九頭竜川流域誌


2.2 九頭竜川水系工事実施基本計画(昭和43年6月)

 九頭竜川水系は、昭和40年(1965)4月1日から施行された新河川法に基づき、翌41年(1966)4月1日に建設省近畿地方建設局管内では大和川・円山川・由良川・揖保川などとともに一級水系に指定され、工事実施基本計画を策定することとなった。
 九頭竜川水系では、昭和40年9月に奥越豪雨、台風24号と連続した大出水が発生した。これらの出水は、従来の治水計画規模をはるかに上回り、九頭竜川水系の各所で災害が発生した。そこで、九頭竜川水系の治水計画は根本的に再検討する必要が生じ、奥越豪雨を主要な対象洪水として、新たに真名川ダムなど上流筋にダム群を建設して洪水調節を行うという工事実施基本計画を策定し、昭和42年(1967)12月に河川審議会の審議を経て、翌43年(1968)6月に施行された。
 九頭竜川水系工事実施基本計画では、河川の総合的な保全と利用に関する基本方針を定めているが、これは河川工事の現状、砂防・治水工事の実施状況、水害発生の状況および河川の利用の現況(水産資源の保護及び漁業を含む)を考慮し、また関連地域の社会経済情勢の発展に即応するように、北陸地方開発促進計画や近畿圏整備計画などとの調整を図り、かつ土地改良事業等の関連工事および既存の水利施設などの維持を十分配慮して、水源から河口まで一貫した計画のもとに、しばしば水害の発生している地域についての対策を重点として、工事を実施する方針を定めた。
  第一の保全に関しては、勝山市、福井市、三国町、武生市、鯖江市などを洪水から防御するため、上流部に多目的ダム群を建設して洪水調節を行い、下流の洪水を軽減するとともに堤防の新築、拡築、河道掘削を行い、護岸などを施工する。
  第二の利用に関しては、流域内の各地域における都市用水および農業用水の需要の増大に対処するため、水資源の合理的な利用の促進を図る。
  基本高水流量は、昭和40年(1965)9月洪水を主要な対象洪水とし、水理・水文資料を検討して、基準地点中角において6,400m3/sとし、このうち九頭竜ダムなどにより2,600m3/sを調節して、河道への配分流量を3,800m3/sとする。
 計画高水流量は、中角地点において3,800m3/sとし、日野川の合流量1,600m3/sを合わせ、布施田地点において5,400m3/sとする。
 日野川については、三尾野地点において2,400m3/sとし、足羽川の合流量430m3/sを合わせ深谷地点において2,830m3/sとする。
 堤防余裕高は、九頭竜川については1.5m、日野川については1.2mとする。
 九頭竜川本川上流の九頭竜ダムによって、計画高水流量1,500m3/sを270m3/sに調節する。また、真名川には真名川ダムを建設し、既設の笹生川ダムとあわせて両ダムで計画高水流量2,700m3/sを150m3/sに調節する。笹生川ダムでは農業用水の補給および発電を行い、九頭竜ダムおよび真名川ダムでは発電を行う。
 日野川合流点から上流については築堤、掘削を行い河積を増大し、護岸などを施工して洪水の安全な疎通を図る。
  日野川合流点から下流については、堤防の新築、拡築および河道掘削を行つて河積を増大し、護岸などを施工して洪水の安全な流下を図る。支川については、築堤および護岸などを施工する。
 足羽川上流部には、多目的ダムを建設して下流の洪水の軽減を図るとともに堤防の新築、拡築および掘削を行い河積を増大し、護岸などを施工して、洪水の安全な疎通を図る。
 江端川、荒川、狐川などの低地河川については、内水対策を実施する。
 なお、直轄管理区間は、昭和41年(1966)4月1日施行日には、九頭竜川において23.6km、日野川11kmであったが、昭和46年(1971)3月20日に九頭竜川が6km延長され29.6kmとなった。

 表2.3.6 九頭竜川直轄管理区間(昭和41年4月)
河川名 区域 距離
九頭竜川 左岸:福井市中新田より河口(三国町)に至るまで。   
右岸:坂井郡丸岡町宇随より河口(三国町)に至るまで。
23.6km
支川 日野川
左岸:丹生郡清水町より九頭竜川合流点に至るまで。
右岸:福井市南江守より九頭竜川合流点に至るまで。
11.0km


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