九頭竜川流域誌


6. 昭和時代の治水事業
6.1 概要

  昭和23年(1948)6月28日の福井大地震によって九頭竜川、日野川、足羽川、竹田川等の堤防が約1〜5mも沈下し、各所で地割れや陥没、崩壊などの惨状を呈した。その上、同年7月の出水によって九頭竜川本川左岸福井市灯明寺地先で破堤した。その災害復旧工事は、終戦後間もない物資統制や交通運輸の不便など混乱期に建設省直轄工事(当初は福井県より委託)として原形復旧工事を実施し、昭和28年(1953)3月に竣工した。
 しかし、その直後の同年9月、台風13号がもたらした出水により日野川右岸福井市三郎丸地先などで破堤し大被害を蒙ったので、昭和31年(1956)度より九頭竜川再改修事業に着手した。さらに、昭和34年(1959)の伊勢湾台風、昭和36年(1961)の第二室戸台風、昭和40年(1965)9月の奥越豪雨などの大出水により、九頭竜ダム(昭和43年竣工)、真名川ダム(昭和54年竣工)などの建設を含めた治水計画を改定し事業を実施してきた。
 しかしながら、近年において流域の開発が進み、足羽川において計画規模を上まわる大出水が発生するなど、流域全体の治水の安全度が低下した。そのため建設省は、上流域にダムを建設して、これらのダム群によって洪水調節を行い、河道負担流量を軽減し、河道改修を容易にして治水安全度を高めるよう、九頭竜川水系工事実施基本計画を昭和54年(1976年)3月に改定した。現在は、この工事実施基本計画に基づき、治水・利水・環境の調和を図りつつ洪水災害を防止することを目標に整備を行っている。
 また、福井県では、九頭竜川水系工事実施基本計画と整合を図りつつ、河川流域の状況に合わせた整備目標を樹立して、河川改修を進めている。
  ここでは、地域にとって懸案である中小河川改修のうち、昭和時代の治水事業について紹介する。


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