九頭竜川流域誌


3.4 農業と用水

 江戸時代の産業の主体は水田耕作であり、用水の整備が進められた。その用水の多くは、九頭竜川・日野川・足羽川とそれらに流れ込む支流が取水源であり、河川から水が引かれていた。
 九頭竜川流域で最も広い福井平野のうち、坂井郡の水田を潤す用水は、九頭竜川の鳴鹿堰から取水されていた。そして、坂井郡高椋郷・磯部郷・十郷の118ヵ村、6万6千石余を十郷・磯部・高椋・新江用水によって潤していた。また、九頭竜川左岸の4万石余の田地は、鳴鹿堰より少し下がった地点から取水し、芝原用水によって引かれていた。
 日野川から引かれた用水としては右岸の松ヶ鼻用水、足羽川から引かれた用水としては左岸の徳光用水、右岸の酒生用水などが主たる用水であった。
 用水は、農業に欠かせないものであり、日照りが続けば取水や用水配分をめぐって争論が繰り返された。当事者同士で解決できないときには、領主の裁断を仰ぐこととなり、いくつもの藩領にまたがるときには、江戸の幕府評定所において裁許になることもあった。



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