京都迎賓館情報


第四号シンボル コミュニケーションレター(タイトル)
第4号 平成14年2月

わたしたちはこんな迎賓館を創ります。
室内完成予想パース
室内完成予想パース

埋設管工事が完了しました。

 今出川通りで進めてきましたNTTの工事は埋設管工事、本舗装工事が完了いたしました。工事中は騒音、振動や埃、通行規制などにより、みなさまに大変なご迷惑をおかけいたしました。ご理解とご協力ありがとうございました。
 清和院門前はほぼ埋設管工事が完了し、本舗装に取りかかります。引き続きよろしくお願いいたします。

仮設工事に取りかかります。

 本体工事を進めるための準備として仮設工事に取りかかります。工事用進入路の舗装や現場事務所設置などの計画にあたり、周辺環境や御苑の自然への影響を少しでも軽減できるよう、また歩行者や公園利用者の安全が確保できますよう、施工業者の専門技術が生かされた検討が加わり、具体的な施工方法が決まりました。2月中旬から着手いたします。

仮設工事についてお知らせします。

■今出川口の仮設計画
 工事に着手する前の準備工事として、2月中旬から仮設工事が始まります。
 今出川口、工事用進入路入り口は右図のように、歩行者と車輌の通行分離や、一部水路にふたをかけ歩道を拡幅するなど、歩行者の安全確保に努めます。

■工事用進入路について
 工事車輌は、御苑、今出川口から進入し、工事用進入路を通って迎賓館敷地に至ります。
 進入路は、現在の自然環境をできるだけ乱さないように透水性舗装を行い、樹木をよけて設置します。
 また、工事の休業日には公園を利用する方々が進入路を横断できるように、横断通路を設けます。
今出川口の仮設計画及び工事用進入路について


■仮囲いについて
 仮囲い上部に防音パネルを取り付けます。これにより、周辺への音の影響の軽減を図ります。

■安全対策
 御苑への入り口や、一般の方々と動線が交錯するような安全上主要なところにはガードマンを配置し、歩行者の安全を確保します。
 工事用進入路には、工事車輌の通る道路と、一般の方々の歩行路を分ける安全柵を設けます。
 また、仮囲いには生態系への影響が出ないよう配慮しながら夜間照明を設け、これまでと変わらない明るさを確保します。
工事用進入路断面図 仮囲い断面図
工事用進入路断面図 仮囲い断面図

■情報コーナーを設けます
 皆様への工事の進捗や情報の発信基地として、工事用進入路西側に情報コーナーを設けます。
 情報コーナーでは、公園を利用される皆様とのコミュニケーションが図れるような企画を進めていきたいと考えています。

自然環境と共存する事業とします。

■京都御苑の自然環境
 明治初期に皇室苑地として整備された京都御苑は、都市中心部における潤いの場であり、管理緑地とはいえ約100年を経て、現在では大都市のかけがえのない重要な自然環境として定着しています。
 苑内は、樹木・野草・きのこ類の種類や数が実に豊富であり、従って野鳥や昆虫類も多く観られます。身近にある自然としての評価も高く、国民公園として広く市民に親しまれています。
■環境への影響調査について
 各種事業に係わる環境保全対策を行うため、「環境影響評価法(環境アセスメント法)」が定められています。また、京都市では「京都市環境影響評価要綱」も定められていますが、迎賓館の建設は、環境影響評価を実施しなければならない事業には該当しておりません。
 しかしながら、建設地が国民公園内であり、豊かな自然が形成されていることから、施設整備に伴う自然環境への影響と対策の検討を行っています。
 環境調査は、平成6年度より継続的に行っており、工事中においても引き続き行ってまいります。
■環境影響評価法による要件(参考)
環境影響評価法による要件(参考)

■自然環境の現況
〈植物〉
 御苑外周部は限られた種類ながら、天然林に近い樹林帯が形成されています。その内側には庭園植栽・芝生・マツ林などの、管理が行き届いた緑地が広がっています。
 御苑内の植物は、主に都市近郊にみられる普通種から構成されており、苑地整備当初の植物とその後侵入した植物とが、バランス良く混生した植物相を形成しています。
 また、よく繁った薄暗い照葉樹林の林床には、ラン科「タシロラン」も毎年確認されています。

