第3回揖保川流域委員会 議事録(概要)
日 時 : 平成14年8月2日(金)13時30分〜16時30分
場 所 : 太子町 太子町立文化会館 あすかホール 中ホール
出席者 : 委員19名、河川管理者1名、傍聴者55名、

1. 開 会

2.

揖保川と流域の現状認識
 
第2回委員会の結果を受けて、「揖保川と流域の現状認識」として必要と判断された情報を、第3回委員会と、第4回委員会の2回に分けて共有することとなりました。  
 
今回の第3回委員会では、次の内容について河川管理者より現状説明が行われました。  
  (1)揖保川の治水の歴史と現状  
  (2)揖保川の利水の歴史と現状
  (3)揖保川の水質と水量  
  (4)揖保川の自然環境  
 
 以上の説明に引き続き、委員による質疑応答が行われました。主な発言は次のとおりです。


委員からの主な発言
 

「緑のダム」に関する資料で、森林が大きいほど流出量が多いというデータは、自分の認識と反対のような印象をもった。この資料は自然林のデータなのか、人工林のデータなのか教えていただきたい。  
→(河川管理者による回答)自然林のデータである。

 

今の環境構造は、降った雨が地面にしみこまないですぐに流れ出てしまうところに問題がある。水源地域の「緑のダム」の問題だけでなく、揖保川流域全体の水のサイクルをゆっくりとしたものに変えていかなければならない。

  「緑のダム」に関する議論は、ややもすると森林がダムの機能を代替できるかのように錯覚してしまうところがある。森林だけでダムの機能を期待するのは危険な考え方である。

  森林面積が十分あれば、別の土地利用の場合よりも洪水時のピーク流量を減少させる効果があることは間違いない。森林による渇水を緩和する機能に関しては、プラスの効果とマイナスの効果が同時に存在するため、そのどちらが強く出るかということは流域によってかなり異なると考えられる。

  「緑のダム」に関しては、揖保川について定量化していくことにより議論が深まるのではないか。

  「緑のダム」についての行政施策は、林野庁や兵庫県に管轄が移る。これからは、縦割りでなく横につないでいく何かを見つけていくことが課題である。

  山崎町近辺でも近年アユが非常に少なくなっている。他県ではアユが冷水病でたくさん死んだということも聞いている。最近は下水処理場などができて、揖保川が自然的な川からだんだん都市的になっており、そのことがアユの生育に影響を及ぼしているのではないかという危惧を持っている。

  揖保川流域の下水道や合併浄化槽の整備や、処理した水をどこへ流しているかなどを調べていただきたい。

  同じ森林でも、ヒノキ、スギなどの人工林の中は真っ暗で、降った雨が一気に流れてしまう。源流域の雑木と人工林の間に立つとそのことがよくわかる。その様子は、足を運んで見てみなければならない。

  今年は、降雨量が少なく揖保川の支流でも水量が少ない。水生生物による水質調査の結果では、いつもは見られない汚い川に棲む生物が多く見られた。雨量が少ない年は水質が悪くなるということを感じている。

  揖保川上流部の道路にまいている融雪剤が水質に及ぼす影響などを、調べていれば教えてほしい。
→(河川管理者による回答)いままでそういう調査をしていないので、紹介できるデータがない。

  三川分派地区では干潮時の水量が昔に比べて非常に少なくなった。雨が降って放流したときだけ水が流れている状態で、昔の揖保川に戻ってほしいと思っている。

  水量に関しては、下水道の整備以外に農地の休耕田が影響しているのではないかと思う。

  スライドに取水地点について整理しているが、下水道も含めて、どのあたりで水が出てくるのかという数値も一緒に載せていただけると、実際の流量の変化がわかりやすい。また、揖保川が一級河川に指定された昭和41年頃の流量の変化がわかれば教えていただきたい。

  下水道も含め、どういうふうに水が海まで達しているかという、流域の水循環とか水の流れが大づかみでわかれば、水量の検討に非常に有効である。

  100年に一度の洪水というのはどれぐらいの流量を想定しているのか。  
→(河川管理者による回答)龍野地点で3,900m3/sを想定している。

  今までに3,900m3/sという洪水はあったか。
→(河川管理者による回答)昭和45年の台風で龍野地点で3,017m3/sというのがあったが、 3,900m3/sはない。

  下水道が整備されるのにしたがって川は細く、狭くなってくる。揖保川と、周辺の下水道整備との共存を今後どのように図ることができるかを、今後の検討課題としてはどうか。

  この委員会では、治水・利水・環境の3点をポイントとして、科学的知見の積み重ねと、粘り強い取り組みを行い、学際的、総合的、体系的な地域との共存策について時間をかけて検討することが求められている。

  流域内の上中下流別あるいは市町村別の土地利用面積の割合(森林面積、農地面積、都市的利用面積)について、経年変化を含めて調べていけば定量的な議論ができる。

  魚道については、遊泳力の弱い魚類や、川底を歩いて移動する生き物などがのぼれるように改良していかなければならないのではないか。遡上に問題のある堰を順次改良して川の流れを1本につなげ、生き物が自由に移動できるようなかたちに変えていかないと自然環境は戻ってこない。

