九頭竜川流域誌


4.1 足羽川

(1) 流域の概要
  足羽川流域は、福井平野南東端に位置し、池田町・美山町・福井市の市街地を抱いている。足羽川はその源を池田町南端の冠山(標高1257m)に発し、山間部を北流しつつ魚見川、水海川、部子川、上味見川などの支川を集め、美山町にて羽生川を合流した後、流れを北西に転じ、芦見川、一乗谷川、荒川などを合わせ、福井市水越町地先において日野川に合流する。流域面積は415.6km2で山地が85%占め、流路延長が61.7kmの一級河川である。
  足羽川は、下流部において人口・資産ともに密集している福井市中心部の市街地を貫流しており、福井県下において極めて重要度の高い河川である。

足羽川(九十九橋より下流を望む) 足羽川(九十九橋を上流より望む)
足羽川(九十九橋より下流を望む) 足羽川(九十九橋を上流より望む)
図4.1.5 足羽川施工対象区間

(2) 治水計画の概要
  足羽川は、昭和28年台風13号、同年台風15号などの出水を契機として、昭和43年(1968)に策定された九頭竜川工事実施基本計画において、超過確率1/80年の治水安全度をもって計画高水流量700m3/sで改修されることとなった。
  しかし、昭和47年(1972)の台風20号出水では、前波地点において計画高水流量700m3/sを上回る1,100m3/sに達し、昭和50年(1975)の8月台風6号でも1,140m3/sを記録した。一方、足羽川下流域は福井市の中心部であり、開発が進むとともに人口密度や資産が高度に集積されるようになり、抜本的な治水対策が熱望されるようになった。
  そこで、昭和54年(1979)4月に九頭竜川水系工事実施基本計画改定のなかで、足羽川改修の見直しがなされ、足羽川基準地点である前波の基本高水流量を2,600m3/sとし、上流ダム群による洪水調節を考慮して計画流量を1,800m3/sと決定された。この計画は、治水安全度からみると超過確率1/150年であり、事業が完成すれば福井市市街地の安全度が飛躍的に向上することとなる。
  足羽川では、日野川合流点から荒川合流点までの4.46km区間の改修を進めている。なお、足羽橋よりJR北陸線橋梁までの2,040mを対象に、河川環境整備事業を実施している。また、上流の美山町品ヶ瀬および池田町野尻においても、改修を進めている。
図4.1.6足羽川計画高水流量配分図
(3) 事業の効果
  足羽川改修は、下流部において福井市の中心部を貫流しているため、事業の実施によって約15,000haの区域内の家屋3,650戸、約750haの田畑が氾濫による被害から守られるなど、極めて大きな事業効果が期待できる。
(4) 改修工事の概要
  足羽川では、昭和49年(1974)度より中小河川改修によって、日野川の合流点より荒川合流点までの4.46km区間を、引堤を行わないで現河道内で流下能力の増大を図る改修方針に基づき低水路拡幅、河床掘削を進め、平成7年(1995)度までに日野川本川に見合った一次改修である1300m3/sの疎通が可能な河道が完成した。同時に、花月橋、九十九橋、桜橋の橋梁3橋の架替工事を完了した。
  平成2年度からは、日野川合流点付近より上流に向けて、複断面式低水護岸の下段護岸部を施工している。


九頭竜川流域誌メニューへ
第1章メニューへ
戻る次へ
TOPに戻る

Copyright (c) 国土交通省近畿地方整備局 福井工事事務所 2001 All Rights Reserved.