九頭竜川流域誌


1. 概要

 九頭竜川、日野川、足羽川などの河川がもたらす、みのり豊かな自然環境の中で生活していた古代人の足跡は、出土した土器や石器あるいは縄文・弥生そして古墳など様々な遺跡として、今に伝えられている。また、この地が大和や京の都に近く、北陸の玄関口であったため、都の影響を受けつつも、風土に調和した文化を育み、人を育て、歴史を刻んできた。流域内には三大河川をはじめとする各河川と人々との関わりを示す歴史、文化などが、様々な形態となって川にまつわる文化遺産として残されている。
 九頭竜川、日野川、足羽川と、それらに注ぐ河川は交通路として使用され、山間部の物資が下流、さらには河口の三国湊に集積されて東北や蝦夷(北海道)、あるいは大坂などにも運ばれた。一方、東北や蝦夷、大坂などから物資が三国湊に集まり、川を上って方々の越前の里へと運ばれた。こうして、流域の町や村は川を軸に深い結びつきを持つようになり、遠くの地域とも関わりを持ち文化の交流もなされるようになっていった。 

娘時代を武生で過ごした紫式部の像(武生市)
娘時代を武生で過ごした紫式部の像(武生市)

 そして、流域からは多くの文人・歌人などを輩出する一方、多くの文人・歌人がこの地を訪れ、この地方の文化を全国に広めていった。
 一方、河川は田畑を潤し、飲料水を供給し、魚介類などで食卓を賑わし、生活を豊かにした。また、生活のために必要な川などには水神が宿ると信じられ、洪水や渇水などを治めるため、あるいは身を清めるなどの様々な祭祀が行われてきた。それは、現在でも形態を変えながら伝えられている。


近松門左衛門の碑(鯖江市) 松尾芭蕉の句碑(福井市)
近松門左衛門の碑(鯖江市) 松尾芭蕉の句碑(福井市)


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