九頭竜川流域誌


2. 九頭竜川改修計画の変遷
2.1 河川改修変更計画(昭和35年)

 昭和34年8月に来襲した台風7号は、主として日野川および足羽川流域に豪雨を伴い、両河川が大出水となって流域に大被害を与えた。続いて9月に来襲した台風15号(伊勢湾台風)は、九頭竜川本川上流域に集中的な豪雨を降らせた。このため、九頭竜川本川では大洪水となり、中角地点では計画高水流量3,058m3/sをはるかに上回る4,720m3/sと推定される大出水となり、流域に大きな被害をもたらした。
 この大出水を契機として、昭和28年9月の台風13号の出水を含めた水文・水理解析を行い、河川改修計画の再検討を進めた。その結果、下流域では都市地域の市街化が進み、土地利用が大きく変貌を遂げ、流出形態にも変化が生じてきているため、築堤方式のみの河道内処理による改修方法では十分処理することが困難となってきていることから、九頭竜川水系としては始めて、上流における大規模電源開発とも関連したダムによる洪水調節を行う計画に変更し、計画高水流量を改定することとなった。このようにして、昭和35年(1960)に上下流一貫した治水計画に変更した。
  計画高水流量は、次のような考えに基づいて改定された。
 九頭竜川本川については、昭和34年(1959)の台風15号出水を対象とし、将来の流域開発や河川改修による洪水の集中化を考え、ダムによる洪水調節を考慮し、河道貯留および氾濫を除外し、各流域からの流出量は時差を考慮して合成して基本高水流量を算出した。そして、計画高水流量は、九頭竜川本川上流で洪水調節を行って下山地点の流量を1,400m3/s程度にし、富田地点で2,000m3/s、中角地点で3,800m3/s、布施田地点で5,400m3/sとした。
  日野川筋については、昭和28年(1953)の台風13号、昭和34年(1959)の台風7号,15号出水および6年間にほぼ同程度の出水が3回も生起したことを考慮して、従来からの堤防築造方式による洪水防御を図る計画を採用し、昭和31年(1956)に告示された再改修計画どおり日野川の計画高水流量を深谷地点で2,830m3/sとした。
 足羽川については、昭和34年の台風7号出水を対象とし、佐佳枝地点の実測流量を用いて計画高水流量と考えた結果、従来どおりの計画高水流量である890m3/sとした。
  なお、洪水調節をつかさどる九頭竜ダムは、昭和43年(1968年)5月に完成した。


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