
福井県では、九頭竜川流域内で昭和20年代以降において表2.2.2に示す河川改修を実施し、当初の計画でひとまず完了した。そのうちから、市町村史に記載されている、地域にとって重要な河川改修を取り上げて、その概要について記すこととする。
(1) 和田川
宮崎村の陶の谷地区を流れる和田川は、20数ヵ所も屈曲していたうえに、堤防にオナゴダケ・ササ・ススキなどが密生し、その間にはネムノキ・ヌルデ・スギ・ケヤキなどが生育し、それにフジやクズが絡み川の中に垂れ下がっていた。そのため、梅雨期や台風期に豪雨ともなると、堤防の低くて川幅が狭いところでは、しばしば決壊して大きな被害をもたらしていた。
それを、昭和29年(1954)の陶の谷地区土地改良事業によって、全面改修することとなり、流れが直線に近くなった。
(※ 宮崎町広報「みやざき 昭和29年7号」)
(1) 和田川
宮崎村の陶の谷地区を流れる和田川は、20数ヵ所も屈曲していたうえに、堤防にオナゴダケ・ササ・ススキなどが密生し、その間にはネムノキ・ヌルデ・スギ・ケヤキなどが生育し、それにフジやクズが絡み川の中に垂れ下がっていた。そのため、梅雨期や台風期に豪雨ともなると、堤防の低くて川幅が狭いところでは、しばしば決壊して大きな被害をもたらしていた。
それを、昭和29年(1954)の陶の谷地区土地改良事業によって、全面改修することとなり、流れが直線に近くなった。
(※ 宮崎町広報「みやざき 昭和29年7号」)

(2) 志津川
志津川は、その源を福井市白滝地区に源を発し、旧志津地区を貫流して小羽・三留付近から屈曲しながら竹生・和田区を通り清水区で日野川に注いでいる。その延長は17.6kmであり、清水町の20地区の水田を潤し、旧石高1万石を灌漑し、また生活用水として広く利用されている。
志津川は、屈曲が多くて水の流れが停滞し、少しの雨にも下流一帯に泥水が氾濫して、一面湖のように冠水するので水害が絶えなかった。
昭和元年(1925)に下天下・和田・片粕・清水区の有志が協議して、河川改修と堤防構築を県と国に陳情し、6割補助、4割地元負担という高率の助成を得ることとなった。こうして工事に着手し、7年間という長い年月を費やし、昭和8年(1933)6月に竣工をみるに至った。工事費は27万円であった。(※清水町史下巻 p.571~575)
志津川は、その源を福井市白滝地区に源を発し、旧志津地区を貫流して小羽・三留付近から屈曲しながら竹生・和田区を通り清水区で日野川に注いでいる。その延長は17.6kmであり、清水町の20地区の水田を潤し、旧石高1万石を灌漑し、また生活用水として広く利用されている。
志津川は、屈曲が多くて水の流れが停滞し、少しの雨にも下流一帯に泥水が氾濫して、一面湖のように冠水するので水害が絶えなかった。
昭和元年(1925)に下天下・和田・片粕・清水区の有志が協議して、河川改修と堤防構築を県と国に陳情し、6割補助、4割地元負担という高率の助成を得ることとなった。こうして工事に着手し、7年間という長い年月を費やし、昭和8年(1933)6月に竣工をみるに至った。工事費は27万円であった。(※清水町史下巻 p.571~575)
(3) 赤根川
赤根川の改修は昭和5年(1930)に着手し、昭和28年(1953)度まで継続して実施された。工事区間は、大野郡乾側村矢村(現大野市)地係りより上流、小山村下黒谷(現大野市)までの延長4,140mで、築堤工事を実施した。総工費は17,089千円であった。
(4) 田島川
田島川は、明治始めまでは三国港と丸岡町を結ぶ唯一の舟運路としての役割を有し、米や海産物等の生活物資の運送路に利用されていた。しかし、屈曲が多く、永年の間十分管理されていなかったため、降雨が続けば洪水が生じ田畑が冠水し、大きな被害を受けていた。このため、この地域では、田島川の改修が永年の願いであった。
