九頭竜川流域誌


2.2 川づくりのための施策

(1) 安心して暮らせる川づくり
 九頭竜川・日野川・足羽川をはじめとする河川は、明治33年(1900)から始められた第一期改修工事以来100年間という歳月をかけ、洪水と闘いながら改修を進めた結果、昭和28年(1953)や同34年(1959)、そして同40年(1965)のような大災害はみられなくなってきた。それは、河道を掘削し、堤防を築く河道改修整備と合わせて、上流ダム群の建設および荒廃した山林の整備が進んだからである。
 しかし、都市域がかっての氾濫原にまで拡大してきており、かえって被害ポテンシャルが高くなってきている。このため一度、昭和28年などのような洪水が発生すれば、被害は莫大なものになるものと予想される。
 したがって、河川改修計画に基づく計画的な整備を推進するとともに、被害の軽減と最小化を考え、流域で捉えた治水対策や避難などの危機管理対策が必要である。
(2) キレイな町(地域)のキレイな川づくり
 九頭竜川流域には、洪水との闘い、河川水の灌漑用水や飲料水としての上手な利用などから、水太鼓や雨乞い祭り、婚礼の時の「一升水」の習慣など、さまざまな水文化が伝承されている。また、九頭竜川がアユ釣りとして全国的に有名なように、比較的水量が豊富で清流を維持している河川が多く、自然生態系にも恵まれている。
 今後においても、伝承されている水文化を継承するとともに、忘れられた水にまつわる文化を掘り起こし、舟運の復活や河畔林の整備などによって、河川や水を大切にする気持ちを後世に伝えることが必要である。
 また、清流を維持していくためには、地下水の保全、多様な生物が生息できる水辺空間の創出といった、自然にやさしい、人と自然とが共生する川づくりを進める必要がある。
(3) みんなが遊べる、みんなが学べる川づくり
 河川は、水遊び、魚捕り、魚釣り、植物採集のほか、各種スポーツを楽しんだり、散策などが楽しめる空間である。九頭竜川や竹田川などでは、いかだ下りなどの催しが行われている。
 九頭竜川・日野川・足羽川などには、さまざまな河川公園があり、幼児からお年寄りまで、また一人ででも、家族と一緒にでも、見通しの良い広い空間で多様な遊びを楽しむことができる。さらに、昆虫や植物採集などを通じて自然とふれあえる。
 今後も、身近にみんなで集い、さまざまな遊びを通じて交流を深め、川という帯で人々が、まちとまちとが結ばれ、連携を深め、川との絆を強めていくことが大切である。
 そのためには、利用しやすい河岸整備、人が集まる桜つづみや広場整備などを進める必要がある。


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