九頭竜川流域誌


1.4.3 56豪雪

(1) 気象概況
 昭和55年(1980)12月中旬から各地で降り出した雪は、北陸・東北地方を中心に2月下旬まで長期間にわたって降り、記録的な大雪となった。降雪は、周期的に強弱を繰り返し、5〜6回の大きな山があった。
 昭和55年12月12日から15日にかけて日本付近は、強い冬型の気圧配置となり、本格的な寒波が襲来した。寒気団は、26日から31日にかけて九頭竜川流域の平野部で150cm、山沿いおよび山間部で200〜300cmの大雪をもたらした。この積雪は12月としては、大正6年(1917)以来の大雪となった。特に、28日は終日雷を伴い、日降雪量は平野部で50〜70cm、山沿いでは100cmとなった。
 第2波の寒気は、1月2日から7日かけて襲来し、平野部で100〜150cm、山沿いや山間部で200〜300cmの大雪をもたらした。特に、5日には福井で73cmの降雪をみるなど、平野部で50〜70cmの里雪型の大雪となった。
 第3波の寒気は、1月10日から15日にかけて、各地で連日30〜40cmの降雪があった。この連日の大雪で、各地の積雪は15日を中心にピークに達した。その後、2月下旬前半まで小康状態が続いたが、2月25日から27日にかけて、この冬最強の寒波が襲来して30〜70cmの降雪を記録した。

表1.2.5 観測所別降雪記録 (単位:cm)
観測所名 総降雪量 期間降雪量 日最大降雪量 最深積雪量
降雪量 起日 最深積雪量 起日
福井 622 497 73 1月5日 196 1月15日
大野 (不明) (不明) (不明) (不明) 258 1月15日
三国 223 165 32 2月25日 56 1月23日
勝山 1,110 765 100 12月28日 270 1月15日
美山 960 726 82 1月5日 260 1月7日
北谷 1,830 1,099 110 12月28日 450 1月14日
今庄 (不明) (不明) (不明) (不明) 231 1月15日
期間:12月26日〜1月25日
図1.2.11積雪分布(1月15日午前9時の状況)
図1.2.12 降雪量と積雪量の推移

(2) 被害状況
 年末から1月中旬までに3回にわたって大雪に見舞われたため、その都度交通機関がマヒするなど混乱が続くとともに、山間部の町村では孤立状態となる地区も発生した。特に、年末と1月初めの大雪によって、国鉄(現JR)北陸本線が12月29日と1月6日に完全ストップするとともに、私鉄の京福越前本線も12月29日から1月1日までと1月6日から10日まで全線不通となった。また、道路交通のマヒや小・中学校の長期間の休校などが生じた。
 人的被害としては、九頭竜川流域では福井・武生・大野・勝山・鯖江の各市で合計13人の死者と120人の重軽傷者が発生した。雪の重みによる家屋等の被害は、九頭竜川流域で家屋全壊が35棟、家屋半壊が37棟であった。
 河川関係では、融雪出水により護岸等が破損するなど、多大な被害が発生した。また、小河川や水路は捨雪によって流下阻害が生じ、浸水による被害が発生した。その他、森林の折損や倒木による記録的な被害、電力関係の支持物の折損傾倒および電話線の障害等、電気通信関係の被害も甚大であった。農業施設では、園芸等のハウス等が多数倒壊した。
 九頭竜川流域および福井県の被害状況は、表1.2.6のとおりである。

表1.2.6 九頭竜川流域の被害状況 (消防防災課 3月31日)
人的被害
死者:13人(15人) 負傷者:120人(134人)
建物被害
家屋全壊:35棟(38棟) 家屋半壊:37棟(40棟)
床上浸水:71棟(71棟) 床下浸水:778棟(860棟)
孤立地区
和泉村及び池田町の全地区をはじめ2,976戸(2,988戸)
罹災者
罹災者:(538人)
被害総額
(約1,282億円(そのうち直接被害額 458億円))
「56豪雪の記録」より抜粋 (  )内値は福井県計
56豪雪の状況(昭和55年末から昭和56年2月末まで) 56豪雪の状況(昭和55年末から昭和56年2月末まで)
大活躍する除雪重機(上) 除排雪で高層ビル5階の高さとなった
交通渋滞する主要道路(下) 福井県庁のお堀(福井新聞社提供)
56豪雪の状況(昭和55年末から昭和56年2月末まで)


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