昭和23年(1948)6月の福井地震は、この地方を壊滅的な状態にした。全く荒廃した状況であり、この機会に是非とも田島川を改修しようという気運が大いに高まり、旧1町5ヵ村の関係者が集まり改修促進期成同盟会を結成し、田島川沿岸土地改良区を設立した。そして、県および国に陳情を重ね、昭和25年(1950)に総工費9,700余万円をもって、延長8,074m余の区間を対象として工事に着手し、4ヵ年の年月を費やして昭和28年(1953)3月に完成した。(※坂井町誌 p.1091~1092)
(5) 吉野瀬川
昭和25年(1950度から日野川合流点より上流の延長8.9kmを対象に、総工費13,690万円で着手し、昭和30年(1955)12月末までに半ばを完成した。
なお、表2.2.2は、昭和54年(1979)度までに完成した河川改修工事の一覧を、福井県土木史を基にして作成したものである。
流域面積や計画高水流量などに、現在の計画と差異がみられるが、これは流域変更や土地利用形態の変化、計画にあたっての降雨量、流出係数等がデータの蓄積等によって変更されたためである。
赤根川の改修は昭和5年(1930)に着手し、昭和28年(1953)度まで継続して実施された。工事区間は、大野郡乾側村矢村(現大野市)地係りより上流、小山村下黒谷(現大野市)までの延長4,140mで、築堤工事を実施した。総工費は17,089千円であった。
(4) 田島川
田島川は、明治始めまでは三国港と丸岡町を結ぶ唯一の舟運路としての役割を有し、米や海産物等の生活物資の運送路に利用されていた。しかし、屈曲が多く、永年の間十分管理されていなかったため、降雨が続けば洪水が生じ田畑が冠水し、大きな被害を受けていた。このため、この地域では、田島川の改修が永年の願いであった。
昭和23年(1948)6月の福井地震は、この地方を壊滅的な状態にした。全く荒廃した状況であり、この機会に是非とも田島川を改修しようという気運が大いに高まり、旧1町5ヵ村の関係者が集まり改修促進期成同盟会を結成し、田島川沿岸土地改良区を設立した。そして、県および国に陳情を重ね、昭和25年(1950)に総工費9,700余万円をもって、延長8,074m余の区間を対象として工事に着手し、4ヵ年の年月を費やして昭和28年(1953)3月に完成した。(※坂井町誌 p.1091~1092)
(5) 吉野瀬川
昭和25年(1950度から日野川合流点より上流の延長8.9kmを対象に、総工費13,690万円で着手し、昭和30年(1955)12月末までに半ばを完成した。
なお、表2.2.2は、昭和54年(1979)度までに完成した河川改修工事の一覧を、福井県土木史を基にして作成したものである。
流域面積や計画高水流量などに、現在の計画と差異がみられるが、これは流域変更や土地利用形態の変化、計画にあたっての降雨量、流出係数等がデータの蓄積等によって変更されたためである。
表2.2.2 福井県管理河川の改修経緯一覧
横にスクロールできます
合流 河川名 |
河川名 | 改修区間 市町村名 |
事業区分 | 上流端 | 下流端 | 着工年 | 完成年 | 延長(m) | 計画降雨量 (mm/hr) |
流域面積 (km2) |
計画高水流量 (m3/s) |
真名川 | 清滝川 | 大野市 | 中小河川 | 稲郷 | 東大月 | S.21. | S.39. | 8,527 | 不明 | 30.4 | 135 |
鞍谷川 | 河和田川 | 鯖江市 | 中小河川 | 落井 | 北中 | S.21. | S.32. | 5,500 | 不明 | 28.8 | 114 |
