九頭竜川流域誌


2.3 水没補償問題

  真名川開発事業用地として買収された地区は、笹生川ダム関係では大野郡西谷村上秋生・下秋生・小沢・本戸の4地区であり、雲川ダム関係は巣原・熊河・温見の3地区にわたった。
  このうち水没した地区は、上秋生・下秋生・小沢の3地区で、笹生川ダムサイトの本戸も生活が成り立たなくなるため、水没集落に準ずる取り扱いとなり、水没地住民は合わせて110戸、628人であった。
  水没地住民は、昭和27年(1952)6月に「笹生川ダム建設による移転対策協議会」を設け、福井県に陳情および要望事項を提出して、県と住民側との折衝が開始された。翌28年(1953)5月には、真名川開発建設事務所内に補償課が設置され、本格的な基礎調査と交渉が始められた。補償調査は、住民代表の立ち会いのもとに行われたが、評価をめぐって意見対立が頻繁に生じ、なかなか進展をみなかった。

篠座神社境内に建つ秋生神社 篠座神社境内に建つ秋生神社
篠座神社境内に建つ秋生神社

  昭和29年(1954)6月より本格的な補償額の提示へと交渉が進んだが、住民側要求額と県側の提示額とに大きな開きがあり、困難を極めたが県会議員と地元村長らの斡旋によって調停が図られ、翌30年(1955)1月に総補償額4億円で妥結・調印をみた。
  なお、水没地住民の移住先は、大野市に65戸、福井市に25戸と多くを占め、県外にも11戸の人たちが移住した。



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