九頭竜川流域誌


3.3 河川敷の植生

 河川敷の植生は、川のもつ自然条件によって大きな影響を受けているが、同時に周辺の土地利用による影響も少なくない。
 河川敷の主な多年生植物群落のうち、自然性の高い群落はカワラハハコ群落が挙げられるが、それ以外に2次的に復活したオギ・ヨシ・ツルヨシ群落あるいは低水路沿いのタチヤナギ群落がある。その他にスギナ・ヨモギ・カナムグラ・クズ・メドハギ・オオアレチノギク群落が堤防部に広がっている。なお、セイダカアワダチソウ群落の分布量は、表日本の河川に比較すると非常に少ない。
 これら以外にもオニグルミ群落、ニセアカシヤ群落、スギ−ヒノキ群落、タブ−エノキ群落が分布しているが、いずれも小面積である。なお、春季にはセイヨウカラシナの優占群落が下流部の各所でみられる。
 九頭竜川の0.0〜31.2km区間、日野川0.0〜11.0km区間を対象とした平成6年度における植生調査によると、確認できた植物種は101科638種である。代表的な種としては、上流部水際ではツルヨシ・タチヤナギ・カワヤナギがみられ、下流部の水辺ではヨシ・ヒメガマ・マコモ、高水敷ではオギ・ススキ・ヨモギ・チガヤなどが挙げられる。
 九頭竜川の代表的な植生は、自然植生の多年生植物群落のオギ群落で、0〜15kmの右岸および4〜10kmの左岸の高水敷に帯状に分布している。また、自然植生の木本群落であるヤナギ群落は、左岸では10.2kmから上流部の水際に帯状にみられ、特に17〜29kmでは左右岸に帯状に連なって分布している。その他には、自然植生の多年草群落であるカワラヨモギ−カワラハハコ群落が24〜25kmの右岸中州に、ヤナギタデ群落が22.3〜25kmの中州に点在している。
 確認された特定種としては、絶滅危惧種のフジバカマ、危急種のタコノアシ・ツクシガヤ・ミクリ・キンガヤツリ・ミズネコノオである。

カワラハハコ群落 フジバカマ
カワラハハコ群落 フジバカマ
マコモ ヒメガマ
マコモ ヒメガマ


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