第5回揖保川流域委員会 議事録(概要)
日 時 : 平成14年11月25日(月)13時30分〜16時30分
場 所 : 山崎町 山崎防災センター 5F ホール
出席者 : 委員14名、河川管理者2名、傍聴者41名、

1. 今後の審議の進め方について
     今後の審議の進め方について、前回委員会で行われた審議の内容の確認に引き続いて、分科会設置に関する討議が行われました。
 その結果、別紙1のとおり分科会設置についての規約改正案が承認され、以下のことが決まりました。
   
設置する分科会は次の3分科会とする。
  1)(仮称)治水・利水・自然環境分科会
  2)(仮称)地域社会分科会
  3)(仮称)情報発信・啓発分科会
すべての委員がいずれかの分科会に所属する(2つ以上の分科会に所属することもできる)。
分科会のメンバー構成案は別紙2のとおりとする。
分科会の会議及び審議結果は公開を原則とする。
分科会は河川管理者が出席する。
      今後、12月〜2月にかけて各分科会をそれぞれ開催し、2月を目途に次回委員会を開催して各分科会からの意見を集約していくことが確認されました。
 今後の審議の進め方について出された、主な発言は次のとおりです。
委員からの主な発言
  <設置する分科会について>
  これまでの委員会で多面的に揖保川の流域を見て、議論も非常に多岐にわたっている。提起された問題を整理し、収れんさせる方法として分科会を設置することは有効だと思う。多角的な問題を議論する場合に時間を節約するためにも、分科会を設置した方が効率的ではないか。
  河川のことを考えるときに河川空間単体で考えるわけにはいかず、流域全体で考えなければならない。流域の皆さんによくわかるような具体的な議論を提供し、かつ委員会が受けていくためには分科会は必要である。
  キーワードを眺めてみると、歴史・文化、景観は「景観分科会」としてくくり、地域社会、空間利用、住民参加を「まちづくり分科会」としてくくることができる。
  河川の現状を見ていると、現在は悪い状況になっており、これは人と川が離れていったということが一番の原因でないかと思う。関係住民の意見を聞いて整備計画を策定し、その後も住民が川に関わっていくということも考えていかなければならず、治水、利水に付け加えて、歴史・文化、景観、地域社会、情報発信などを重要視してほしい。
 

地域社会の問題も、情報発信・啓発の問題も、その中にそれぞれ治水、利水、環境の問題があり、3つが常にあるという前提の下で分科会を進めていけば、かなり整理できる。「治水・利水・自然環境分科会」は主に技術的あるいは自然科学的な検討をしていただき、それ以外の社会科学的あるいは人文科学的な項目は、残る分科会が治水、利水、自然環境を念頭に置いて検討を進めていただいたらどうかと思う。

 

基本的には揖保川の圏域を一体として捉え、画一的でなく根拠に基づいた体系的な揖保川の再生プランを作り上げていく。そのために時間的、物理的な問題からいくつかの分科会に区分するにすぎず、学際的観点に立って分科会の中身を肥え太らせていくことによって結論めいた部分がでてくるのではないか。

