◎当日は19名の委員が参加し、河川管理者から「河川整備計画における治水計画の考え方(案)」について説明した後に、意見交換を行いました。



1.河川整備計画における治水計画の考え方(案)

「河川整備計画における治水計画の考え方(案)」に関する資料について河川管理者から説明を行いました。説明した主な内容は以下に示すとおりです。

(1)九頭竜川水系の現状
  1)地域特性
  2)降雨特性と過去の災害
  3)特性のまとめ
(2)検討対象洪水の選定
  1)主要洪水の抽出
  2)検討対象洪水の選定方法
  3)検討対象洪水の選定
   @先行河川の事例
   A九頭竜川水系の考え方
   B検討対象洪水の降雨量


以上の説明を実施した後に、次のような質問や意見が出されました。


1.流出量の算定にあたっては、既設の上流ダム群(九頭竜ダム、真名川ダム、笹生川ダム等)の洪水調節を考慮しているか?
 →既設ダム群による洪水調節を考慮した計算としている。
 →既設のダムでは、その定められた操作を行った仮定の計算としている。

2.九頭竜川の整備水準は、"戦後最大の規模"を一つの指針にしていくのか。もっと大きな規模を対象にして設計していくべき。

3.この流域委員会では、河川毎に戦後最大となる降雨量・流量の実績、さらに現状での整備状況やダムの効果を踏まえて、今後の河川整備のあり方について議論していくべき。

4.この委員会では、戦後最大の雨量と、いろいろな降雨パターン(波形)の組み合わせを考えることが必要であるか、を議論すべき。

5.九頭竜川の整備水準は、戦後最大以上のもっと恐ろしい洪水に対応したものであるべき。(今までに発生した同規模の洪水を対象としたダムであったら、つくる必要がない)

6.これまでの委員会では、確率での安全度の議論があり、今回の委員会ではどの安全度を選ぶのかということを決めなければならないのだと思っていた。戦後最大規模という1点だけでは、どの安全度を選ぶかの議論ができない。

7.長期的には、200年でも300年でも耐えられる川づくりを目指すべき。

8.自然現象、自然の歴史の中で戦後最大という表現を用いるのは適当でない。

9.30年,50年の安全度では低く、流域委員会ではダムの必要性やそれに付随する色々な問題の答えを出していくべき。

10.流域委員会には、戦後最大規模の洪水に耐えられる河川整備をするべきか、否かという意思決定を求められる。

11.ある単純なモデルで、安全度と整備コストの関係について、ある程度予測することができるか?
 →幾つかの目標の洪水を決めて、それに対する整備過程での施工性、経済性、環境に対する影響を考慮し、複数の代替案を検討した上で投資額が出てくる。洪水規模に対応して投資額を予測できるわけでない。

12.ダムの有無についての検討では、ダムを抱える上流域の樹種、傾斜による流出土砂量の変化についてのシミュレートをもう少し示して議論すべき。
 →あくまで計算はモデルということで、河川の上流域の森林の樹種まで細かく設定したものではない。

13.流出モデルの検証、及び飽和雨量の決定に用いられたデータの期間について知りたい。

14.「先行河川の事例」では、どういう考え方で"戦後最大"、あるいは"ダム"を位置づけているかについて把握することが重要。

15.今回資料の"戦後最大"だけでは、被害の程度が見えない。以前に提示された浸水マップ等の被害状況を比較できる資料が必要。




16.足羽川・日野川では、雨量の規模と危険となる波形の実績が必ずしも一致していないところがある。"目指す整備水準を実績で評価するか"については、これらを組み合わせて想定される被害と必要となるコストを提示した上で議論すべき。

17.氾濫シミュレーションのように、流出パターンによって被害状況の変化が視覚的にわかるような整理結果があると議論しやすい。

18.対象とする洪水の規模を予め決めてしまうことに不安を感じる。河川整備による環境へのインパクトも判断材料として提供した上で議論すべき。

19.いっぺんに総合的な計画はできない。まずは、対象とする洪水について被害軽減に向けた治水対策を議論すべき。(治水だけであったらダムの規模はもっと小さくなるはず)

20.足羽川については、実績の波形と降雨量とにいろいろな組み合わせがあるので、そこをいくつか検証し、下流への被害等について議論することが重要。

21.ダム整備を選択せざるを得ない場合、水と土砂の流れを確保できる環境に配慮した整備が必要。
 
22.先進事例の中で、各河川での整備水準(目標とする治水安全度)と資産との関係について紹介してほしい。

23.ここでの議論は対象洪水の選定であり、今後、被害やその他検討を進めていくのに、すべてを対象とするのは作業量が膨大すぎる。議論が発散する可能性もある。対象洪水をもう少し絞り込んで議論していくべき。

24.流域委員会の役割は、「どのような治水構造物をつくるのか」、「ダムを整備するかどうか」、「利水・環境のために貯水するか」の3つを議論する場であると認識している。このような議論ができるために、この場では技術的な部分の説明は極力少なくし、アウトプットを提示して議論していくべき。必要に応じて詳細な資料を提示していく方式がよい。

25.仮に既往最大とした場合にどのようなパターン(組み合わせ)でいくかについては、まず、管理者側で絞り込みをおこない提示していくべき。

26.技術的な話ではなく、地域の人々にとってわかりやすく、具体的な例で話を詰めていくべき。