東はりま加古川水の新百景

冊子番号82


しおゆ
塩湯
■河川名
美嚢川
■所在地
吉川町 貸潮
■参考文献 「兵庫のふるさと散歩 東播磨」
神戸新聞出版センター
監修/石田 省三
発行/21世紀ひょうご創造協会


写真



川、水との関わり(アピールポイント、その他)
歴史的な言い伝えが残る湧水。




神姫バス「潮橋」下車東へ2分
概要
「塩湯」は、渡瀬の集落へつながる貸潮に湧き出る塩辛い鉱泉で、ここにはむかし領主の湯屋があったとも伝えられています。
『播磨鑑』には、「渡瀬城主、渡瀬小治郎時代、貸潮には榎の大木があったが、なぜか一夜のうちに枯れて倒れた。その根株は径1m余りの空洞があって、その中からきれいな水が湧き出ていて、しかも潮水だった。それからこの土地の人は潮が潜まってその湧出が控えめになった時を見計らい、汲み取って使用した。平素は、水が漲っていることはないが、潮の水がほしいときに白米を少しつかんで投げ入れると、潮が湧き出してくる」と記され、「シホカキ堂」としるされています。この潮の湧出するところに以前は榎の大木があったということで、もとから霊が宿っていたのでしょう。ですから、海岸から25kmも離れたところに潮の水が出る不思議が起こったということを伝承しているのです。また、白米を投ずるのは、神霊に対する供え物を意味していると思われます。
なお現在、この塩湯は防火用水槽として利用されています。その他、町内には、これと同質の湯が、湯谷、冨岡、稲田にも湧き出ています。


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