  河川法が改正され、「治水」「利水」に加え「環境」が法の目的として新たに加わった。治水、利水については、数値的にきっちり押さえてあり、環境についても数値的とまでいかないまでも、分析した結果を客観的なものとして考えていきたい。自然環境の説明もしていただきたい。
→(河川管理者による回答)次回の議論とさせていただきたい。

  河川法の改正の大きな趣旨は、まちづくりの中に川をいかに位置づけていくかが非常に大きなポイントだという話をしてきた。揖保川流域の市町村の総合計画の中で、揖保川をまちづくりの中でどう位置づけているのかの情報も提示していただきたい。

 
以上を受け、次回の委員会では、「揖保川の水と産業」、「揖保川と流域社会」等の現状に加え、今回委員から指摘を受けた内容に関し、引き続き情報の共有を行うこととなりました。

3. 情報の地域との共有方法について

  現状の揖保川流域委員会の情報公表手段について庶務より説明が行われました。なお、この議題に対する討議は、次の「4.」のところで一括して行われました。

4. 「揖保川と流域への想い」(次の検討段階の進め方)について

 他の河川の流域委員会における、地域住民からの意見募集等の事例について庶務より紹介が行われ、「3.」の「情報の地域との共有方法」と合わせて、委員による討議が行われました。主な発言は次のとおりです。

委員からの主な発言
インターネットのアクセス件数が、月平均136件というのは信じ難く少ない。流域委員会自体の知名度が非常に低いと考えられ、知名度を上げる方法を考えていかなければいけない。

このニュースレターは、中身が非常に抽象的でおもしろくない、わかりにくいというところもあるので、もう1つ工夫をしていただきたい。

1つのテーマや情報について、一般の人たちはなかなか関心を持ってくれない。そのための工夫をどうするかというところから考えていかなければ、ここでやっている意見発表の中身を載せても読んでいただけない。これまでの論議の中で抜けていた年中行事も含めた民俗、伝統産業、文化、そういう情報を提供していけば、もう少し一般的な関心が出てくるのではないか。

ニュースレター等々の配布も重要な告知方法だが、実際に流域委員会の動きの中に参画していただいたり、流域委員会が地域と共同でイベントを実施したりする中で、共に歩んでいこうというスタンスを持たないといけない。1つの事例として兵庫県がやっている「地域ビジョン」との共同連携ができないか。(第2回の会議でも、進藤委員から提案された)

地域で活動されている方々を元気づけたり一緒にやるために、例えば顕彰して、活動の報告をイベントにするなどといった地元密着のシンポジウムみたいなものも可能で、それから地域にしみ込んでいくことがとても重要。その広報や告知の施策としてホームページやニュースレターがあると考えたほうがよい。

当委員会は、今後も揖保川のあちこちの地域の環境を歩いてみるということを基本原則にしてもらいたい。このことに、揖保川をめぐる豊富な実例を組み合わせていけば全体像が明らかにされる。

  シンポジウムというのはわりといい手段かなと思う。各地域の特徴のあるものを1つテーマに選び、それぞれの専門家の先生方に喋っていただく。それを少し詳しくニュースレターに載せていけば、もう少し読む興味が出てくるのではないか。

今日の説明の中で、ああそうかなと思うことが2〜3あった。これは面白いのではないかと思えば、それを特化してニュースレターに載せていくというのも1つの手ではないか。そういうニュースの整理というか、おもしろさの整理、演出のようなことをもう少しやっていかないと、地域の参画と協働はなかなかやれるものではない。

委員の先生方からご意見を出していただいて、庶務といろいろと考えながら、より読みやすいニュースレターにしていきたい。

この委員会に流域の住民の方が何を期待されているかということを、アンケートをして把握しておくことが必要。

例えばアンケートの中に特定のテーマがうまく出てきて、それをシンポジウムとか何かに持っていければというふうなことも検討したい。

地域住民の方の声を直接的に聞くということを、ぜひやっていただきたい。

淀川流域委員会で行われたシンポジウムのパネルディスカッションは、ぜひ報告書を見てみたい。

 この討議の結果を受けて、   
  ・委員会と地域の人々との協働・連携   
  ・流域内各地の状況と活動をよく知ること   
  ・ニュースレター等で一般の人々に流域委員会に対し関心を持ってもらう工夫
 について、今後具体的な方策を検討していくこととなりました。


5.  傍聴者からの発言

1名の傍聴者から次のような発言がありました。
  揖保川の清流は、山崎で飲める水も御津町で飲める水もおいしく飲めるような水でなかったらいけない。これを後世に引き継ぐ義務がある。生物は正直なもので、川の水が汚ければそこに居着くこともできない。放流したアユが放流した時点よりも細くなっている。川に泥がたまる。そこから藻が生えてくる。それが実態ではないか。揖保川を清流で後世に引き継げるような委員会であってほしいと願う。

6.

閉 会



 

 

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