九頭竜川流域誌


2.1.6 平野と盆地

(1) 福井平野
 福井平野は、東の加越山地と越前中央山地、そして西の丹生山地との間の沈降性の低地へ九頭竜川、日野川、足羽川が周囲の山地から土砂を運び込んだ沖積平野で、南北約40km、東西の幅が約10〜15kmと南北に長い。地元では、文殊山(福井市・鯖江市)〜城山(福井市)〜三方丘陵(丹生郡清水町)の狭隘部以南を武生盆地、福井市北部を東西に流れる九頭竜川以北は坂井平野、両者の中間を狭義の福井平野と呼ぶこともある。
 福井平野は、扇状地・三角州・低位三角州によって成立している。扇状地の代表的なものとしては、鳴鹿付近を扇頂部とする九頭竜扇状地、前波付近を扇頂部とする足羽扇状地、上中町付近を扇頂部とする荒川上流の上中扇状地、丸岡町東方の扇頂部のみが見られる竹田扇状地が挙げられる。扇状地として最大の九頭竜扇状地は、かつては鳴鹿から北西方向へ幾筋にも分かれて乱流しており、低地の中に低い自然堤防が幾筋もあり、その上に古くから農業集落が立地していた。平安末期につくられた十郷用水は、旧流路の一部を利用し、自然の勾配をもって周辺への分水・配水を容易にした。
 九頭竜扇状地の扇端部は、礫層の厚さから右岸ではほぼ旧国道8号に沿い、左岸は舟橋〜丸山を結ぶ線と考えられている。(※福井平野における水害の研究 p.108〜111)
図1.2.14 福井平野の地形(※日本の地誌 福井p.327)
(2) 武生盆地
 武生盆地は、南条山地から流下し北流する日野川によって埋め立てられた。盆地内には、分離丘陵が多く散在し、出入りの複雑な山麓線や急に平坦地に移る山脚など、沈降地形の特徴がみられる。盆地床は最低部でも標高10mとやや高いが、下流の狭窄部が排水を妨げ、低湿地となっている。南端の扇状地性堆積地に武生市街が立地している。
(3) 大野盆地
 大野盆地は、北は加越山地、西は越前中央山地、南は越美山地に囲まれ、東西約10km、南北約10kmの方形に近い形をした陥没断層性の盆地である。南限は清滝川の上流から荒島岳にかけての宝慶寺断層が明確であるが、東部は広く火山噴出物に覆われ、西部は出入りに富む沈降性の山麓野を示して断層は明確ではない。
 盆地内は、九頭竜川、真名川、清滝川、赤根川が北流して下荒井の狭窄部で合流しており、これら河川の堆積地形が大部分を占めるが、東部の阪谷斜面と塚原野では経ヶ岳からの火山噴出物とその浸食による地形がみられる。
 大野市街は清滝川の隆起した旧扇状地の扇端部に位置し、豊富な湧水がみられたが、地下水の汲み上げなどの影響によって地下水位が低下し、自然に噴出する湧水が少なくなってきている。
(4) 勝山盆地
 図1.2.15 大野・勝山盆地の地形(※日本の地誌 p.328)勝山盆地は九頭竜川の河谷で、南北約10kmであり、最大幅は上流、下流ともに約4kmである。加越山地と越前中央山地との間を流れる九頭竜川が北西から西に変える所に、北または東から皿川、野津又川、滝波川、暮見川、浄土寺川、女神川が流入し、それぞれが扇状地を形成している。
 盆地で広い面積を占める滝波川扇状地の上位面は、洪積層の礫・砂・粘土などの堆積がみられる。下位面は浸食段丘となり、上位面を縁どって狭長な分布を示す。


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