(みなみ)する
  流(なが)れの名残(なご)
    オヤニラミ
美山町
オヤニラミはスズキ科の日本固有種の魚。エラの後方に目のような斑紋があり、二つの目でにらみつけているように見える。本州の京都府以西、九州の福岡県、熊本県の清流に生息。個体数は激減しており、美山町にわずかながら残る。主に太平洋側の河川に棲むが、氷上町や日吉町の太平洋側河川との分水界の形成過程で由良川水系に移ってきたと考えられている。なお、日本海側の魚で氷上町の加古川上流に棲むものとしてトゲウオがいたが、同町のトゲウオはすでに絶滅した。

(し)らぬ間(ま)
  流(なが)れを変(か)える
    水分(みずわ)かれ

氷上町、日吉町ほか
雨水の流れる方向を分ける分水界のなかでも、尾根などの明確な境界でなく台地など平坦な場所にあるものを谷中(こくちゅう)分水界という。由良川流域には太古からの流れの奪い合い(河川争奪)をくり返した結果、少なくとも6つの谷中分水界がある。このうち4つ(日吉町胡麻、篠山市栗柄、氷上町石生、夜久野町平野)が日本海側と太平洋側の水系を分ける本州の中央分水界である。氷上町石生の分水界は標高95mと日本一低く、水分かれ公園が整備されている。
(え)のごとく
  大河(たいが)に映(は)える
    八雲橋(やくもばし)
舞鶴市中山、丸田
八雲橋は由良川河口に近い、舞鶴市中山と丸田を結ぶ吊り橋。両岸の山の緑と由良川の静かな流れに橋桁の色彩が映える。長さ115m、幅5m。昭和29年(1954)架橋。「橋はたわむもの」という考えをもとに、加わった力を橋の真ん中に落ち着かせる、新しい構造理論を国内で初めて採用した橋として、完成当初は全国の注目を集めた。付近には古くから中山の渡しがあり、近世に入って木橋が架けられたが、増水による流失をくり返した。

(ひ)える朝(あさ)
  三岳(みたけ)の眼下(がんか)
    雲(くも)の海(うみ)

福知山市喜多
福知山市三岳山や大江町大江山は雲海の名所である。雲海は層積雲や積雲が低くたなびいた時に、高山から斜めに見下ろすと雲が重なり合って水平線まで一面に雲に埋め尽くされたように見える現象である。大気の下層の湿度が高く、上空2km付近に逆転層があると発生する。風がない、気温が下がる、よく晴れている、の3条件が必要で、低気圧が通過し、雨が降ったあと移動性高気圧に覆われ、放射冷却現象が起こった場合に、独立した高山から見ることができる。