◎当日は18名の委員が参加し、福井県都市計画課から「流域における都市計画の現状」について説明した後に、意見交換を行いました。さらに、河川管理者から「河川環境の整備と保全に係わる目標設定の考え方」及び「利水の目標設定にあたっての基本的な考え方」について説明した後に、意見交換を行いました。
 また、当委員会に委員長代理を置くこと及び委員の追加について審議し、これら事項について承認されました。



1.規約の改正について

委員会に委員長代理を置くことについて承認され、委員会規約に以下の事項が追加されました。

◆「委員会 第4条」への追加事項◆
・委員会には、委員長が指名する委員長代理を置き、委員長の指示により職務を代行する。

なお、委員長代理には川上委員が就任されました。



2.委員会委員の追加について

吉田委員の辞任にともない、新たに津田氏(北陸電力株式会社勤務)が委員会委員として就任されることとなりました。



3.流域における都市計画の現状について

「流域における都市計画の現状」に係わる資料について福井県都市計画課から説明を行いました。説明した内容は以下に示すとおりです。

@都市計画の体系

A人口集中地区及び市街化区域の変遷

B流域対策(流域からの雨水流出の抑制)

C開発許可制度(開発行為における調節池の設置について等)
                         等 
以上の説明を実施した後に、次のような質疑応答がなされました。
Q:どのぐらいの洪水を対象に調整池の計画をたてているのか?
A:大型の調整池については、30年確率で対象区域内の雨をある程度調整できるように計画している。それ以外の小規模な開発に対しては5年確率で計画している。

Q:普段、調整池は何に使われているのか?
A:多くの場合は駐車場であり、敷地を10〜15cm切り下げ、水をためるようにしている。

Q:福井の川は3河川とも天井川となっており、これは都市づくりにおいて全国的に珍しいのか?
A:天井川を持っている都市というのは、全国的にそれほど珍しくない。天井川周辺での土地利用の方法については、注意深く扱う必要があると考えている。

Q:市街化区域や市街化調整区域の線引きの基準はあるか?
A:福井県内では11の都市計画区域を持っており、そのうち線引きをおこなっているのは福井都市計画だけである。未線引きの区域については、無秩序な市街化が進むのをさけるため、土地利用の用途を規制する等の対策を講じている。

Q:事業者(企業、工場等)の所有である防災調節池は、倒産や用途変更等によって計画と異なる利用がなされることがあり得ないか?(それがある程度大規模であったら、恒久的な防災調整池として考えておく必要がある。)
A:開発規模に応じて造られた調整池については、福井県市町村と事業者との間の任意協定で管理されている。ただし、法的拘束力はないため、その協定に従って管理している現状にある。

Q:洪水時に破堤した場合には、農地が調整池の役割を果たしていたが、市街化がすすむにつれて失われ、人工的な池を用意するということで置き換えられているように思える。土地利用において、農地を色々なものに置き換えていくやり方に疑問がある。
A:未線引きの都市計画区域において、優良な農地はなるべく保全していくように検討を進めていきたいと考えている。

Q:企業による土地開発(大型店舗の進出)が、都市計画の上にできあがったとは思えない部分がある。
A:"用途の中に適合しているか"が許可する基本的な考え方となっており、個々にどのような施設が入ってくるかについて、事前に審査しているわけでないのが現状である。




4.河川環境の整備と保全に係わる目標設定の考え方について

前回の流域委員会に引き続き、これまでの流域委員会で出された河川環境に係わる意見(論点)の集約として、河川環境の目指す方向性について河川管理者より説明しました。
今後、これを実現するための整備メニューを具体的に提示し、この段階で再度、意見交換を行うこととなりました。



5.利水の目標設定にあたっての基本的な考え方について

「利水の目標設定にあたっての基本的な考え方」に係わる資料について河川管理者から説明を行いました。説明した内容は以下に示すとおりです。

@ 水資源の現況
A 水利用の現況と課題
B 水需要の見通し
C 課題のまとめ
D 目標設定の考え方
E 参考資料



以上の説明を実施した後に意見交換を行い、次のような意見や質問が出されました。


1.何か大きい漠然とした課題を言っているように思える。"気候変動への対応"といっても雑な感じがする。"塩水遡上"による被害があったといえ、どれくらいの経済被害があったのか等の具体的な情報やデータの提示に基づいて議論すべき。

2.塩水の遡上は、臨海工業地帯にとって大きな問題として認識することが必要。さらにその上流の清水町まで農業の被害が出ているということがあった。

3.水道水については、「量」よりも「質」の問題がかなり要求される現状にある。水道水としての水質保全・向上を図るには、人工的につくられた化学物質(環境ホルモン、農薬等)の問題を含め流域全体で取り組むべき。

4.今後、国・県においても流域林の専門家から構成されるポストを用意し、流域林を健全に育てるということを具体的に対応していくことが必要。

5.九頭竜川に大きく依存している水道水は、上流のダムによって安定供給されているものであることを認識することが重要。ダムが水量の供給にどのように貢献し、将来にわたってこの運用で大丈夫であるか、について検証していくべき。

6.水の濁りは、水をその上流で貯める施設がある以上、ある意味では宿命である。九頭竜川の水質を、現状でダムのない足羽川と同じ状態にするのは難しい問題。その代わりに、水の安定供給といったプラス面もあることを認識すべき。

7.水利流量は人の暮らしに大切であり、維持流量は生き物の暮らしにとって必要。どれだけ人の暮らしの部分を生き物の暮らしのために譲れるかが課題。

8.河川流量の縦断分布図で8月8日以外の日で作成できるか?

9.維持流量の設定で示した数値は、水量減少区間で最低限確保しようとしているのか、それともそこは外して考えるのか?

10.水量減少区間で最低限必要となる流量は、この流域委員会で提言していくべき。

11.日本全国の河川において、水量が減少している区間において維持流量の設定を行い、水利権更新時に合わせて最低限水を流すような取り組みを順次やっている。

12.維持流量の設定については、是非とも実現すべき。水利権の更新のあり方・やり方等をこの流域委員会で模索していくべき。

13.大野の水辺の楽校の調査データ等、この委員会から提供を促し、維持流量の設定に役立てていくべき。

14.これまで減反政策から、その分のかんがい用水が不要になるはずなのに、水利権にまで及んでいないところがある。