第2回揖保川流域委員会 議事録(概要)
日 時 : 平成14年5月27日(月)14時から16時
場 所 : 山崎町 山崎防災センター 5Fホール
出席者 : 委員14名、河川管理者1名、傍聴者54名、

1. 開 会
2. 現地視察報告
 5月14日に委員16名、5月20日に委員4名が参加して実施された現地視察の概要が報告されました。スライドを用いて、各視察ポイントの状況、委員及び河川管理者によって行われた解説の要点、視察の最後に委員から出された感想、について説明されました。
3. 揖保川と流域の現状認識
 冒頭で、各委員から揖保川と流域の現状認識として、以下の3項目に関する意見が発表されました。
(1)検討を進めるにあたって、知っておくべき又は知りたいと思われる情報の項目と内容
(2)委員が持っている情報で、他の委員に知ってもらいたい情報
(3)その他、情報の共有化に関して委員会での検討が必要と思われる事項

各委員から出された意見の要旨は以下のとおりです。

浅見委員:
河川水辺の国勢調査等で揖保川を代表する個々の生物(群集)の分布や生育状況、貴重種の分布や生育状況と、その年代による変遷についてまとめられているものを基礎資料として、さらにその自然環境の特性を分析・評価した資料があれば情報を共有したい。また、現地視察の内容で、ある程度一致した見解が得られたことについて、数値もしくは指標といったかたちで客観的に評価していきたい。視察時に指摘された問題点に関しては、「なぜそういうことが起きたのか」という仕組みや背景を解きほぐしていくことが必要である。

家永委員:
川に常に水が流れている状態を維持していくため、直轄管理区間外も含めた流域全体について知る必要がある。源流部、支流部も含めて水源涵養林について見直していただきたい。

櫛田委員:
揖保川の川辺には非常にたくさんの河畔林が残っており、魚類、鳥類、小さな小動物などの餌場ともなっている。これらの大変貴重な河畔林を大切にし、人間と共に共生していく方法を委員会で考えるべきではないか。

庄委員:
災害が起こる危険性の大きい上流域の課題を踏まえながら、堤防から水辺へ降りていける自然環境の空間を考えていかなければならない。また、直轄管理区間外の支流を含む源流域の山の現状、地域住民との関わりなどの現状を認識していかなければならない。

進藤委員:
「清流ルネッサンス21」の概要、揖保川町正條地区「水辺の楽校プロジェクト」の概要、「西播磨地域ビジョン推進プログラム」との協力や連携の可能性、「とんぼ池」における地域住民参加型ビオトープづくりの概要、森林と河川との関係・つながり、地場産業などと河川の関係・つながり等について知り、現状を認識していくことが大切である。

田原委員:
川と関わっている住民の方々の活動団体を把握する必要がある。また、川と周辺の土地利用を含めた流域の状況とその変遷が非常によくわかるものとして、景観情報が重要な意味を持っており、時系列的に並べていくと、これから先の川の管理を考える上で貴重な財産となる。

栃本委員:
参考文献としてあげた「龍野の自然」「ひめじのさかなとまみずの生物1」「生きている揖保川」の情報をもとに、水の中あるいは水辺周辺の生き物について委員の方に知っておいていただきたい。川というのは一続きのものであり、全体を見ていかなければならないし、川の中だけでなく集水域全体の自然環境にもっと注目していかなければいけない。また、これ以上自然を減らさない方向で考えていくべきである。

波田委員:
昭和30年代前半頃までの揖保川流域の自然環境と人々の暮らし、特に水利用の状況について知っておきたい。また、必要であれば、ランドスケープを考える上での基本的なデータとして、揖保川流域の基盤地質についての情報を提供できる。

正田委員:
龍野橋は架け替えの必要な時期にきているが、架け替えにより歴史的な町並みがどのように変わっていくかということを心配している。また、龍野中心部の川幅を拡張する場合に、沿川の文化財がどうなるのか気がかりである。これらの両立を考えることが大事である。


丸山委員:
現在、国土交通省において計画している工事、行事があれば知りたい。揖保川の水質は、データで比較しても近年確かによくなっており、上水道に携わっている者として喜んでいる。

道奥委員:
現地視察において、揖保川では住民の川に関する意識が非常に高いと感じた。上流から下流までの高い意識どうしを、何らかのかたちでつなぐ、あるいは意志疎通できるような仕組みが必要なのではないか。地元のNPO・市民運動などを通して上下流方向のコミュニケーションを高めていくために流域委員会がどのような役割を果たせるのか、ということを考える上で、全国の他の流域のネットワークの方法論が揖保川に適用可能ではないか。

