◎ 23名の委員のうち、21名の委員が参加して行われました。前回で九頭竜川水系の利水と環境について意見交換をしたのに引き続き、今回は九頭竜川水系の課題の整理について意見交換を行いました。


1.流域委員会の論点整理
委員会の冒頭、庶務がとりまとめた資料に沿い、これまでの意見の状況を振りかえりました。意見は、大きく次のような項目としてとりまとめられています。

治水

○河川整備に関すること
・治水安全度に関すること
・整備メニューに関すること

○流域に関すること
・森林に関すること

○洪水被害の軽減に関すること

環境・利水 
○利水に関すること
・水量に関すること

○生物・景観に関すること
・水量に関すること
・濁水に関すること
・河川環境の保全・再生に関すること

○親水・利用に関すること
・川と人との触れ合いの場の創出に関すること

地域との連携  
○地域活性化に関すること

○地域住民対応に関すること

○住民意見聴取に関すること

流域委員会での検討のスタンス

以上により、とりまとめられた意見の確認を行い、さらに、次のような意見や質問が出されました。



これを受けて、委員及び河川管理者からは、次のような意見や質問が出されました。



(1)河川環境や河川の利用等について

1.九頭竜川、日野川、足羽川での魚類の遡上状況を示してほしい。魚類が遡上できる川をめざすべき。

2.河川上流域での森林保全や林道整備等の事業に際し、環境への影響の評価・検討はきちんと行われているか。

3.各分野で行われる事業が河川環境に与える総合的・複合的な影響を評価するために、事後評価、モニタリング等が重要である。

4.堤防の天端が荒れていて漁協の漁業監視等に支障があるので、対応してほしい。

5.学校等にビオトープをつくるよりも、実際の河川を学習や遊びに利用する工夫をすべきである。

6.サケの放流事業(県)が平成12年度で終了したが、サケの遡上は河川環境の指標ともなるので継続してほしい。

7.サケなど遡河魚は捕獲が禁じられているが、禁止する意味は薄く、むしろ環境学習などに有効に活用すべき。

8.河道内の樹林化は、横断工作物による土砂の流れの分断、その結果としての河床低下が関係している。日常的な流量の減少だけでなく、洪水による河川の撹乱がなくなったことも要因と考えられる。

9.河道計画に当たっては、土砂の連続性を考え、川の本流となるところは水が常時流れ、かつ土砂も流れる形をできるだけ確保していくことが重要である。

10.いろいろな目的を達成するために、複数の場所に目的を分散させる考え方が重要。例えばダムならば複数の場所で治水や利水を目的とするダム群としてその機能を果たすことを場合によっては考える。





(2)流域委員会の検討スタンスについて


11.河川のNPO活動では農林水産関係など他分野との連携を強めようとしており、整備計画の策定についても、いわゆる縦割り行政の弊害がないように進めるべき。

12.省庁の連携に係わる意見内容について、整備計画のなかでどこまで踏み込むかは流域委員会として重要な視点である。

13.流域委員会は、ダムの選択も含めた治水の基本的な対策を20〜30年間のスパンで検討する場であるべき。

14.足羽川ダムについては既にダム審議会の答申もあるが、流域委員会のコンセプトは広く地域の有識者に意見を聞くという点にあるので、さらに意見交換すべきである。


2.治水計画について

流域委員会の論点整理の中で指摘された課題のうち、治水計画について河川管理者から補足的に説明を行いました。説明した主な項目は以下のとおりです。

(1)降雨と洪水の関係
(2)九頭竜川における降雨の実態と洪水について
(3)治水計画と流出モデル
(4)九頭竜川における氾濫シミュレーション結果
(5)今、九頭竜川で大雨が降ったら
(6)これらの災害を防ぐには

説明では、九頭竜川水系の特性として以下の点をあげました。
 
○地域の特性
  ・九頭竜川、日野川、足羽川の沖積平野に福井市は発展してきた。
  ・福井平野は上記三川の洪水時の水位より低いところにある。

○降雨の特性
  ・降雨には、地域的、時間的な偏りがある。
  ・近年、広範で大きな降雨が発生していない。

○氾濫特性
  ・福井市市街地に人口、資産が集中している。
  ・上記三川のいずれが氾濫しても福井市街地への影響は大きい。



説明を受けて、委員からは次のような質問や意見が出されました。


15.森林の保水能力について、50年前と現在の飽和雨量の相違を示してほしい。

16.主要洪水の1/150年確率への降雨倍率を示してほしい。

17.浸水想定区域を今回説明された以外の複数の降雨波形についても示してほしい。

18.説明されたシミュレーションは堤防が破堤した場合だが、洪水が堤防を越水しても破堤しなかった場合に浸水想定区域がどうなるか示してほしい。

19.森林による保水能力について、樹種による能力の違いなど、より多面的に知見を紹介してほしい。

20.森林の保水能力は、中小の降雨には効果があるが、治水計画で対象となるような大きな降雨に対してはほとんど効果がないと理解するべき。

21.洪水時の浸水深を公共建築物に明示するなど、洪水に備えるための広報を行うべき。

22.洪水被害の軽減に向けた地域レベルでの取り組みに対し、行政からの補助金・優遇措置等もありえるのではないか。