九頭竜川流域誌


8. 地下水
8.1 地下水の現状

 九頭竜川流域は、地下水が比較的豊富であるため、古くから飲料水などの生活用水、あるいは繊維工業を中心とする工業用水などに、地下水への依存度が高くなっている。
 福井県の平成10年度における上水道、簡易水道など水道普及率は、95.1%に達しているが、福井市と坂井郡6町で一部河川水を使用している以外は、各市町村において地下水を上水道水源としており、河川水を利用している所は少ない。
 工業用水においても、多くの工場が地下水に依存し、福井臨海工業地帯と昭和51年に完成した広野ダムによる鯖江工業団地の給水以外には、2件の水利権がある程度である。
 都市用水がこのように地下水を利用しているため過剰揚水となり、昭和49年(1974)の国の環境白書で、初めて福井平野の地盤沈下が指摘され、福井市南部では昭和46〜49年の4ヵ年で25.4cmの沈下が計測された。このため、昭和50年(1975)10月に福井県は、「福井県地盤沈下対策要綱」を制定し、関係機関と連携をとりながら種々の行政指導を行ってきた。その結果、福井市を中心とする地域の地下水位は回復に向かい、地盤沈下も沈静化に向かっている。最近の地下水位は、経年的にも全域にわたって安定しているように見受けられる。
  しかし、地下水位の挙動を月別に見ると、4〜6月ごろに地下水位が高く、8月を過ぎると下がり、10〜12月ごろに高くなり2月に下がるという傾向が見られる。このような変動を見ると、水田に水を張っている期間は地下水位が高く、水田から水を落とすと地下水位が下がる傾向がある。すなわち、地下水位は、水田耕作と強い関係がみられるようである。
 また、九頭竜川本川上流域の大野盆地は、真名川扇状地が発達し、昔から地下水が豊富で湧水の多い地域である。しかし、近年、過疎化対策の工場誘致による工業用水と、冬期の融雪用水を地下水に依存して大量に使用しているため過剰揚水となり、冬期には地下水位が低下して水源枯渇の影響が現われ、生活用水にも支障が生じていることから対策が望まれている。



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