◎ 18名の委員が出席し、県が管理する区間の治水の現状と、住民意見聴取の方法について意見交換を行いました。


1.九頭竜川水系の治水について

 前回の流域委員会で、直轄管理区間(国土交通大臣が管理する区間)の治水について意見交換をしたのに引き続き、今回の流域委員会では、主に、県が管理する区間の治水について意見交換を行いました。
 河川管理者からは、大河川と中小河川(支川群)との洪水特性の違いや流域での降雨の特性を踏まえて説明するとともに、支川群の現況の流下能力を示しました。また、支川群では、堤防の決壊や越水による氾濫に加え、いわゆる内水氾濫についても注意が必要な点や、都市部の市街化が洪水に影響している点についても示されました。さらに、流域での総合的な治水対策として、河川管理者のほか、地元自治体や住民が取り組んでいくことのできる事柄についても紹介されました。

 これを受けて、委員及び河川管理者からは、次のような質問や意見が出されました。


(1)市街地にある河川の治水の考え方について


 1.住民による水害対策(住居の基礎を上げる等)や、行政による規制、指導、PRも必要。

 2.地元自治体や住民による総合的な治水対策も、住民と協議している。(河川管理者)

 3.福井市では、足羽川と底喰川の治水対策の二点が重要である。

 4.地域の降雨特性と水害との関係をさらに知りたい。

 5.下水道の整備計画等の情報も示してほしい。





(2)治水の整備目標を検討する際の考え方について


 6.流域での過去の被害状況や経済的損失等を踏まえて検討したい。

 7.国の管理区間と県の管理区間について、一体的に議論するのがよい。

 8.現在ある治水施設の効果を検証することが、検討上、有効である。

 9.被害の程度、安全度を上げるための時間と費用、住民の許容範囲などにより検討したい。それによっては住民の自衛によらざるを得ない場合もある。

 10.総合的な治水対策として地元自治体や住民の方に分担してもらうことも考えられる。

 11.完全な治水は難しく、どこまで許容するかという方針を設定し住民に問うのがよい。

 12.人口増減や市街化など、将来の流域の変化の見通しに関するデータも踏まえて検討したい。

 13.費用の面から今後20〜30年間に実際にできる事業について、現実的な議論をしたい。

 14.整備計画の原案が出てくる前に、そこに盛り込む考え方をもっと審議していきたい。

 15.全国的に、中小河川での治水安全度は「30年に一度の洪水」を目標にしている例が多いが、これを5年から10年程度にするなど、レベルを下げるという発想は可能か。

 16.河道整備状況よりも被害の程度を整理して、それに見合う投資をすべきではないか。

 17.治水安全度のレベルをどの辺までとして合意するか、その設定にいろいろな考え方があり得る。

 18.総合的な治水対策として、地元自治体や住民の方に分担してもらうことも考えられる。

 19.過去の被害の実績に対して、地域の方がどう受けとめているかが重要。





2.住民意見の聴取について

 河川整備計画原案に対する地域住民の意見聴取を図る方法について、前回の流域委員会での決定事項を踏まえた河川管理者の案を説明し、意見を交換しました。
 案は、集会形式による意見聴取方法を主とし、これに、ホームページ、書面、メールなどの形式を組み合わせて行うものです。集会形式では、流域を河川整備計画を策定する6つの区分−九頭竜川直轄区間流域、九頭竜川下流域・中流域・上流域、日野川流域、足羽川流域(図参照)−に分けて、それごとに住民の方々の「意見を聴く会」として開くこととしています。
 その会には、流域委員会の委員も参加できることとし、集会の実施時期は、河川管理者から河川整備原案が示された段階となっています。

 これに対し、委員からは次のような意見が出されました。また、今回の議論を踏まえて河川管理者から再度、案を提出し引き続き検討することとしました。



(1) 住民意見聴取の集会と流域委員会との関わりについて

 20.集会形式での意見聴取の場には、委員ができるだけ多く出席するのがよい。

 21.河川管理者が作成した原案のままでなく、それに委員会の大方の意見を反映したものを住民に見ていただくという形がよい。

 22.委員は、住民意見聴取の過程で原案を推進していくという役回りである。

 23.委員会の意見が原案にどの程度織り込まれているかにより、住民意見の聴取の時期はもう少し後の段階にならざるを得ない。

 24.河川管理者は委員会の意見を受けとめて整備計画の原案をつくり、これに対して委員会は意見が反映されているかどうか、数回にわたりキャッチボールをしたい。

 25.流域委員会の意見が原案にきちんと反映されていくことが重要である。

 26.委員会の役割は、河川管理者と一般の住民との間にたって、議論すべきポイントを絞ることにある。

 27.この委員会はあくまで意見を述べる会で、原案の決定権は河川管理者にあるので、これに委員会は共同責任をとるというものではない。




(2)住民意見の原案への反映について


 28.住民の説明会は「説明」だけにとどめず、意見を「聴く」点に重点をおいてほしい。

 29.住民に委員会と違う視点がもしあるとすれば、その捉え方と原案への反映結果について委員会にさし戻すこともあり得る。

 30.原案をつくる過程で住民の意見を聴く必要がある。

 31.ニュースレター等の広報手段を活用して住民が意見を出したくなるようにしてほしい。





(3)集会への住民の参加形態や参加募集について


 32.自由参加というと気軽に参加できるが、事前に申し込むとなると躊躇してしまうかも。

 33.予算があるならば、テレビで告知すると参加者が多くなるのではないか。

 34.河川管理者が決めた方をお呼びしてというやり方ではなく、自由参加の方がよい。

 35.NPO活動団体との意見交換の場を持つことを検討していただきたい。

 36.住民の参加は自由ということでよい。

 37.6区分での集会の回数等については、地域の状況にあわせて対応してほしい。





3.流域委員会の進め方等について


(1)流域委員会の資料説明について


 38.資料の分量を減らし簡潔にしてほしい。

 39.意見交換に十分な時間をとるために資料説明の時間は、できるだけ短くする。

 40.委員会の1週間前には資料を委員に配布してほしい。





(2)流域委員会での意見交換内容の住民への提供について


 41.委員会での検討状況を同時併行的に流域住民に知らせて一緒に考えてもらうのがよい。

 42.委員会庶務ではどのように情報を公開しているか。

 43.委員会資料と議事詳録は、国や県の事務所で閲覧やコピーが可能。ニュースレターは、そのほか市町村役場にても配布。流域委員会のホームページや県の広報紙でも情報を公開している。(庶務)





(3)委員会の今後の進め方について


 44.いつも全体の会議でなく、専門分野ごとに委員が集まる会も検討してはどうか。

 45.次回は利水、環境に焦点をあて意見交換する。次々回以降で治水、利水、環境を総合的に議論するとともに、整備計画に盛り込む考え方を議論して河川管理者に投げかける。それを受けて河川管理者は整備計画の原案を作成し、委員会でそれについて意見交換をする。最終的には、委員会の意見集約を尊重して、河川管理者が整備計画の原案をつくることとする。