九頭竜川流域は、北陸の西端に位置するため水源にあたる山岳部では気温が低く、冬期にはしぐれと積雪も多い典型的な日本海型気候となっている。福井平野は、北西方向のみが開けていて三方が山に囲まれているため、北陸地方の平野部とは少し異なった気候を示している。
九頭竜川流域の一年間の気候をみると、春先にはしばしば強い南風が吹き、気温が著しく上り、空気が非常に乾燥する日がある。
これはフェーン現象によるもので、やや強い気流が山岳を越えるようなとき、風下側で気温が上がって乾燥するために生じる。芦原町で昭和31年(1956)4月に、民家や旅館など約300戸が焼失したが、フェーン現象下での災害であった。
湿度は4〜5月頃が最も低くなる。5月は、年間を通じて快晴の日が多くなる。6月から7月にかけては梅雨期となるため、曇天の日が続き、梅雨末期にはしばしば豪雨に見舞われることが多く、6〜7月の降水量が平野部で約400mm、山沿いや山間部では約500〜600mmで、年間降水量の約20%近くを占める。梅雨が明けると太平洋高気圧に覆われて晴天が続き、真夏日や熱帯夜が続くようになる。福井の夏は、表1.2.1に示すように真夏日の日数のわりには熱帯夜が少なく、敦賀と比べても日中暑いものの、夜は比較的しのぎやすい。
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