九頭竜川流域誌


2. 地形と地質
2.1 地形
2.1.1 概要

 福井県は日本海に面し、ほぼ本州の中央部に位置している。本県は、東から南西方向にかけて延びている幾つかの山地によって取り囲まれ、石川・岐阜・滋賀・京都の4府県に接している。また、敦賀と今庄間を北西から南東に走る山中峠(標高389m)、木ノ芽峠(標高627m)、栃木峠(標高539m)を結ぶ約10kmに及ぶ山稜を境として(甲楽城断層と柳ヶ瀬断層)二分し、これより北東部を嶺北地方、南西部を嶺南地方と称している。九頭竜川流域は、大部分が嶺北地方である。
 この九頭竜川流域は、古生代の造山帯から中生代・新生代を経て、第四紀沖積世に至るまでの造山運動によって造成され、隆起によって形成された地形がかなり広く分布している。また、海岸地形も隆起によるものとして特色づけられる。
 九頭竜川流域の地形は、加越山地、越美山地、越前中央山地、日本海に近い丹生山地が大野・勝山盆地、福井平野を取り囲み、九頭竜川河口に三里浜砂丘が発達している。
 九頭竜川流域を九頭竜川本川流域、日野川流域、足羽川流域の3つに大きく区分すると、本川流域は全流域の中央部および東部を占め、日野川流域は西部と南部、さらに足羽川流域は両流域の中間部をその流域としている。そして、それぞれの流域は、合流部を扇の要とした扇状を成している。
 九頭竜川本川流域は、北西〜南東方向に延びているが、中流域で西流する途中において志比地溝で山が迫り、平地の幅を減じる。しかし、その上流域においては左支川真名川・清滝川・赤根川、右支川打波川・石徹白川などの諸支川で平地が広がり、北東〜南西方向にその幅を拡げている。したがって、上流域は袋状の流域形態を呈し、全流域の東半分を占めている。流域の山地高度は、打波川および石徹白川の水源では1,000m以上の山地が分布し、岐阜県境で庄川との分水界をなす二ノ峰(標高1962m)、銚子ヶ峰(標高1810m)付近は全流域の最高部を成している。また、左支川真名川流域には、その上流に能郷白山(標高1617m)を中心とする全体として500〜1,000mの同じような高さの峰々が連なる越美山地がある。この流域の古生層山地においては、東西方向の地質構造を反映した流路が多くみられる。
 日野川流域は、西方を丹生山地に、南方を越美山地、東方を足羽川との分水界である越前中央山地によって区切られている。流域のほぼ中央を日野川が北流し、東側より浅水川、田倉川などの右支川、西側より天王川、和田川、吉野瀬川などの左支川を合せている。流域の高度分布は、南縁の分水界を成す笹ヶ峰(標高1285m)、三国岳(標高1209m)付近が最高部であり、東・西縁の分水界ではほぼ500〜1,000mの山地となっている。特に、織田盆地周辺は50〜200mの丘陵地性山地が広く分布し、天王川・和田川は樹枝状となっている。また、武生盆地東側では諸支川の谷中分水が多く、支川は狭い谷底低地を徐々に広げながら西流し、北流する浅水川に合流する。南部では古生層山地の地質構造を反映し、東西方向の断層によって日野川が支配され、南北方向の小断層によって支川が支配されている。
 足羽川流域は、水源から池田町志津原に至るまでは峡谷を形成し、志津原より下流部に幅500〜800mの谷底低地を形成している。野尻より下流では著しい曲流を示し、峡谷と谷底低地とが複雑に入り組んでいる。流域の高度分布は、南縁の分水界付近で1,200mに達するが、全体的に500〜1,000mの山地である。
 図1.2.13に九頭竜川流域の地形区分を示す。

図1.2.13 九頭竜川流域の地形区分
図1.2.13 九頭竜川流域の地形区分


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