九頭竜川流域誌


1. 気候
1.1 気候の特徴

 九頭竜川流域は、北陸の西端に位置するため水源にあたる山岳部では気温が低く、冬期にはしぐれと積雪も多い典型的な日本海型気候となっている。福井平野は、北西方向のみが開けていて三方が山に囲まれているため、北陸地方の平野部とは少し異なった気候を示している。
図1.2.1 フェーン現象の模式図 九頭竜川流域の一年間の気候をみると、春先にはしばしば強い南風が吹き、気温が著しく上り、空気が非常に乾燥する日がある。
 これはフェーン現象によるもので、やや強い気流が山岳を越えるようなとき、風下側で気温が上がって乾燥するために生じる。芦原町で昭和31年(1956)4月に、民家や旅館など約300戸が焼失したが、フェーン現象下での災害であった。
 湿度は4〜5月頃が最も低くなる。5月は、年間を通じて快晴の日が多くなる。6月から7月にかけては梅雨期となるため、曇天の日が続き、梅雨末期にはしばしば豪雨に見舞われることが多く、6〜7月の降水量が平野部で約400mm、山沿いや山間部では約500〜600mmで、年間降水量の約20%近くを占める。梅雨が明けると太平洋高気圧に覆われて晴天が続き、真夏日や熱帯夜が続くようになる。福井の夏は、表1.2.1に示すように真夏日の日数のわりには熱帯夜が少なく、敦賀と比べても日中暑いものの、夜は比較的しのぎやすい。


表1.2.1 各地の真夏日と熱帯夜の平均日数(1961〜1990)(※福井県の気象百年)
要素/地名 札幌 仙台 東京 福井 敦賀 名古屋 大阪 福岡
真夏日 7 17 45 48 43 57 66 54
熱帯夜 0 0 18 4 14 8 28 23

 9月上旬から10月上旬ぐらいまでは長雨期となり、梅雨期に匹敵する豪雨がみられる。この時期には、接近する台風によって前線が刺激され、その活動が活発となって、大雨となることが多い。晩秋から初冬にかけては、しぐれる日が多くなる。12月中旬頃までには平野部でも初雪が降り、やがて根雪となる。冬期には北西の季節風が卓越し、降雪量も多くなる。山間部は、全国屈指の豪雪地帯であり、積雪が6mを越えることも珍しくない。
 福井は太平洋側の東京とは、ほぼ同緯度の位置にあるが、平均気温は1.5℃低く、降水量は960mm多く、日照時間は210時間少ない。

表1.2.2 各地の年平均値(1961〜1990)(※福井県の気象百年)
要素/地名 札幌 仙台 東京 福井 敦賀 名古屋 大阪 福岡
平均気温(℃) 8.2 11.9 15.6 14.1 14.8 15.1 16.3 16.2
降水量(mm) 1129.6 1204.5 1405.3 2368.3 2418.9 1534.9 1318.0 1604.3
日照時間(h) 1804.6 1842.6 1811.3 1601.4 1617.9 2015.0 1943.7 1810.6
雪日数(日) 123.3 66.3 10.6 54.4 49.1 19.3 17.3 20.8


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