九頭竜川流域誌


5.3 産業振興と水資源開発

 福井県では、昭和25年(1950)5月の「国土総合開発法」施行にともない、県の第一次試案として「福井県総合開発計画調書」を作成し、8月に政府に提出した。調書では、県内を越前・奥越・嶺南の3地区に分けて各地区の産業構成、資源状況などについて分析したうえで、農林水産業、鉱工業その他に関する暫定的な地区別開発構想を示した。計画の重点は、農地の乾田化事業と電力開発対策であり、河川開発に力点をおいたものであった。
 昭和26年(1951)6月に、福井県総合開発計画が中間報告のかたちで建設省に提出された。この計画は、以下のとおりである。

(a) 九頭竜川水域(足羽川を含む)を九頭竜川特定地域として治山治水・農業水利・資源開発等の総合的な開発を実施する。
(b) 越前地域(嶺北の特定地域を除く地域)について工業の振興、交通施設の整備、嶺南地域について水産業の振興、観光などを中心とした開発を行う。
 
 その後、地域区分を九頭竜川地域・嶺南地域の2区分とし、前者については計画の具体性が図られ、昭和27年(1952)1月に調査地域指定を受け、九頭竜川総合開発の基本計画の一つとして、真名川上流に笹生川・雲川の両ダムを建設し、洪水調節・灌漑用水補給・発電を行う多目的ダムの構築を中心とする真名川総合開発事業が進められることとなった。両ダムは、昭和32年(1957)に完成し、電力供給が開始された。
 さらに、同年からは九頭竜川本川の電源開発事業が活発となり、昭和40年(1965)から長野ダム(現九頭竜ダム)など5つのダムが建設されることとなり、昭和43年(1968)には電源開発の長野・湯上発電所、北陸電力の西勝原第三発電所の完成により、最大32万2千kwの発電が開始された。


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