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猪名川における河川環境の課題

横断連続性の分断

(1)水陸移行帯の減少

陸域と水域の境界で、水位の変動によって水中に沈んだり、陸になったりする水陸移行帯は、水深さや土の水分条件等が少しずつ変化するため、様々な植物や生物の生息・生育環境として重要な場所となる。

かつての猪名川は、洪水による撹乱作用により常に川が変動を繰り返し、それに伴い水域と陸域の遷移区間の水陸移行帯も常に形成されていた。しかしながら近年、河川改修や高水敷の造成等の影響に伴い、澪筋が固定化し、水域・陸域の二極化にが進んだことにより水陸移行帯が減少してきている。


低水護岸整備に伴う水陸移行帯の消失

低水護岸整備に伴う水陸移行帯の消失


(2)河原環境の減少

かつての猪名川は砂礫を主体とした交互砂州が広がっていたが、現在は干陸化が進み砂州上に植生が繁茂した状況となっている。

これに伴って、アレチウリ等の外来種の侵入、カワラナデシコ等の河原固有の生物の減少などが進行し、かつて河原を中心とした河川生態系は従来とは異なった生態系へと変化しつつある。

また、河道内にはハリエンジュ、アキニレ、ジャヤナギ等の高木樹木が繁茂し、治水上・景観上の課題となっている。


[昭和60年撮影] [平成17年撮影]
[昭和60年撮影] [平成17年撮影]
河原環境の消失(猪名川8.4k付近)

(3)湿地環境の減少

湿地環境の存在は、動植物の生息、生育、繁殖にとって貴重な存在である。

猪名川及び藻川では分派点より下流区間において、湿地環境が形成され、そこには大規模なヨシ群落が存在していた。

しかしながら、近年は河川改修や低水護岸整備、高水敷整備等に伴い、湿地帯が干陸化しヨシ群落が大幅に減少している。

猪名川下流区間で見られるヨシ群落
猪名川下流区間で見られるヨシ群落

縦断連続性の分断

猪名川の直轄管理区間には、8基の井堰・落差工がある。上流の井堰2基には魚道が設置されているが、下流の6基には魚道が設置されていないため、魚類、カニ類等が川を自由に行き来することが難しい状況となっている。

魚類の遡上・降下の阻害となっている横断工作物(高木井堰)
魚類の遡上・降下の阻害となっている横断工作物(高木井堰)

河川流量の減少

近年の小雨傾向もあり、猪名川の河川流量は減少しており、渇水時には流水の連続性が途切れ河床が露出する瀬切れが発生している。

瀬切れにより露出した河床[平成19年7月]

水質改善の鈍化

猪名川の河川水質は、社会経済の発展及び都市化に伴い昭和40 年代前半頃までが最も悪い状況(中園橋のBOD値75%値100.0mg/l 以上)にあったが、昭和44年に「水質汚濁対策連絡協議会」発足し昭和50年頃より大幅に改善された。

現況の水質は、猪名川の中流域は基準値を満足し比較的良好な水質である。一方、原田処理場の下流域では、処理水の影響で水質の環境基準(BOD)を満たしていない。このことから、猪名川の平均的な水質は、全国的に見てワースト5となっている。

猪名川の水質状況(平成19年)

  銀橋 呉服橋 軍行橋 利倉 中園橋
環境基準 B(3) B(3) B(3) D(8) B(3)
BOD75%値 0.9 0.9 0.9 9.8 1.9

()は水質基準値


外来生物の侵入

1980年頃から、オオクチバスやブルーギル等の外来種(魚類)が確認されはじめており、ウシガエル、アカミミガメ(両生類)、カワラバト(鳥類)等の増加傾向が顕著である。河川水辺の国勢調査(平成16年度)における植物全確認種数347種のうち、 30%を超える113種が外来種である(特にセイタカアワダチソウ、セイバンモロコシ、アレチウリ等の外来種が非常に高い)。植生外来種率の全国の平均的な割合が11〜19%であることから、全国の一級河川の中でも最も高い数字になる※1

また、外来種が優占する群落面積の割合では、全国の一級河川の平均が17%であるのに対して、猪名川では50%以上となっており、全国の一級河川の上位5河川(中川・綾瀬川、猪名川、草津川、白川、肝属川)の1 つとなっている※2

現状のままでは外来種の優占により多くの在来種が駆逐されることが懸念され、不可逆的遷移により永久に失われる可能性もある。特に、侵略的外来種であるアレチウリの繁茂は驚異である。

外来植生(アレチウリ)の繁茂
外来植生(アレチウリ)の繁茂

※1 外来種影響・対策委員会(2001.7):
      河川における外来種対策に向けて、(財)リーバーフロント整備センター

※2 宮脇成生・鷲谷いづみ(2004):
      生物多様性保全のための河川における侵略的外来種の管理,
      応用生態工学6(2),pp.195-209


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