九頭竜川流域誌


1. 流域の視点に立った川づくり

 わが国は21世紀を迎えるにあたって、高齢化・少子化がますます進み、成長社会から成熟社会へと急速に転換するとともに、国際化の進展や高度情報化の到来、そして地球環境問題の進行などによって、社会経済や環境面でのグローバル化に拍車がかかり、いかにして持続的な発展を図るかが大きな課題となっている。
 そして21世紀の社会は、量的拡大から質的向上へ、画一的発展から個性的展開へと変化し、産業・経済重視から自然・文化とも調和のとれた産業・経済の進展する社会へと変化していくことが求められている。すなわち、安全で安心できる暮らしを確保しつつ、良好な自然的・文化的環境の保全と創出、地球環境への負荷の軽減などを推進し、人々が心の豊かさを享受できる質の高い社会の構築を目指すことが重要と認識されつつある。
 このようななかで河川整備においては、社会的な変化、国民のニーズとライフスタイルの変化を的確に捉えて、希薄となりつつある地域と河川、人と川との関わりを水災害や水利用、自然環境、地域の個性といった流域の視点に立って、河川管理者と地方公共団体および住民などが役割分担を明確にしつつ、広域的かつ総合的な施策の展開が重要となっている。
 九頭竜川流域は、九頭竜川・日野川・足羽川といった三大河川を中心に古くから開かれた地域であり、それらの河川を相手に治水・利水のためのさまざまな水との闘いを経て、ささやかな安全と安心を得る一方で、長い歳月を経過して、深い文化、多様な自然、独自の風土、地場産業などが育成されてきた。
 21世紀においても、地域の人々が河川に働きかけてきたさまざまな営みを継承し、地域のみではなく、下流と中流、そして上流の人たちが一体となって、流域の視点に立った川づくりのための行動と展開が望まれる。



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