九頭竜川流域誌


5.3 広野ダム

(1) 概要
 
広野ダム
広野ダム
広野ダムは、福井県が日野川総合開発事業の一環として、日野川上流の南条郡今庄町広野地係に築造した、洪水調節、灌漑用水の確保と工業用水の供給を図るを目的とした多目的ダムである。
 事業は、昭和42年度より44年度まで実施計画調査をし、用地補償の解決には4ヵ年の歳月を要したが、昭和46年3月に本体工事に着手し、以来工事も順調に進み、昭和50年(1975)11月にダム本体および放流設備、管理設備などを概成し、翌51年(1976)2月にすべての工事を完了して、同年3月24日完成式を行った。
 なお、平成8年(1996)度より発電(完全従属方式)が、ダムの目的に追加された。
(2) 目的
 1) 洪水調節
 日野川は、昭和36年(1961)9月に来襲した第二室戸台風を始め、数回の台風や豪雨により洪水となり、沿川に甚大な被害を与え、抜本的治水対策の必要に迫られていた。
 広野ダム地点における流出量350m3/sのうち265m3/sをカットし、河川改修計画の基準点である聖橋地点の超過確率1/70年での基本高水流量1,230m3/sに対して、計画高水流量を1,050m3/sとする。
 2) 不特定灌漑
 日野川流域は、渇水期には毎年用水不足を生じているため、下流既成水田3,547haに対し、灌漑期(4月1日〜9月15日)に最大3,100千m3の容量を利用して既得用水の補給を実施する。
 3) 工業用水
 日野川流域の武生市、鯖江市などの工業用水は地下水に依存しているが、最近の急激な用水需要に対処できなくなってきてている。このため広野ダムの貯水を利用し、最大0.5m3/s(日量40千m3)を鯖江東部工業団地に供給する。
(3) 洪水調節方法と洪水調節容量
 1) 調節方法
 洪水調節は、日野川流入量が30m3/s以上となると放流を開始し、ピーク流量が350m3/sに達するまでは、30m3/sから85m3/sの一定率放流とし、ピーク後は85m3/sの一定量放流を行って、最大流入量350m3/sのうち265m3/sを調節する。
 2) 調節後の流量配分
  ダムにより基準地点、聖橋において180m3/sを調節する。
図3.4.11貯水池容量配分図(広野ダム)
図3.4.12洪水調節図
図3.4.12 洪水調節図
図3.4.13流量配分図
図3.4.13 流量配分図


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