九頭竜川流域誌


2. ドラゴンプロジェクトとドラゴンリバー交流会
2.1 ドラゴンプロジェクトの誕生

(1) 川を主軸にした文化圏の再構築
 江戸時代の300諸侯による藩幕体制は、ほぼ流域を単位として形成され、川を通じた水循環を軸として自然と共生していた。そして、流域を単位とした地域文化圏が形成されたが、交通網の発達や合理的な経済活動などによって、地域文化圏が崩壊の危機にさらされている。そこで、川を軸に魅力ある地域文化を再構築し、地域がロマンと活力に溢れるようにするための手法が議論された。
 ドラゴンプロジェクトは、建設省河川局河川計画課河川環境対策室が事務局の「水の環境・文化懇談会」のなかで、川を竜に見立てて提唱された「運命共同体としての流域住民の自覚と交流」を目指した流域の山村・農村・都市の生活と文化の交流を図り、ともに一本の川で結ばれた運命共同体としての認識を深めるためのケーススディとして誕生した。
(2) ドラゴンプロジェクトの実践的な試み
 九頭竜川は、川を竜に見立てた「水の環境・文化懇談会」が提唱する思想に最も適した河川であり、流域であることから、実践的な試みを展開する河川に選ばれた。そこで、行政と学識経験者からなる「九頭竜川水系環境検討委員会(平成6年2月設立)」と流域住民で組織された「ドラゴンリバー交流会(平成6年5月設立)」の二本立てで、行動展開に向けての内容が検討された。
 そして、平成7年(1995)4月3日に交流会事務局を福井市企業局庁舎4階に設置し、本格的な活動を開始した。また、九頭竜川水系環境検討委員会は、平成9年(1997)3月に「Dragon Project−自然と人が共生する望ましい水系環境の実現へ向けて−」を主題に、「九頭竜川の自然と心の豊かなふれあいを求めて」と題して9つの提言をまとめた。

ドラゴンプロジェクト趣意
 古来、河川は自然そのものとして、その地域の人々の生活と結びつき、地域の文化や歴史の形成に大きな役割を果たすと共に、幾たびもの大災害をもたらしました。現在、上・下流の交流が少なくなり、流域としての一体感が薄らいで来ております。今回、流域内(山、里、都市、海)に住む人々の活発な交流、意見交換により「自然と人間の共生プランづくり」を行い河川を軸とした地域の一体化をはかり、災害に強く豊かな自然あふれる活力のある地域づくりを行い、すばらしい水系環境を次の世代に引き継ぐものであります。


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