九頭竜川流域誌


3. 21世紀の川づくりのための主要施策

 建設省と福井県、そして市町村は一体となって、自然の猛威から住民の生活を守ることを基盤に置いて、人々の生活文化や精神文化の形成に大きな役割を果たしてきた河川に対する様々なニーズに応えるよう、自然環境や文化を重視した治水事業の展開を図っている。
 ここでは、建設白書の中から、国民の生命・財産を自然災害から守るために、安全で安心できる国土づくりを基本に置き、自然を生かした川づくり、地域の個性を生かした川づくり、生活福祉空間となる川づくり、河川を生かした都市の再構築、総合的な土砂災害対策の推進、河川を軸とした情報ネットワークづくりなど、主要施策のうちから、幾つかを紹介する。

(1) 自然を生かした川づくり
 河川が有する瀬や淵といった多様な形状や上下流方向の連続性を保全・創造する「多自然型川づくり」、うるおいとふれあいのある水辺空間の創出のため、本来の自然豊かな川を復活させる「河川再生事業」、地域住民の憩いの場を創出する「桜づつみモデル事業」などがある。
(2) 地域の個性を生かした川づくり
 河川は地域の文化と風土を形成する重要な要素であり、河川・渓流などと地域との密接な関係を再構築していくため、地域交流の拠点となる「水辺空間整備」の推進や「ラブリバー制度」の活用などがある。
(3) 生活福祉空間となる川づくり
 少子・高齢化社会の到来を迎え、水と緑豊かな河川に対して人々の健康や余暇活動、子供たちの遊び場としての利用が高まっており、このようなニーズに応えられるよう「河川環境整備事業の推進」や「水辺の楽校プロジェクト」などがある。
(4) 河川を生かした都市の再構築
 安全で快適な生活環境を実現するとともに、地域の活性化を図るため、まちづくりと一体となった河川整備を行い、まちづくりの核となる良好な水辺空間を創出する「ふるさとの川整備」や、地域防災空間としての機能を生かした「緊急河川敷道路整備」などがある。また、かつて河川は物流の効率的な輸送路であり、船遊びの場でもあったことから「河川舟運の促進」についても考えられている。
(5) 総合的な土砂災害対策の推進
 土砂災害に被害の軽減を図るため、「砂防施設整備の推進」とあわせて、「土砂災害危険箇所図や土砂災害氾濫(予想)区域図の作成・公表」、「危険箇所の住民への周知」などの警戒避難体制整備が推進されている。
(6) 河川を軸とした情報ネットワークづくり
 洪水や渇水時に正確かつ迅速に河川情報を提供し、被害の最小化を図るため「光ファイバー網の整備」や「高度情報通信システム」の構築が推進されている。
 現在はインターネットで代表されるように、マルチメディアの時代である。光ファイバーの敷設も進んでおり、高度で大量の情報通信が可能となりつつある。
 「流域情報ネットワークの構築」により建設省・県・市町村などと地域放送局、ドラゴンリバー交流会などが連携し、洪水や渇水、さらには地震情報を提供したり、河川利用や河川でのイベントなどの情報提供、さまざまな活動情報などを発信し、流域のみならず日本全国、さらには世界の人たちとの交流の輪を広げる手段として活用できる。


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