九頭竜川流域誌


4.4 昆虫類

 九頭竜川流域は、本州のほぼ中央の日本海側に位置するため、昆虫相も日本列島のほぼ平均的な傾向を示している。流域の昆虫類は旧北区系要素を主体としながら東洋区系的要素が相当加わったもので、昆虫相も全体からすれば本州に普遍な種から構成されるが、かなりの暖地性昆虫の侵入が認められる。各々の種の分布をみるとき、分布南限となっているものより北限、または日本海側における東限になっているものの方が多い。
 奥越および南越山地は、昆虫の種類数も個体数も豊富で、山地性の珍しい昆虫が多く生息している。特に、白山山系の打波川流域は、福井県下における昆虫の宝庫として知られている。また、福井・石川・岐阜県境の三ノ峰付近は、県唯一の高山蝶であるベニヒカゲの分布地であるとともに、個体数も多く、高山性の昆虫類も多い。
 岐阜県境に位置する今庄町の夜叉ヶ池には、甲虫類の固有亜種であるメススジゲンゴロウが生息するほか、絶滅危惧種に指定されたヤシャゲンゴロウが生息する。また、オオルイボシヤンマ、ルリボシヤンマ、ジョウザンミドリシジミといったトンボやチョウ類などが生息している。
 九頭竜川流域に生息する昆虫類は、ゴマシジミ、ツマシロウラジャノメ、オナガシジミ、ジョウザンミドリシジミ、エゾミドリシジミ、オオムラサキ、ウスバシロチョウなどの蝶類、ハクサンクロナガオサムシ、メススジゲンゴロウ、エサキキンヘリタマムシ、シナノキチビタマムシ、アオナガタマムシなどの甲虫類、クマゼミ、コエゾゼミ、エゾハルゼミなどのセミ類、ハッチョウトンボ、ムカシトンボ、オオルイボシヤンマ、ルリボシヤンマ、サラサヤンマ、ルリイトトンボなどのトンボ類などである。
 平成9年の水辺国勢調査では、6地区で2綱17目231科1,578種が確認された。春季および夏季にはコウチュウ目、秋季にはチョウ目の占める割合が高い。
 特定種としては、希少種のフクイアナバチが確認された。また、「日本の重要な昆虫類(北陸版)」における特定昆虫(福井県指定)のサラサヤンマ・ヤマクダマキモドキ・コムラキが確認された。

ヤシャゲンゴロウ ミヤマカラスアゲハ
ヤシャゲンゴロウ ミヤマカラスアゲハ


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