京都迎賓館情報


第3回シンボル コミュニケーションレター(タイトル)
第3号 平成14年1月

わたしたちはこんな迎賓館を創ります。
和食会食棟を望む模型写真
和食会食棟を望む模型写真

新年を迎え いよいよ着工の年になりました。

 平成6年10月に建設が決定されて以来、多方面から種々のご意見を頂きながら計画を進めてまいりましたが、いよいよ工事を始める段階に至りました。具体的に工事を進めるに際しては、周辺の環境や近隣の皆様への影響を極力低減するよう努力いたしますので、ご理解とご協力をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

主要な工事が出揃いました。

 建築工事の施工業者(大林・竹中・鹿島特定建設工事共同企業体)に続き、電気設備工事は、きんでん・東光特定建設工事共同企業体に、機械設備工事は、新菱・協和特定建設工事共同企業体に決まりました。これで主な施工業者が決定したことになり、施工体制がととのいました。

地下水に影響を与えないよう 工事を行います。

■水に恵まれた京都
 古来、京都は水に恵まれた土地でもあります。過去千年もの長きにわたり、都として栄え、豆腐・湯葉・酒など京都の名産品を育んできた源でもあります。

■地下水調査の概要
 迎賓館の建築工事では、事前調査としてこれまで約5年間に渡って地下水位の調査を行っています。
 京都の地下水は、概ね北東から南西に向けて流れており、京都御苑内においても同様の地下水の流れ(約1.1m/日の速度)が確認されています。そして、迎賓館敷地内では約6.0〜8.2m以深を流れています。
■地下水に影響を与えないよう進めます
 これらから、地下水に影響を与えないよう、設計において上水面である地下6m以深に構造物を造らないよう配慮すると同時に、工事施工上においても表−1のような対応をしています。

■監視しながら進めます
 同じような条件の地盤で実験したデータによりますと土留め壁から6m離れれば水質汚濁はないという報告もありますが、万が一に備えて敷地周囲に地下水監視井戸を設け、状況をモニタリングしながら工事を進めて行きます。そして、この監視井戸で異常が確認されれば直ちに関係者と協議を行い対策を施します。


迎賓館の地下水対策 山留め工法説明図及び監視井戸の配備図

インフラ工事は 最終の道路表面仕上げに入っています。

 今出川通りで行っている今回のNTTの工事は、通信配管の埋設作業が終了し、1月末までの予定で道路の本舗装(右図参照)の工事を行っています。
 また、清和院御門前・寺町通りは、1月末まで各種配管の埋設作業を行い、その後道路の本舗装の工事を行う予定です。
 引き続き、ガードマンの配置や歩行者の安全等について注意を徹底すると共に、作業機械の運転方法の工夫やフェンスを防音シートで覆うなどの騒音対策を行いながら工事を進めています。
本舗装を予定している道路状況
本舗装を予定している道路状況
今出川通りの本舗装工事の範囲
今出川通りの本舗装工事の範囲

伝統的技能の粋を引き出します。

「伝統的技能
活用検討委員会」

 座敷や広間、庭園などの部分に日本の伝統的技能をどのように生かして行くかを検討するため、京都工芸繊維大学の中村昌生名誉教授を委員長として「京都迎賓館(仮称)における伝統的技能活用検討委員会」を設置しました。
粋 イメージ




伝統的技能の
活用

委員会の構成  委員会では昨年中に3回の会議を行い、大工や左官、かざり金物といった技能分野について伝統的技能を生かすための条件を整理し、どのような技能者のレベルを想定して工事を発注すべきかが検討されました。
 委員会の検討結果は、近畿地方整備局に提言として示され、発注の条件として活用されます。
 この委員会は、平成14年度以降も継続され、伝統的技能を活用するための施工体制のあり方や、実際の施工における品質(仕上がり)の確認などに関して検討が行われる予定です。

伝統の技術を世界に発信します。

「かざり金物」

 和風建築にとってなくてはならないものの一つにかざり金物があります。
 法隆寺の玉虫厨子をはじめ、神社、仏閣、御輿、山鉾等の建造物、祭礼用具その他古代より今日まで荘厳に華麗に雅に気品高く用いられ、建物をより美しく装っており、それらには多彩な意匠が、様々な技法を駆使して心温まる豊かな建築を完成させています。
 修学院離宮をはじめとする京都の歴史的建築のなかにも、このかざり金物が随所に使用されており心のゆとり、やすらぎを演出しています。
釘隠 釘隠
 今回建築する京都迎賓館においては、我が国の伝統的な建築手法を継承しつつも、現代の意匠・技法を取り入れた「現代和風」をめざし簡潔な空間構成のなかにも調和のとれた美しさを最大限発揮するように計画されており、この空間を構成する要素の一つとして、またゆとりややすらぎを演出する手段としてかざり金物が使用されています。
 このかざり金物はいうまでもなく手作りで製作されており、その製作過程は左下の通りとなっています。

迎賓館に生きる伝統技術

■かざり金物の製作過程
かざり金物の製作過程

 このように複雑多岐にわたる工程を経て、かざり金物が製作され、和風建築の室の中に複数個取り付けられることになりますが、その色・形は手作りであるがゆえに微妙に異なっており、そのことが自然で立体感のある空間を生みだすことにつながっています。
 迎賓館ではこのかざり金物を大広間をはじめとする和室の襖の引き手や釘隠、晩餐室天井の金物等に使用され、和風の趣を創出することが考えられています。
欠月の引手
欠月の引手
鳩の引手
鳩の引手
瓢の引手
瓢の引手

コーナーでは迎賓館に生かされる伝統技術を紹介していきます。

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