  分科会が分科会として機能すること、あるいはあとで意見が集約方向に向かうことを考えると、分科会の数は3つぐらいがよいと思う。
  分科会の意見をどうやって集約するのか。それによって治水、利水、環境を、まとめてよいのか離してよいのかということが問題になってくる
  分科会の中でいろんな意見が出てくると思うが、その分科会の大きな意見集約の方向が分科会の名前になると思う。分科会の持っている課題によって分科会の回数に違いが出てくるかもしれないが、一つの分科会の案が出てきて、別の分科会の方からその案に対する意見を加えていただくなりして、最終的にそれらが河川整備計画に反映されるように持っていけば、一つのかたちになるのではないか。
  揖保川は上流、下流の変化が大きいので、治水、利水、環境を一度に上流から下流まで検討できるだろうかと思う。上流、下流では河川敷の利用等いろいろな面で異なり、町によっていろいろな意見があるのではないか。そういうことを加味する必要がある。
  治水、利水に関して自然環境は相反する存在ではないかと思う。今までの河川工事に、生き物に対する配慮が欠けていたため、自然環境が壊れてきたというところがあるので、これらを一緒にするのはどうか。自然環境を考える上で、治水、利水のことも当然考えねばならないが、性格的に相反する気がするので、別の分科会とした方がよいのではないか。
  治水、利水、自然環境をそれぞれ別の分科会にしても最終的にはすり合わせをする必要があることを考えると、最初から一緒に考えた方がすり合わせがしやすいのではないか。参加人数を考えると3つの分科会がよいと考える。1つ目は治水、利水、自然環境からなる「水環境分科会」、2つ目は地域社会、歴史・文化から空間利用までが網羅された地域社会の環境デザインというか「作り方の分科会」、3つ目は住民参加の「情報発信・啓発分科会」、そういう3本立てでうまく網羅されているのではないか。
  原自然に限定すると確かに治水・利水と自然は相反する事象だが、揖保川は何百年も川と人間が関わりあってきて、手の入った二次的な自然となっているので、そういう意味では治水、利水、自然はセットで考えるべきではないか。例えばわんどは、川の水深を固定し、舟運のために行われた利水工事の結果できた人工構造物で、そういったところの自然も今は尊ばれている。どこかですり合わせが必要になってくるので、治水、利水、自然環境というのは一つの分科会で検討した方がよい。
  分科会の運営については必ずしも等分でなくても構わないと思う。治水・利水・自然環境の分科会が1つで、名前は別として地域社会を考える分科会、もう1つは、情報発信の分科会という3つに分けるのが適切ではないかと考える。もし、委員の先生方のご賛同が得られれば、これでスタートしていきたい。(委員賛同)
  <分科会審議の進め方について>
  それぞれの分科会は関わりが深いので、切り分けて(議論を)進めていくのは難しい。治水、利水で技術的なことを考えるときも、地域社会分科会で出された意見を考慮しながら進めていかなければいけない面もある。分科会を設置し、互いに意見交換するかたちで進めていければと思う。
  下流にいると上流のことがわからず、上流にいると下流のことがわからない。そういう面でも絶えずすり合わせはやっていただきたい。
  分科会に分ける場合も、縦割りにならないように、絶えず横串を入れるような何かを考えていかねばならない。
  3つの分科会それぞれに対して上・中・下流の内容がある。治水・利水・環境についても当然考えるべき内容があり、地域社会については、上・中・下流のコミュニティをいかに結びつけるかも含めて検討されると思う。分科会をつなぐ横串に相当するのが、上・中・下流の問題、治水・利水・環境の問題で、そういうリンクの役割がある項目を意識して分科会を進めれば、なんとか克服できるのではないか。
  自然環境と治水・利水とは相反するが、治水と利水も相反するものであり、これらを一緒に議論し、相反するものをいかにリンクし、相互にアジャストしていくかということが分科会の課題となる。
  直轄管理区間というのが気になる。川というのは上流から下流までが川である。河川の水源地帯は非常に大事なところがある。
  流域委員会に付託されたのは直轄管理区間の部分ということだが、提言としてまとめ、意見を集約していくということでは、上流域も当然入ってくる。我々自身がその部分を理解し、提案することにより、直轄管理区間以外の河川管理にも意見を反映していくことがあり得るのではないか。
  上流域、支流域、源流域には森林があり、それらを含めなければ川というものは語れないが、それを含めると内容が多岐にわたる。流域委員会ではその点を切って話し合いを進め、その中で何か関わりを持つようなことにしなければならないのではないか。
  (龍野では)治水を考えると川幅を広げ、龍野橋を架け替えるにも、相当高くしなければいけないということだが、これでは古いまちなみに対する影響が甚大ではないか。そういうことをどう考えればよいのか地域社会分科会で検討したい。
  河川単体で技術的なことが唱えられていたことが、河川から人が離れてしまった原因だと思う。流域社会、住民参加とか、人と川を結び付けて接続させていく部分が議論できたらよいのではないか。
  龍野市などの古いまちなみを残すことは住民の財産であり、観光資源になるというプラス面もある。流域市町では都市計画も持っておられるわけだから、このあたりも含めて考えていく必要がある。
  情報発信の分科会では流域の人にどう情報発信していくか、流域の方々が川に対してどういう想いを持っていただくか、というところの仕組みづくりを考えていきたい。
  中川の改修で道路を嵩上げし堤防を高く上げると龍門寺の景観が変わってしまった。また、橋も架け替えて高くなり通行人には困るという感じを持っている。
  情報発信絡みの分科会では、各種のパブリックコメントの手法を下敷きにし、参画や協働の部分にウエイトをおきながら動いていけば、流域の方々との接点の回復が可能になる。
   
