当日は16名の委員が参加し、河川管理者から「九頭竜川水系の治水計画について」の説明がなされ、意見交換が行われました。
1. 九頭竜川水系の治水計画について
「九頭竜川水系の治水計画について」に関して説明した主な内容は、以下に示すとおりです。
1) 九頭竜川河川整備計画作成の手順
2) 検討流量設定に関するこれまでの委員会の流れ
3) 今回の委員会での審議事項
4) 九頭竜川の洪水特性
5) 検討流量の考え方
6) 整備メニューの設定
以上の説明を実施した後に、次のような質問や意見が出されました。
1. S28.9型、S36.9型の両洪水に対しては、整備メニューを組合せることによって長期的には対応できるということだが、今日の審議ではダムか遊水地かについての方向性は決めるべき。
2. 減反政策等、日本全国同じように農業政策を行っていることに疑問を感じる。治水・利水・環境のみならず、食料自給等の農業政策からみて遊水地案で大丈夫なのか?
 →食料自給面からの答えではないが、遊水地を整備するのに適した区域は農業振興地域の指定を受けており、かなり優良な農地という事実は把握している。
3. 前回までの説明では、S36.9型洪水は非常に大きな流量でお手上げという印象があった。今回説明してもらった降雨設定の考え方等をもう一度お願いしたい。
 →前回までは、5つの基準点毎に小流域単位で降雨規模を設定していた。今回は、九頭竜川の洪水特性である「降雨の偏り」や「合流の評価」(合流点での流れやすさ)を反映させるため、実績降雨を流域全体で目標規模に設定した。
4. 整備計画の検討流量について、以前提示された値と今回提示された値とでは、全体的に今回の値の方が小さくなっており、天神橋だけ同じ値となっている。理解しにくいが、計算上そうなるのか?
 →現在の施設や現在進行している事業の効果と、雨の降り方が日野川型か九頭竜型かを加味して、今回改めさせて頂いた。
5. 遊水地は、何年に一回の湛水と考えればいいのか?
 →河道では1,800m3/sまで流れ、これ以上だと遊水地の方へ流れ込むとすると、概ね1/30〜1/40の確率規模になる。
6. 洪水によって浸水した遊水地の水田が、また元の生産環境に戻る時間等、栽培の復元に関することも重要。また、遊水地への流出が繰り返されれば、農家の生産意欲が低下するのではないか。
 →稲作の具体的な発育の技術までは把握していない。また、遊水地の対象となる土地に対しては地役権補償という補償を払うことになる。
7. 110haの遊水地に対して地役権補償するのは不可能ではないか。一生懸命農業をしたい人には足かせになるし、農業を離脱したい人にとっては30%の補償ではなく全部買い取ってもらいたいのではないか。現実的に難しいと思う。
8. 一箇所に大きな110haの遊水地をつくるのではなく、小規模分散型では無理なのか。
9. 前回の委員会では、治水専用のダムか維持流量を見込んだダムかの選択で大筋合意していたのではないか。今日の説明を聞くと、ダムか遊水地かといった話に戻ってしまったように感じる。
 →今日の説明は、計画流量の設定において、再度精緻な検討を行ったこと、ダムと遊水地について考慮すべき比較項目を整理したということで、後戻りしているわけではない。
10. 既設ダム容量買取案によって、河道内でどれだけ効果があるのかわかりやすく説明してほしい。
11. 水海川から1川導水をとった場合、洪水が発生したときには、全部の水量が部子川を流下するようになるのか?
 →平常時には普通に流れ、洪水時にはある流量が導水路を通って部子川に流れ込むという構造を考えている。
12. 洪水時にはどのような流量配分となっているのか?
 →水海川の水を全部取水するのではなく、S28.9型洪水のピーク時に天神橋地点で300m3/sがカットできるような設定を考えている。
13. 今日の説明は、最終的にダムにするのか、遊水地にするのかを決める前に、天神橋の整備計画流量をS28.9型の2,100m3/sに確定する必要があるということ。その際に、次の3点「三川の合流部を考慮」、「流域での降雨の偏りを考慮」、「上流の未改修部を考慮」を新たに検討に加え、より現実的な検討を行ったと理解すればよい。
14. 遊水地案は現実的に難しいのではないか。整備メニューの評価項目に「総合的に判断して設定」とあるが、具体的に行った検討があれば教えて欲しい。
 →「用地買収を必要としないメニュー」、「用地買収等を必要とするメニュー」、「河道外で整備する必要のあるメニュー」の順で優先順位をつけて総合的に判断した。
15. ダムと遊水地の比較については、治水計画は30年の対応で終わりではないということも視野に入れて考えることが重要であり、遊水地での対応はその拡張性に問題がある。
16. 事業費を節約していこうという現状ではあるが、治水のみだけではなく、ソフト・ハード面で更にプラスアルファのことも視野に入れて考えていくことも必要である。
17. 遊水地は不確実な技術だが、一方的にダムという確実な技術で何とかしようという方向へ傾いてしまうのも課題が残る。
18. ダムについては、ある程度方向づけをしないと当事者の方々に対して申し訳ないと思う。前回の維持流量を補給するケース1と補給しないケース3(治水専用ダム)の議論に戻してほしい。これには、ケース2,3の模型があるとイメージしやすい。
 →日本では3つしかなく、しかも完成していない。今後、調査した上で報告したい。
19. ダムに水を貯めるということはエネルギーを貯めることである。ただ水を貯めることでも、新たな付加価値が生まれる。どう生かすかは地元の要望も踏まえて考えてみてはどうか。
20. 30年間水を貯めるダムだけを考えてきたが、前回では治水専用ダムの賛同が多かったと思う。どのダム案になろうとも水没予定地の者としては賛成したい。ダム建設の是非については、とにかく停滞することなく前進してほしい。
21. この流域委員会は、ダムが良いか悪いかの話し合いではなく、将来に向かってどうしていくのが地域にとってベストなのかを考える場である。
22. 治水専用ダムは通常のダムと比べ水が貯まらないため維持管理のコストは安くなる。しかし、水が貯まらない分、景観や管理面にどのように取り組んでいくかが課題となる。
23. 治水専用ダムがイメージできるものや課題の整理が必要。今後、河川整備計画の策定に向け、足羽川の整備メニューはダム案の方向で進めていく。
検討流量の考え方
整備計画の検討流量
足羽川ダム(1川導水)案
ダムの構造と規模(整備計画対応)
2. 発電取水による流量減少区間の対応状況について
24. 資料は非常に詳しく、綺麗に書かれていると思います。打波川のあの過疎化した、人口が減っているところの地元住民の声を聞いてみたい。