九頭竜川流域誌


4.9 吉野瀬川

(1) 流域の概要
  吉野瀬川は、その源を武生市と河野村の境をなす矢良巣岳(標高472m)に発し、山間部を北流して途中において当ヶ峰川、大虫川などの支川を集めて流下し、武生市街の西部を流れ鯖江市鳥井町地先で日野川に合流する。流域面積は59.0km2、流路延長が約19.1kmの河川である。流域内には、武生市人口の約40%が占め、近年においては増加の傾向にある。(流域図は図4.3.13を参照のこと)
(2) 治水計画の概要
 吉野瀬川は、昭和20年度から河道拡幅などの河川整備が進められてきたが、災害復旧などによる護岸整備などの局部的かつ小規模な改修にとどまっており、水系を一貫した河川改修としては実施されていない。
  吉野瀬川では、昭和40年(1965)9月の台風24号による出水で浸水家屋1,800戸、浸水農地310haという大きな被害を受けた。また、昭和56年(1981)7月の梅雨前線による豪雨時には浸水家屋350戸、浸水農地100haの被害があった。その後においても、昭和58年(1983)7月および9月出水時に、堤防天端近くまで水位が到達し、越水寸前に至ることが生じている。
  一方、流域では区画整理事業および圃場整備事業などが実施されつつあり、排水改良による流出形態に変化が生じ、吉野瀬川の治水安全度にも影響を及ぼすようになった。
  そこで、他事業とも調整を図り、水系一貫した改修計画を策定し、治水安全度を高めるため、疎通能力の低い当ヶ峰川合流点までの延長約8.37kmを対象に、超過確率1/70年で改修を進めることとなった。
(3) 事業の効果
  吉野瀬川は、現在の治水安全度が超過確率1/2〜1/3年程度と低く、これを超過確率1/70年として事業を実施することによって、武生市の市街地など約14km2の区域が氾濫による被害から守られるなど、大きな事業効果が期待できる。
  なお、吉野瀬川上流では、吉野瀬ダム建設が進んでおり、洪水調節を図ることとなるが、下流においても放水路によって洪水の疎通を円滑にする計画となっている。

吉野瀬川中流部(武生土木事務所付近) 吉野瀬川中流部(武生土木事務所付近)
吉野瀬川中流部(武生土木事務所付近)


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