加古川の概要

加古川は、その源を兵庫県朝来市(あさご)山東(さんとう)町と丹波(たんば)市青垣(あおがき)町の境界にある粟鹿(あわが)山(標高962m)に発し、丹波市山南(さんなん)町において篠山(ささやま)川を合わせ、西脇(にしわき)市において杉原(すぎはら)川と野間(のま)川を、小野(おの)市において東条(とうじょう)川、万願寺(まんがんじ)川を合わせ、さらに三木(みき)市において美嚢(みの)川を合わせながら播州(ばんしゅう)平野を南下し、加古川市尾上(おのえ)町、高砂(たかさご)市高砂町向島(むこうじま)町で瀬戸内海播磨(はりま)灘へと注ぐ幹線流路延長96km、流域面積1,730km²の一級河川である。

加古川流域は、兵庫県の加古川市、小野市、西脇市、丹波篠山市等の主要都市をはじめとする11市3町からなり、流域市町は上流部の丹波地域、中・下流部の東播磨地域に大別することができ、この地域の社会、経済、文化の基盤をなしている。土地利用は山地が59%、農地が26%、宅地等が11%、その他が4%となっている。

流域内の交通としては、山陽新幹線、JR山陽本線等の鉄道や、山陽自動車道、中国縦貫自動車道、国道2号加古川バイパス、国道250号等の道路が加古川を横断しているとともに、JR加古川線、JR福知山線や北近畿豊岡自動車道、国道175号が加古川沿いに並行している。さらに、河口部の重要港湾東播磨港は西側に隣接する特定重要港湾の姫路(ひめじ)港とともに播磨工業地帯の中枢港湾であり、本流域は陸海交通の要衝となっている。

産業については、加古川市、高砂(たかさご)市等の臨海工業地帯は、播磨工業地帯の東の拠点として重化学工業がめざましく発展している。一方、中流部の西脇市、三木市、小野市等では、播州織と呼ばれる綿織物や繊維染色業、兵庫県の無形文化財に指定されている杉原紙の他、三木金物、播州そろばん等の伝統的産業が発展し、三木市では酒米「山田錦(やまだにしき)」の生産量が全国一である。

流域内には「瀬戸内海国立公園」をはじめとして、六つの県立自然公園が指定され、豊かな自然環境に恵まれているとともに、加東市には「闘竜灘(とうりゅうなだ)」と呼ばれる露岩を呈する特異な河川景観が存在するなど観光資源も豊富である。さらに、上流の丹波篠山市は城下町として栄え、現在も武家屋敷等城下町の文化的風情が残り、下流の加古川市では、聖徳太子ゆかりの国宝「鶴林寺(かくりんじ)」があり、文化的・歴史的資源にも恵まれている。

また、瀬戸内海気候の少雨地域であり、全国でもっともため池が多い流域である。

加古川流域図
加古川流域図

流域の諸元

項目 諸元 備考
幹線流路延長 96km  
流域面積 1,730km²  
流域市町 11市3町 丹波市,丹波篠山市,西脇市,三田市,加東市,加西市,小野市,三木市,加古川市,神戸市,高砂市,稲美町,多可町,播磨町
流域内人口 約60万人  
支川数 129支川