エコ・コースト事業とは

高波や浸食に強く、しかも、生態系等も含めた良好な自然環境にも配慮した海岸を整備することを目的に、平成8年度に新たにつくられた事業です。

目次

東播海岸では

昭和57年度から人工の砂浜を整備したところ、昭和61年度以後、アカウミガメが産卵に来るようになりました。 このため、平成8年度からエコ・コースト事業として整備することとなり、砂浜や石浜など自然環境に配慮した人工海浜と突堤を組み合わせて仕事を進めています。


整備された砂浜は海水浴場として利用されています。


この付近にはワカメ場があり、多様な生態系に配慮する必要があります。 また、海岸線の出入りが多く、潮の流れにより砂浜が浸食されやすいこともあり、磯を主体とした浜にします。


船上げ場として利用されているため、養浜を行わないこととしました。 また、隣接する区間は船舶の通行に配慮し突堤を設けないこととし、海岸線を安定させるため石張等を施工します。


背後は崖となっており、人家や夜間の照明が少なく静かであり、アカウミガメの上陸、産卵に適しているため砂浜にします。

エコ・コースト整備計画検討委員会

有識者や地域の方々による委員会を設け、生態系や利用のありかたについてのご意見をいただきました。 今後、これをできる限り取り入れながら、海岸の整備を進めてまいります。

委員会では次のようなご意見をいただきました

  • 船舶の係留や航行などに支障を来さないこと
  • 人工海浜の砂の流出により、藻場が消滅するなど漁業への影響が心配
  • 人工海浜の安定には砂よりも磯や玉石の方が優れている
  • ウミガメ主体で砂浜一辺倒の計画は問題
    多様な生物環境をつくるため、磯や岩肌の浜もほしい
  • 人工海浜の施工にあたっては、アマモをはじめ生物への影響を配慮する
  • ウミガメの産卵には、まず夜暗くて静かな環境が大切
  • 海岸は陸と海が接するところ、海中だけ考えていては本当のエコ・コースト整備にはならない
    海浜植生など陸も含めて考えていくことが必要
  • 砂浜を整備すると、ゴミや花火騒音などの問題が懸念される

エコ・コースト事業を実施していくことにあたって

  1. アカウミガメの上陸、産卵場所をつくることはもとより、有識者の指導・助言に基づき、多様な生物の生息環境に配慮します
  2. 生物の生息状況や海浜植生復元などの生物調査、人工海浜の安定に関する観測を継続的に実施します
  3. 地元住民や自治体と連携して、海岸愛護の啓発や周知を行い、海岸利用のルールづくりを目指します
  4. 地元住民や学校などの協力により、子どもたちをはじめとした環境教育の場としての活用を図ります
エコ・コースト事業位置図
人工海浜や突堤のようす