九頭竜川流域誌


2.4 笹生川ダム

(1) 概要
 
笹生川ダム
笹生川ダム
笹生川ダムは、九頭竜川の支川である真名川上流の福井県大野市本戸地先に位置し、真名川総合開発の一環として、福井県が昭和25年度より昭和27年度までに諸基礎調査を完了、昭和28年度より事業に着手し、総事業費48億円で昭和32年(1957)11月に竣工した、高さ76.0mの洪水調節、灌漑用水補給および発電を目的とした重力式コンクリートの多目的ダムである。このダムは、福井県で初めて施工された本格的なダムである。
 洪水調節計画は、ダムサイト地点の計画高水流量470m3/s(1/50年超過確率)の内330m3/s調節するものであった。しかし、ダム完成後、数回計画高水流量を上回る洪水が記録された。特に昭和40年(1965)9月の奥越豪雨では、これを大幅に上回る約1,000m3/sという想定以上の洪水が発生し、余水吐機能・ダム本体が重大な危機に直面した。そのため、昭和47年度より昭和52年度まで総事業費24億円にて、余水吐放流能力を増大させ、また、ダム右岸側にトンネル余水吐を新設するとともに、通信設備、各種観測設備等の改良補充を併せて行い、ダム設計基準、管理施設水準等に対応し、よりダムの安全管理を図るべく堰堤改良事業を実施した。
  また、用水としては、昭和54年度から不特定灌漑用水補給区域で、農業用水の合理化により生み出された減水量を、水道用水へと使用目的を変更した。
図3.4.1貯水池容量調節図(笹生川ダム)
(2) ダムの目的
 1) 洪水調節
 笹生川ダム地点における計画高水流量470m3/sのうち330m3/sの洪水調節を行い、下流真名川・九頭竜川本川沿岸の洪水防御を図る。
図3.4.2 洪水調節図 図3.4.3 流量配分図
 2) 不特定用水
 真名川および九頭竜川沿岸の既得用水の補給等、正常な河川の維持と増進を図る。
 3) 発電
 中島発電所において、笹生川ダム・雲川ダムの貯水最大16.0m3/sを利用して最大出力18,000kwの発電を行う。

発電事業者 福井県企業庁
型式 ダム水路式(内径2.8m、導水路延長約5.0km)
年間発生電力量 106,600Mwh


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