森本委員:
山崎近辺の揖保川は、非常に暴れるところだと思う。環境も大事だが、山崎では治水が大事である。各地域の特性に合った河川行政をお願いしたい。

吉田委員:
支川の林田川では、安富ダムの完成により冬場の水不足が解消し、林田川の水質も清流ルネッサンス事業等で改善され、最近では川沿いを散歩する人も増えてきている。堤防の草刈りの時期等については地元の要望に配慮願いたい。

田中丸委員(メモを庶務が代読):
揖保川の水利用を考えたとき農業用水を無視できない。また、揖保川には複数の頭首工、井堰があり、魚道のあり方など農業と漁業の業種間の関係も考える必要があるので、農業・農村からみた揖保川の現状を把握しておく必要がある。また、揖保川の河川整備や河川環境等に関連するアンケート事例、揖保川に関連の深い活動団体、揖保川を題材にした学校における取り組み等について把握する必要がある。

以上の委員からの発表をもとに、意見交換が行われました。主な発言は次のとおりです。

◆委員からの主な発言
龍野のように、まちづくりの中に川という要素を折り込んでいるところがたくさんあるだろうと思う。そいういうところと接点を探りながら一緒にやっていけないか。いろいろなかたちで川に関わっておられるグループがたくさんあり、ネットワークが広がっていけばいいのではないか。時間がかかると思うが、そういう芽を流域委員会が開催される期間だけではなくて、それ以後のことも考えて切り口を作っておけばいいのではないか。

流域に発展している町の中で川とどのように関わっているのか。そういう意味でのNPOとの関わりとか都市計画との連携についても考えていく必要があるのではないか。

河川管理者の方に、揖保川の治水や利水の歴史的な経緯、今まで揖保川をどのようにマネジメントしてきたのかについて、レクチャーしていただくのはどうか。

新しい河川法に基づき、治水・利水・環境のバランスのとれた河川整備をしていかなければならないので、地域によって求めておられるものが違うのだが、求めておられないことも流域委員会では整備計画の中に盛り込まれるように気をつけなければならない。

揖保川は、全国的にも非常に自然の残された、植物・水生生物の豊かな河川であり、我々がどれを残して、どれを切り捨てるということはとても言えないので、きちんとしたデータで情報を知っていくことが非常に大事ではないか。

○> 流域委員会は、範囲としては集水域全体を考えていかなければならないと思う。左右の広がりだけではなく、川を上・中・下で分断して考えること自体がおかしいのではないか。

100年に一度の大水を通す流下能力が欠けている部分があるという現地視察での説明だったが、これは降った雨が即すべて川の中に流れ込むと言うことを想定してのことなのか。降った雨は一度地面にしみ込ませる。つまり、緑のダムを考えていくべきではないか。

森は大切であるが、流域委員会としてはどのような情報を得ればいいのか。

非常に難しいが、水源の森をどうするのかということを、下流の方も考えて一緒に協力することも必要ではないかと思う。

流域の中の産業として、漁業、農業(農業利水)や地場産業も発達している。そのあたりも流域委員会としてきちんと認識していく必要がある。場合によってはどなたかにお聞きするということも含めて考えていかなければならないと思う。

今後、どのようにNPOと連携していくかについては、庶務あるいは河川管理者の方から、いくつかのデータが出てきた段階で詰めていきたい。

一般の方からいくつかいただいている流域委員会に対するご意見には答えを求められているものもある。返答にあまり時間がかかると今後のレスポンスが期待できなくなってしまう。


 最後に、次回以降の委員会における「揖保川と流域の現状認識」として、以下の情報を共有していくことが決まりました。
 
NPO等との連携も含めて、地域づくり・まちづくりの活動に関する情報を共有する。
治水、利水及び水質・水量等の問題のこれまでの経緯について河川管理者に説明をお願いする。
マップとしてまとめたものなど、植生、水生生物等の自然環境に関する情報を、上流域も含めて河川管理者に説明をお願いする。
地域の地場産業、特に水と関わりのある産業について情報を共有する。
委員会が得た情報をどのようにして流域の方々に伝えていくかについて、常に考えていく。場合によっては、アンケート等でより有効な方法をさがすということも考える。

4. 傍聴者からの発言

 3名の傍聴者からの発言がありました。

 傍聴者の発言に対し、委員長からその場で回答できることがらについてコメントがあり、さらに、これまでに書面等でいただいた意見に対してどのように考えていくかを次の議題にしながら、委員会を進めていく旨の発言がありました。


5. ニュースレター表紙写真の選考
 ニュースレターNo.2の表紙写真について、委員による投票が行われました。

6. 閉 会

 

 

 

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