京都迎賓館情報


第5号シンボル コミュニケーションレター(タイトル)
第5号 平成14年3月

わたしたちはこんな迎賓館を創ります。
完成予想模型(南西より望む)
完成予想模型(南西より望む)

準備工事から本体工事へ進めていきます。

安全柵設置工事
安全柵設置工事
■京都御苑今出川口から迎賓館敷地へ至る工事用進入路の工事が始まっています。進入路は、南と北の2ブロックに分けて、透水性アスファルト舗装工事は南ブロックから、安全柵は北ブロックから施工しています。
■ 工事用車輌と公園を利用される方々を分離する安全柵には間伐材を利用し、周辺環境との調和に努めています。
■敷地をとりまく仮囲いも、高さをそろえ、上部に防音パネルを設置する工事を行っています。
■準備工事は3月中旬で完了いたします。
■3月中旬より、四方を囲う築地塀の杭工事が始まります。
■本体工事は、4月中旬より地下掘削のための土留め工事をかわきりに、順次進めてまいります。

本体工事着手前の近隣への工事説明を行いました。

 工事の具体的な進め方について御苑周辺の各学区会長さんをはじめ、地域の役員の方々や学校、幼稚園などに説明させていただきました。また、工事のお知らせ資料の配布や回覧など地域の皆様方に周知のお願いもしてまいりました。
今回の説明会では、御苑内及び御苑周辺の交通安全対策として、要所にガードマンなどを配置し、利用者と工事車輌の分離を図るなど、歩行者の安全を最優先にすることや、近隣の皆様に影響が少なくなるように配慮した工事車輌の通行経路の考え方、通行量・通行時間帯について具体的に説明をいたしました。
大型車両の通行台数
1日あたりの大型車輌通行台数は100台/日以内といたします。
通行時間帯
御苑内の大型車輌通行時間は8:30〜17:00の間といたします。
工事車輌通行経路
御苑周辺部では全ての工事車輌は 右図の通行経路を遵守いたします。
残土搬出時のダンプトラック、コンクリート打設時の生コン車の走行経路は右図破線の通行経路を遵守いたします。
寺町通りについては、大型工事用車輌の通行はいたしません。
また、付近での駐車は一切行いません。
工事車両通行図
 また、騒音・振動などの生活系環境、植物・鳥類などの自然系環境への影響の低減についての具体的な方法や、年月を経て、もとあった自然環境と一体となり、より充実した環境が生まれるような計画について説明をいたしました。
 出席者からは、御苑利用者や学童の通学路の安全確保、井戸水への影響調査、工事車輌の管理の徹底、完成後の施設見学など、多くの要望をいただきました。近隣の皆様の貴重なご意見を尊重し、工事を進めて行きたいと考えています。
 これからも、このコミュニケーションレターや情報コーナー(建設地の近くに設置予定)を通じて、更にきめ細かい情報についてお知らせしていきますので、より一層のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
工事説明を行った御苑周辺学区
工事説明を行った御苑周辺学区

御縁内の梅花写真
御縁内の梅花は今がみごろ
いま、出発の春。

 梅の花もすでに満開、春本番はすぐそこまでやって来ています。門出・出発の季節にあわせて、3月12日(火)、京都迎賓館(仮称)工事起工式をとり行う運びとなりましたので、よろしくお願いいたします。
 いよいよ本格的な工事が始まりますが、地域住民の皆様にご迷惑をおかけすることのないよう、十分に配慮しながら工事を進めてまいります。
 より一層のご理解・ご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

