◎当日は21名の委員が参加して行われました。前回で河川環境の整備と保全について意見交換をしたのに引き続き、今回は「治水の目標設定にあたっての基本的な考え方」と「河川環境の整備と保全に係わる目標設定の考え方」について説明した後に、意見交換を行いました。
1.治水の目標設定にあたっての基本的な考え方
「治水の目標設定にあたっての基本的な考え方」に係わる資料について河川管理者から説明を行いました。説明した内容は以下に示すとおりです。
@地形特性
A過去の主な洪水
B現況の流下能力
C現況の治水安全度
(参考)想定氾濫シミュレーション結果
以上の説明を実施した後に意見交換を行い、次のような意見や質問が出されました。
1.九頭竜川、足羽川での50年確率の洪水では、氾濫によって想定される被害額は同程度であり、両河川とも同じ治水安全度で考えていくべき。 2.浸水マップ(スライド23)の破堤箇所は、足羽川で流下能力が不足する幸橋から水越橋のあたりと一致しているか?また、足羽川の改修は、現在どのような状況にあるのか? 3.これまで実施してきた河川改修による治水上の効果を検証することが重要。 4.治水による効果を検証するにあたっては、社会資本基盤の整備がなされてきたことを考慮することが必要。 5.土木技術者(河川管理者)と住民との治水事業に対する意識の差を縮めていくことが重要。 6.実績の降雨特性を踏まえて治水安全度を設定していくことが重要。"過去の洪水が、今起きたらどのようなことが起こるのか"ということを検証すべき。 7.足羽川の氾濫解析で、昭和51年9月、昭和28年9月の雨を使った理由について補足説明がほしい。 8.足羽川の治水安全度が1/10程度であるのは、市街地を流れているため河川改修ができなかったためである。将来、掘削により1,800m3/sを確保できても、それ以上の洪水に対しての対策を講じることが必要。 9.九頭竜川、日野川の治水安全度を1/50とするためには、どの程度の工事量と費用がかかるのか?治水事業の費用対効果等に関する勉強会を開催していくべき(提案)。 10.ダムが建設された場合、降雨分布と流出流量の関係を知ることが重要。 11.整備に係わる費用を示すことで整備可能な目標(安全度)が絞られる。 12.整備に必要な費用、時間の他に、環境への影響についても配慮することが重要。環境への影響を議論するには、配慮した範囲と具体的な数値を提示すべき。 13.三川ごとに対象降雨を選定し、それぞれの被害額を勘案して確率年を決定すべき。 14.安全度を1/150にするという考え方があってもいいと思う。 15.20〜30年の間に、少なくとも到達可能な整備内容を立てることが重要。 16.河川における目標設定については、地球温暖化の問題と合わせて考えることが必要。当面は20〜30年の安全度の確保が必要であっても、100年、150年ターム(時間)でいろいろ安全度を考えていくことが重要。 17.日本の多くのダムは、50年がたち、あるダムでは土砂がたまり、いろいろなことが起きているが、ダム本体は壊れていないし、現在でも十分に機能している。また、ダム建設に伴う環境の変化についても明らかになっていない。50年ぐらいは環境の面からも責任が持てるのではないかというのが大方の現在の常識である。 18.他ダムの事例からもダムをつくる場合においては、150年とか200年の確率ですべき。ただしその下流河川については、50年ぐらいで全河川の安全度をある程度統一して改修していくべき。 19.治水の当面の整備スタンスとしては、20〜30年から50年ぐらいの幅でもって目標にする。その上でどのような代案でそれに対応できるのか、それに伴う費用とか時間等をつめて、具体的に目標を設定していくことが妥当。 |
2.河川環境の整備と保全に係わる目標設定の考え方
「河川環境の整備と保全に係わる目標設定の考え方」では、これまでの委員会で出された意見を庶務がとりまとめた集約案を提示し、これについて意見交換を行いました。
以上の説明を実施した後に意見交換を行い、次のような意見や質問が出されました。
20.私たちが川に親しむ、川をいとしむ気持ちを持つ必要があるのではないかと思う。環境の中に川をいとしむ、親水の気持ちをお互いに住民の意識として持つ、そういうことがこれから大事になってくると思うので、そういう気持ちの問題をどこかに付記すべき。 21.川と人、川と地域との係わりを深めていくことが重要。そのために、各流域住民の年長者からの記憶の収集を行って、整理して公開していく方法を検討していくことが必要。 22.「歴史・文化の発掘に努める」とい方向性の中で、女神川の大洪水の歴史など、災害の歴史についても視点を向けていくことが必要。 23.歴史を学ぶと一緒に、大変歴史のある九頭竜川をみんなして大事にしていこうという気持ちを育てていくことが重要。 24.産業構造に河川が非常に痛めつけられてきているということを主張したい。やはり農業の基盤整備のあり方をどうするかということも流域委員会で議論すべき。 |