九頭竜川流域誌


4.11 竹田川

(1) 流域の概要
  竹田川は、その源を福井県坂井郡丸岡町の丈競山(標高1045m)付近に発し、曲折しているもののほぼ北西方向に流れ、兵庫川、五味川などを合わせて、河口付近において九頭竜川に合流している。流域面積は208.6km2、流路延長は41.9kmであり、九頭竜川下流域の主要支川である。
  流域内には、丸岡町、春江町、金津町、芦原町、坂井町、三国町の6町があり、山地が47.5%、平地が52.5%である。
  竹田川の右岸に流入する支川は山地河川であるが、左岸に流入する支川は低平地河川である。流域内の集落は、ほとんどが標高が5〜10mの低平地に存しているため、古来から洪水被害に悩まされてきた。この低平地一帯は、福井県下最大の水稲単作早場米の地帯である。近年は、北陸自動車道をはじめ、道路網整備の進捗によって内陸型工業が進出し、福井市のベットタウン化なども顕著となっている。一方、山地地域は、杉を中心とした林業経営に生活の基盤が置かれている。
(2) 治水計画の概要
  昭和50年度に福井県は、九頭竜川合流地点での基本高水流量1,500m3/sを龍ヶ鼻ダムにて200m3/s洪水調節して、1,300m3/sとする竹田川改修計画を策定した。そして、九頭竜川合流点から京福電鉄橋梁付近までの6.4km区間を対象に、超過確率1/50年で主として河道拡幅および合流点処理によって、改修を進めることとなった。当面は、川幅の狭い下流1.375kmを促進事業区間とし、早期に改修を実施することとしている。この区間の改修では、左岸側の引堤により、汐見・道実島・殿島・金井地区で107戸の家屋移転を伴うこととなり、集団移転地となる団地造成を併せて実施することとなっている。
  なお、九頭竜川と竹田川の合流部付近の5,000m2については、広場や植栽などの整備を行い、うるおいのある水辺空間の創出を図る計画としている。
図4.1.24竹田川計画高水流量配分図
図4.1.25竹田川流域図
(3) 改修工事の概要
  明治期以前の竹田川は、丸岡町竹田の加越境にその源を発し、激しく蛇行しながら三国町元新にて九頭竜川に合流していた。川幅が狭いうえに多くの支川や用水路が流入しており、所によっては霞堤となっていた。
  竹田川は、明治期の直轄改修によって河道を拡幅し洪水の疎通をよくするよう改修され、河口部においては地形上から拡幅が困難であったため、三国港に出入りする船舶の便の増進を図る目的と合わせ、浚渫によって洪水の疎通が図られた。その後もしばしば水害が生じたため、福井県では抜本的な改修を進めることとなり、全体計画を作成して三国町汐見から坪江村里竹田までの16km区間を対象に、昭和24年(1949)1月に竹田川工事事務所を金津町六日に開所して事業に着手した。そして、工事の進捗に伴って陣容を拡充し、本部を金津町新富に移し、出張所を4ヵ所設置して工事を進めた。
 工事は、大量の土砂を取り扱うため、土工の機械化を図り鉄製タワーエキスカベーター(40馬力と50馬力の2台)やドラグライン4台(75馬力)、ブルドーザ−4台(50馬力)、機関車4台を使用した。こうして改修工事は、昭和32年(1957)をもって完了した。
 しかし、当時の計画高水流量は下流端において454m3/sと少なく、昭和56年(1981)7月には梅雨前線がもたらした豪雨によって、上流域においては越水や破堤による被害、下流域では内水被害が広い範囲で発生し、三国町・芦原町・金津町を中心に280haが浸水して、383戸の家屋浸水被害(床上浸水167戸)が生じた。
 そこで、昭和56年度より60年度にかけて、三国町下西〜金津町坂ノ下間の約8kmを応急的改修として、計画高水流量の約50%にあたる650m3/sで河道整備や堤体の補強を実施した。しかし、治水安全度は流域に12万人もの生命・財産が集積しているにも拘わらず、超過確率1/12年と低いものであった。
  現在、平成2年度に立てられた河道改修計画に基づき、九頭竜川合流点から竹松橋までの2.4kmを重点区間として改修に取り組み中である。また平成6年度からは、下流端から新栄橋までの1,375m区間について促進事業に組み入れ、平成10年(1998)度までに物件移転を完了し、本格的工事に着手している。
  一方、昭和42年(1967)度に竹田川総合開発事業計画の検討が進められ、昭和43年(1968)4月から龍ヶ鼻ダムの実施計画調査を開始した。龍ヶ鼻ダムは、不特定灌漑用水や上水道用水補給のほか、洪水調節などを司る多目的ダムであり、昭和47年(1972)度に建設に着手し、昭和63年(1988)度に完成した。
空から見た下流部と引堤計画 中流部の現況
空から見た下流部と引堤計画 中流部の現況


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