2. 住民意見の反映と広報について
 
住民意見の反映と広報については、(仮称)情報発信・啓発分科会の中で検討していくこととなりました。
   
3. 揖保川と流域に対する想い、問題点・課題等について
  揖保川と流域に対する想い、問題点・課題等については、委員会前に各委員から提出された意見を項目別にまとめたものを資料としました。これらの意見については、今後各分科会で具体的な検討を進めていくこととなりました。
     
4.

揖保川と流域の現状認識
 
前回の委員会で質問が出された、1)揖保川流域の降水量、2)他河川との生物生息状況の比較、3)アンケート年齢別集計、4)流域市町の水循環に関する施策について補足説明が行われ、委員による質疑応答が行われました。主な発言は次のとおりです。

委員からの主な発言
  資料にあるようなアンケートは以前にもあったのか。あったのであれば情報提供していただきたい。それから、今後このようなアンケートに取り組む予定があるのかどうか教えていただきたい。
  市町村の計画は基本構想、基本計画に加え、実施計画が3年ごとに立てられている。実施計画にもう少し具体的な水がらみの部分がでてきているはずなので、次回以降で調査していただきたい。
  雨のデータについて長期にわたりトレンドを見ていただいたが、一般的に言われているような小雨傾向が上川原地点以外の三方地点、神戸地点ではみられない。この傾向は利水計画に反映されるということでよいか。
  生物の種類数について、魚類は揖保川が多いが、鳥類とか植物は必ずしも多くない。このあたりどのように捉えられるのか、お気づきの点があれば教えていただきたい。
→(委員の意見)植物に注目すると数の多少では比較しにくい。中身の質まで検討しないと一概には言えない。
  アンケート調査について、項目ごとに年齢層の分布が特徴的に表れている。教育・啓蒙活動に対しては年配の方が前向きで、インターネットによる情報に協力するということには若い人の方が興味をもっている。分科会で、こういった年齢層の分布についても配慮していただきたい。
  降水量が上流域と下流域で違うということにびっくりした。上川原地点は瀬戸内の気候だから降水量はそれほど多くないが、上流域で2000mm近いというのはすごい。
→(河川管理者による回答)揖保川は南北に長く上流部と下流部に違いがある。上流域は降雪地帯で雪が非常に多い。
  資料のアンケートは、現在進められている「清流ルネッサンス」事業に活かされるのか。また、何か他の事業に活かすという考えはあるか。
→(河川管理者による回答)「清流ルネッサンス」事業に活かしていきたい。また、このアンケートは流域の一部に限って実施しているので、流域全体の取り組みの中でこういうことが別途必要かということを含めて、今後の議論の基礎になる。
   
5.  傍聴者からの発言
3名の傍聴者から次のような発言がありました。
  西播磨の自然の中では、揖保川が一番の観光資源であり、簗漁の解禁や河川敷利用が考えられる。また、(龍野市川西地区の)商店街の活性化のためには河川敷への駐車場の整備が必要である。河川を利用した観光開発と、河川を住民にもう少し開放してもらいたいということをお願いしたい。
  地球温暖化問題等で世界的にも雨の量、水の量は少なくなっていると思われる。揖保川の豊かな水量をどう保つかということが一番の課題ではないか。「目先のことを考えるよりも100年先の計画をしなければ地球はだめになってしまう」ということをお願いしたい。
  川を開発していくこと、人が入ることが、魚とか鳥、植物に実際どのような影響を及ぼしているのかが一般の人にはなかなか勉強できない。そういう部分をもっと外にPRしていただければ、いろいろな角度から意見が出るのではないか。
   

6.

閉 会

 

 

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