奥には権現の滝があり、七色の木の手前には竜神大権現を祀る祠がある。「京都の自然200選」の一つ。

網音(あみおと)
  立(た)ててならじと
    音無瀬(おとなせ)

福知山市
福知山では由良川をとくに音無瀬川とよぶ。綾部市味方町から大江町河守までの間が松尾神社(福知山市土)に供える贄魚をとるための禁漁区となっており、一般の者が網を入れられず静かな川であったから名づけられたという。また、丹波に天降り国を開いた音無瀬媛にちなむという説もある。なお、由良川中流の音無瀬川に対し、味方より上流を和知川、河守より下流を小久保川(大芋川、大雲川)といった。福知山市上柳町と猪崎の間にアーチ状の音無瀬橋が架かる。