〈鳥類〉
 年間を通じて多くの鳥類が生息しています。標高が低いため、繁殖すると考えられるのは留鳥が殆どですが、冬鳥の越冬地や渡り鳥の中継地点としての利用もみられます。
 また、生態観察や写真撮影などを通して公園利用者から親しまれている猛禽類「アオバズク」については、毎年営巣が確認されており、猛禽類「オオタカ」についても採餌のための飛来が確認されています。

〈昆虫類〉
 樹木の豊富さから様々な昆虫類が生息しています。公園という人為的影響の強い環境の中にありながら、森林・草地・水辺といった種々の環境に生息する昆虫が確認されています。


■自然環境と共に工事を進めます
  1. 建設地の御所・御苑内に占める面積の割合は約2%です。
  2. その建設地の内、大半が運動広場などの裸地環境でした。
  3. 運動広場は、多くの人々に利用され、ある程度の騒音・振動・埃がある環境でした。
 上記より御苑全体を総合的にみると、工事が動植物の繁殖や植生に与える影響は殆どないと考えています。しかし、影響をより軽減するため表−1の工事施工上の配慮を行います。
 表-1 工事における環境への配慮
表-1 工事における環境への配慮
■新たな自然環境の育成に向けて
  1. 建設地の既存樹木は現在地で活用するか、隣接地に移植してきました。
  2. 施設は平屋建てとし、高さを抑えます。
  3. 施設内の庭園には池・滝を配し、四季を通じた豊かな緑をつくります。
  4. 隣地(東側・南側)には実のなる木などをたくさん植えます。
  5. 迎賓館庭園及び御苑地とも、適切に管理されます。
 上記より施設供用時には、これまでになかった植生・水環境が整備され、動植物の生息環境も多様化すると考えています。年月を経て、もとあった環境と一体となり、より充実した自然環境が生まれるよう計画を進めています。

タシロラン
タシロラン
アオバズク
アオバズク
オオタカ
オオタカ

伝統の技術を世界に発信します。

「漆」

 「漆」は漆の木に傷を付けて採取します。漆の樹液は、空気中の酸素を得て硬化することにより木を外傷から守ります。その樹液を採取・精製し、塗料としたものが漆です。
 漆の木は梅雨、モンスーンのある地域に育成する落葉の喬木で、東洋の人々は各地域で独自の漆工技術を生み出し、古くから生活の中で活用してきました。
漆塗の床框・棚 漆塗の
床框・棚
■漆塗りの製作工程の一例
■漆塗りの製作工程の一例

迎賓館に生きる伝統技術

 漆塗りはこの様に多くの工程を経ることにより、柔らかくて温かみがあり、吸い込まれるような光沢が得られ、年月を経るほどその深みが増していくなど、自然の材料の良さが存分に発揮されています。
 京都迎賓館では、床框・欄間・障子などにこの漆塗りが使用される予定で、長い歴史に培われてきた漆塗りの技術が随所に生かされます。
 話は変わりますが、漆といえば好みにかなりうるさい素材であり、漆器作りの道具も偽物を許さない本物志向であるといえます。その一例を紹介しますと、
・海辺に住む女性の髪の毛で作った刷毛
真っ直ぐで、海水により適度に油が抜けた海辺に住む女性の髪の毛は漆を良く吸収し、むらなく塗ることができる。
木の船で住み着いたネズミの脇毛で作った細筆
この筆を使うとどんなに細い線でも引ける。
  1. 天然鯛の奥歯
    漆器に乗せた細部の金粉を施すために使う。天然物が良い。
  2. 水牛の角で作ったパレット
    漆を乗せるパレットに用いると、筆を傷めることが無いという優れもの。
  3. 鶴の羽の軸で作った棒
    節上げ(漆器に付いた埃を取る作業)を行うため、鶴の羽軸部分(羽毛でない)を使用する。
1.刷毛
1.刷毛
5.棒
5.棒
作業の様子
作業の様子
 しかし、最近では自然の材料が少なくなってきており、特に国産物は殆どなくて輸入に頼っているそうです。

このコーナーでは迎賓館に生かされる伝統技術を紹介していきます。

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