◎当日は16名の委員が参加し、足羽川の桜並木の現地視察を実施し、その後会場に戻り河川管理者から「足羽川の治水対策について」及び「九頭竜川水系日野川ブロック及び吉野瀬川ダムの河川整備計画について」の説明がなされ、意見交換が行われました。


1.足羽川の治水対策について


「足羽川の治水対策について」に関して説明した主な内容は、以下に示すとおりです。

(1)足羽川治水整備メニューの検討
(2)足羽川治水対策の比較検討ケース
(3)比較案の内容
(4)事業費について
(5)整備メニューの効果
(6)超過洪水発生時の被害予想
(7)整備メニューの総合比較

 以上の説明を実施した後に、次のような質問や意見が出されました。


1. 治水対策を計画するにあたっては、今後の農業の土地利用の変化から「価値観の多様化への対応」と「リスク分散による対応」の視点が重要。水田は、常時湿地等のビオトープとして利用し、一方で洪水時のリスク分散として遊水地として利用する。
2. 足羽川の治水対策は、長期的な対策を踏まえて考えていくことが重要。例えば、用地買収については、長期計画を視野にいれたもので、一挙に解決してほしい。
→長期計画は、国の審議委員会で決定する河川整備基本方針で決めることになっている。流域委員会では当面30年間の河川整備計画を議論し、方向性を決めて頂く。
3. 遊水地として利用する水田の補償については、はじめから遊水地として利用することを前提に地役権補償をするのではなく、計画規模に応じ、被害を受けたときに補償する直接補償も考えてみるべきである。
4. 遊水地は、あくまで計画規模以上の洪水が発生した場合の補助的な貯留施設として考えていくべきである。
5. 整備計画は、事業費の比較のみで決めるのではなく、今までの流域委員会の議論を勘案し、かつ協力していただく多くの方々に喜んでもらえるものにするべきである。
6. 治水対策では、環境や事業費も考慮するが、最も大事なことは安全性の確保である。一番現実な対策がダムならばダムをお願いしたい。
7. 当面30年の整備計画では、ダムか遊水地かの選択となる。この委員会は当面30年間で選択すべきものを議論する場であり、それを超えたときの洪水について議論するのはまだ先の話である。
8. 遊水地を計画するにあたっては、遊水地候補地の地権者に、遊水地に伴う社会的な影響を十分に理解してもらうことが重要。
9. 委員会として足羽川ダム建設の是非について、早期結論を出すべき。
10. 流域委員会は委員の意見を集約する場であるので、事業内容、事業方法については行政の判断に委ねるべきである。
11. 足羽川ダムを穴あきにするか否かは非常に重要。流域委員会で議論をするべきであるが、二者択一となり合意形成は難しいのではないか。
→流域委員会そのもので賛否をはかるべきではなく、関係者の意見を集約する必要がある。また、関係者の方々や一般の人々に治水専用穴あきダムを認識させる必要がある。
→委員会でもう少し意見交換をするべきである。
12. 足羽川の治水対策として、洪水調節については足羽川ダム案で検討を進めるとの意見集約が概ね図られた。
●足羽川の整備メニューを考えるにあたっての前提条件


●足羽ダム(1川導水)案




.九頭竜川水系日野川ブロック及び吉野瀬川ダムの河川整備計画について

「吉野瀬川ダムの治水・利水・環境計画について」に関して説明した主な内容は、以下に示すとおりです。

(1) 治 水
(2) 利 水
(3) 環 境


 以上の説明を実施した後に、次のような質問や意見が出されました。なお、「九頭竜川水系日野川ブロックの河川整備計画の内容について(日野川本川を除く)」は、前回の委員会で説明をしたため、今回は意見交換のみを行いました。
13. 最近、遊水地のようなものが幾つか見られるが、吉野瀬川ダムとの関係はどうなっているのか?
→小野地区では、環境に配慮し、ビオトープを兼ね備えた遊水地をつくっている。また、吉野瀬川の下流部では、放水路工事のための用地買収が完了している箇所がある。
14. 吉野瀬川ダムの容量配分内訳の中で河川維持流量が確保されているが、10年に1回以上の渇水が発生した場合、下流への補給(かんがい用水、工業用水、維持用水)の優先順位をどのように考えているのか?
→利水関係者による渇水会議で、お互い譲り合って水を融通しあうよう調整している。
15. 工業用水については、昨今の著しい社会情勢の変化の中で計画時点と異なることがあるが、吉野瀬川ダムの利水の現状はどうなのか?
→工業用水については、平成15年度に福井県の事業評価委員会等で、工業用水事業の必要性があるということから、継続事業として認められている。
16. 日野川の中流・下流域では、人が川に近づきにくい状況になっている。人が川に近づけ、川に関心をもたせるような環境づくりが必要である。
17. 日野川流域交流会では、日野川の樹木伐採を行うための意見交換を行った。そのとき吉野瀬川下流域の住民代表の方が洪水に対する不安を訴え、一日でも早く洪水の不安を取り除くような整備を早めて頂きたいと切実に訴えていた。

●日野川ブロック位置図

●計画的に河川工事を実施する河川(日野川本川を除く)

●吉野瀬川ダム事業進捗状況