足羽川 | 荒川 | 福井市 | 中小河川 | 原目 | 豊島中 | S.22. | S.25. | 7,400 | 不明 | 31.0 | 124 |
九頭竜川 | 竹田川 | 丸岡町、 三国町 |
中小河川 | 丸岡町 坪江 |
三国町 | S.25. | S.37. | 16,730 | 不明 | 211.5 | 454 |
日野川 | 吉野瀬川 | 武生市 | 中小河川 | 鳥井 | 広瀬 | S.25. | S.38. | 8,925 | 不明 | 54.0 | 253 |
日野川 | 足羽川 | 福井市 | 中小河川 | 豊島中 | 大瀬 | S.26. | S.38. | 2,560 | 不明 | 437.2 | 890 |
日野川 | 江端川 | 福井市 | 中小河川 | 生部 | 南江守 | S.33. | S.43. | 9,300 | 23.4 | 44.3 | 120 |
九頭竜川 | 日野川 | 南条町 | 中小河川 | - | - | S.41. | S.48. | 1,380 | 59.6 | 200.9 | 1,030 |
日野川 | 足羽川 | 福井市 | 中小河川 | 板垣町 | 大瀬 | S.49. | 4,460 | 不明 | 437.2 | 1,800 | |
天王川 | 和田川 | 朝日町 | 小規模河川 | 気比庄 | 佐々生 | S.34. | S.43. | 4,320 | 12.4 | 不明 | 59 |
日野川 | 天王川 | 朝日町 | 小規模河川 | 宝泉寺 | 合流点 | S.35. | S.42. | 4,225 | 23.0 | 108.0 | 480 |
竹田川 | 熊坂川 | 金津町 | 小規模河川 | 笹岡 | 矢地 | S.36. | S.50. | 2,800 | 44.0 | 6.2 | 50 |
日野川 | 志津川 | 清水町 | 小規模河川 | 上天下 | 清水 | S.36. | S.47. | 4,214 | 25.0 | 25.4 | 115 |
九頭竜川 | 片川 | 三国町 | 小規模河川 | 山岸 | 西中野 | S.37. | S.45. | 1,685 | 35.0 | 2.5 | 11.8 |
竹田川 | 権世川 | 金津町 | 小規模河川 | - | - | S.42. | S.53. | 1,300 | 不明 | 21.6 | 300 |
竹田川 | 兵庫川 | 丸岡町 | 小規模河川 | - | - | S.42. | S.48. | 不明 | 42.0 | 8.4 | 70 |
日野川 | 清水川 | 南条町、 武生市 |
小規模河川 | 南条町 脇本 |
武生市 中平吹 |
S.43. | S.49. | 1,920 | 不明 | 不明 | 不明 |
日野川 | 清水川 | 南条町 | 小規模河川 | - | - | S.45. | S.47. | 2,110 | 不明 | 不明 | 不明 |
九頭竜川 | 五領川 | 松岡町 | 小規模河川 | 領家 | 樋爪 | S.44. | S.50. | 不明 | 59.7 | 10.0 | 130 |
日野川 | 底喰川 | 福井市 | 小規模河川 | - | - | S.46. | S.53. | 1,000 | 不明 | 12.8 | 10.5 |
真名川 | 内川 | 大野市 | 小規模河川 | - | - | S.47. | S.49. | 1,060 | 61.0 | 5.6 | 60 |
参考資料
九頭竜川-直轄事業のあゆみ- 平成3年3月 建設省福井工事事務所
