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九頭竜川本川、日野川および足羽川の被害状況 |
1) |
九頭竜川本川右岸上流部(五松橋〜舟橋間) |
この区間は、県道として利用されていた箇所である。当該区間の上流4km間は圧密沈下が主であり、1.5〜2.0mの沈下を生じた。さらに、五松橋下流5km付近からは高水敷幅が狭いため沈下が著しく、堤防前面の滑り出しと圧密沈下とによって、沈下陥没が2.5m〜4mにも及んだ。特に上森田付近は、堤防前面の滑り出しが大きく沈下も甚だしかった。五松橋〜舟橋の7kmの区間は、堤防天端に数条の大亀裂を生じたため交通が不能となった。また、前面石積と低水護岸は、全て滑り出しまたは崩壊した。 |
2) |
九頭竜川本川左岸上流部(五松橋〜舟橋間) |
右岸同様五松橋下流4km付近までは、沈下も1.5〜2.0m位で主に圧密沈下であったが、流心が左岸に沿っているため、護岸根固の被害が大きかった。また、五松橋下流5km付近より沈下が激しく、舟橋付近では2.5m以上沈下した。この間は、天端に大亀裂が数条みられた。 |
3) |
九頭竜川本川右岸中流部(舟橋〜日野川合流点間) |
本区間のうち、JR北陸線〜京福電鉄間は2.5〜3mの大沈下を生じた。特に、中角橋付近では堤脚に流心が当たっているため、根固枠が滑り出して河中に傾き露出したため、石張護岸が崩れた。堤防法面は、前面に滑り出し沈下が激しかった。また、高屋橋付近も水衝部であり護岸の崩壊、根固工の滑り出しなど被害は大きかった。 |
4) |
九頭竜川本川左岸中流部(舟橋〜日野川合流点間) |
JR北陸線より下流約700mは、改修当時、河状を整えて旧河川敷に築堤したため、前面に流水が当たり、堤内は水溜り箇所のため、沈下は4m位と最も甚だしい箇所であった。また、1ヵ月後の大洪水により、約300mにわたって破壊し大被害を生じた。中角橋より下流は、右岸同様に1.5〜2m程度の沈下であった。 |
5) |
九頭竜川本川右岸下流部(日野川合流点〜新保橋間) |
日野川合流点から布施田橋付近までは、1〜2m程度の圧密沈下であった。また、池見付近は旧川締切部のため、約1,000m区間が滑り出しによって大沈下を生じ、7月25日の洪水により700m程堤防が決壊した。さらに下流は、約1mの沈下であった。
低水護岸の石積と根固詰杭は、殆どが前面に滑り出し崩壊した。特に池見付近の水制工は、2m程度沈下し水制の機能を失った。 |
6) |
九頭竜川本川左岸下流部(日野川合流点〜終点砂丘間) |
この区間は、布施田橋付近までが1〜2m程度の沈下した。さらに下流部では、浜四郷村下野地先の流心接近部で、滑り出し沈下が2m位となった。他は1m内外の沈下であった。
護岸は、浜四郷村下野地先の水制工が1.5m沈下するとともに、全部滑り出し崩壊した。 |
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7) |
日野川(本川合流点〜足羽川合流点間) |
この区間の右岸は、沈下が1.5m程度であったが、下流2kmの区間では2m程度となった。左岸は平均して1.2m程度の沈下で、護岸は水衝部の石積、根固工、詰杭工に被害が多く、なかでも石積は殆ど崩壊した。 |
8) |
足羽川 |
右岸の堤防は、平均して1.2m(洪水位上の余裕高)位の沈下であった。そのうち福井市中心部の1,500m区間は特殊堤となっており、計画高水位までが練石積で、その上1.2mがコンクリート壁であったが、福井市内の地盤沈下とともに練石積が亀裂および沈下を生じ、上部コンクリート壁は倒壊した。上流部は県道としても利用されていたが、大亀裂とともに沈下したので交通に大支障を生じた。左岸の堤防は、福井市中心部付近が2m程度沈下して、7月25日の出水時に危険に頻した。上流の沈下は1.2m程であったが、護岸は右岸同様全壊であった。 |
9) |
悪水樋門の被害状況 |
施工区域内の用水・悪水樋門は殆ど被害を受けた。特に悪水樋門は、下流部に軟弱地盤が多かったため、被害が甚大となった。(悪水樋門:現在の排水樋門のこと) |