九頭竜川災害復旧工事誌 昭和28年4月 建設省福井工事事務所
九頭竜川流域の概要 昭和56年3月 建設省福井工事事務所
福井県史
福井県土木史 昭和58年5月 編集・発行: 福井県建設技術協会
吉田郡誌 昭和47年11月 編者:福井県吉田郡役所 発行:名著出版
坂井郡誌 昭和47年11月 編者:福井県坂井郡教育会 発行:名著出版
福井県丹生郡誌 昭和54年11月 著者:丹生郡誌編集委員会
発行:大和学芸図書㈱
九頭竜川の治山治水調査に関する報告ー書簡,要旨,付記ー 昭和41年2月
科学技術庁資源調査会報告 第37号
九頭竜川の治山治水調査に関する報告 昭和41年2月
科学技術庁資源調査会報告 第37号
九頭竜川の治山治水調査に関する報告ー各論ⅠⅡ,Ⅲー 昭和41年2月
科学技術庁資源調査会報告 第37号
九頭竜川の治山治水調査に関する報告ー各論Ⅳー 昭和41年2月
科学技術庁資源調査会報告 第37号
九頭竜川流域の水害地形と土地利用 昭和43年(1968)
科学技術庁資源調査所資料 第37号
新修福井市史 Ⅰ 昭和45年4月 編纂:福井市史編さん委員会 発行:福井市
新修福井市史 Ⅱ 昭和51年9月 編纂:福井市史編さん委員会 発行:福井市
清水町史下巻 昭和54年12月 編集:清水町史編さん委員会
発行:清水町教育委員会
西藤島村史 昭和46年3月 著者:野村英一 発行所:福井市西藤島公民館
麻生津村誌 昭和54年3月 編集・発行:麻生津村誌編纂委員会
その他関係市町村史
越前三大川沿革図 松平文庫蔵 福井県立図書館保管
堤防-暴れ川、 九頭竜を制した男たち- 平成10年1月 著者:毛利権一
街道をゆく 18 越前諸道 昭和62年2月 著者:司馬遼太郎 発行:朝日新聞社
川の生活誌 -そのめぐみと恐れ- 平成3年4月 福井県立博物館
九頭竜川-直轄事業のあゆみ- 平成3年3月 建設省福井工事事務所
九頭竜川災害復旧工事誌 昭和28年4月 建設省福井工事事務所
九頭竜川流域の概要 昭和56年3月 建設省福井工事事務所
福井県史
福井県土木史 昭和58年5月 編集・発行: 福井県建設技術協会
吉田郡誌 昭和47年11月 編者:福井県吉田郡役所 発行:名著出版
坂井郡誌 昭和47年11月 編者:福井県坂井郡教育会 発行:名著出版
福井県丹生郡誌 昭和54年11月 著者:丹生郡誌編集委員会
発行:大和学芸図書㈱
九頭竜川の治山治水調査に関する報告ー書簡,要旨,付記ー 昭和41年2月
科学技術庁資源調査会報告 第37号
九頭竜川の治山治水調査に関する報告 昭和41年2月
科学技術庁資源調査会報告 第37号
九頭竜川の治山治水調査に関する報告ー各論ⅠⅡ,Ⅲー 昭和41年2月
科学技術庁資源調査会報告 第37号
九頭竜川の治山治水調査に関する報告ー各論Ⅳー 昭和41年2月
科学技術庁資源調査会報告 第37号
九頭竜川流域の水害地形と土地利用 昭和43年(1968)
科学技術庁資源調査所資料 第37号
新修福井市史 Ⅰ 昭和45年4月 編纂:福井市史編さん委員会 発行:福井市
新修福井市史 Ⅱ 昭和51年9月 編纂:福井市史編さん委員会 発行:福井市
清水町史下巻 昭和54年12月 編集:清水町史編さん委員会
発行:清水町教育委員会
西藤島村史 昭和46年3月 著者:野村英一 発行所:福井市西藤島公民館
麻生津村誌 昭和54年3月 編集・発行:麻生津村誌編纂委員会
その他関係市町村史
越前三大川沿革図 松平文庫蔵 福井県立図書館保管
堤防-暴れ川、 九頭竜を制した男たち- 平成10年1月 著者:毛利権一
街道をゆく 18 越前諸道 昭和62年2月 著者:司馬遼太郎 発行:朝日新聞社
川の生活誌 -そのめぐみと恐れ- 平成3年4月 福井県立博物館