自然環境を見守りながら 工事を進めます。
前号の自然環境シリーズ「新たな自然環境の育成に向けて」につづき、お知らせします。

■「タシロラン」とは
 薄暗い照葉樹林の林床に生育する、葉緑素をもたない腐生ラン。高さ20〜50cmの白黄色の茎を出し、開花後は倒伏腐敗し消滅する。開花期間が短く、あまり目立たない植物で、発見事例が少ない。
■御苑における「アオバズク」
 繁殖のために南方から渡ってきます。建設地周辺では、近年は営巣は確認されていませんが、採餌の対象地になっていることが考えられます。
■御苑における「タシロラン」
> 毎年6月下旬から7月中旬にかけて、御苑外周部の樹林下で発生が確認されています。生育条件として、鬱蒼とした照葉樹林下、年間を通じた保湿、落葉の分解による養分の供給、タシロランの種子・共生菌類の確保などがあげられます。
■「アオバズク」への影響
 建設地周辺で営巣が確認された場合は、速やかに学識経験者や関係機関と協議を行い、適切な対策を講じます。10月中旬から翌年3月中旬の間は、南方に移動するため、御苑内では見られません。薄暮性であることから、夜間照明は、現在の外灯レベルを超えない照度とします。
■「タシロラン」への影響
 建設地は、現在確認されている生育地から外れているため、工事や施設による直接的な影響はないと考えられます。
(1)樹林に直接手を加える工事はありません。
(2)工事による地下水への影響がないようにします。
タシロラン
タシロラン
  アオバズク
アオバズク
■「オオタカ」とは
 全長50cm程度、翼開長100cm程度の中型のタカ。本州以南に留鳥として分布する日本の固有亜種。平地から低山地の林に棲み、森林と開けた場所との組み合わせを好み、中型の鳥類などを捕食する。
■見守りながら進めます
 自然環境への影響がないよう工事を進めます。適切な保全処置などが速やかに行えるよう、継続的に下表の調査を行いながら、慎重に工事を進めて行きます。
■御苑における「オオタカ」
 ドバトやキジバトを捕食するために、年間を通じて御苑に飛来します。これまで、御苑内での営巣は確認されていません。
工事中の環境調査(予定)
調査対象 調査内容
タシロラン 御苑全域の発生確認・生育環境確認
生息地の微気象(気温・湿度・地温・土壌水分・風速等)確認など
アオバズク 御苑全域の営巣確認・御苑全域の鳴き声確認など
オオタカ 御苑全域の営巣確認・食痕確認・飛来状況確認など
その他 鳥類ラインセンサス調査
シジュウカラ・テリトリーマッピング調査など

<注釈>
[鳥類ラインセンサス調査]
予め設定した調査ルートを歩き、確認した鳥類を記録する調査
[テリトリーマッピング調査]
くまなくラインセンサスを行い、なわばりの分布状況を把握する調査
※両調査とも、変化を比較するための調査です。
■「オオタカ」への影響
 工事は、広大な御苑の一部分において行われるものであることから、採餌行為への影響はないものと考えられます。施設は高さを押さえた平屋建てであることから飛翔の障害はなく、建物のガラスの内側には障子があることから、誤視による衝突はないと考えられます。



伝統の技術を世界へ発信します。
「建具(障子)」
 障子の「障」は「遮る」「隔てる」「塞ぐ」などの意味を持ちます。障子とは元来、縁の内側、窓、室内の境に建てる建具を総称するものでした。
 古い時代では、現在の襖を「障子」、現代の障子を「明かり障子」と呼び、区別していました。


拾翠亭 次の間
拾翠亭 次の間
和室の完成予想図
和室の完成予想図
 障子は遠く平安時代から日本の暮らしに溶け込み、豊かな文化を育んできました。これまでに様々な素材や機能、造形美をふんだんに取り入れ、今日では現代的なインテリアとして大いに見直されています。
 障子の特徴としては次に掲げるようなものがあります。
  • 半透明の和紙を貼り、直射日光を適度に遮り柔らかな光で部屋を包みます。
  • 木の桟と白い紙が織りなす自然の風合いに加え、幾何学的なラインの美しさが室内の空間を引き締めます。
  • 夜は照明の光が反射して、室内の照明効果を高めます。
  • 日射を遮蔽し吸収するので冬暖かく、夏涼しい省エネ効果が期待できます。
  • 暖房中の部屋で窓際が冷えることがありますが、内障子があることにより空気の冷却が減り、室内を快適にコントロールします。


 迎賓館に生きる伝統技術 

 障子の製作工程については、下図の通りとなっています。
■障子の製作工程
障子の製作工程
組み立て後の最終仕上げ
白書で墨を入れる作業
白書で墨を入れる作業
組み立て後の最終仕上げ
 京都迎賓館では上記の特徴を十分に生かし、和の空間を創出すべく、和室以外や回廊部分にも数多く使用されます。
 また框に漆を塗ったものや、上げ下げのできるもの、欄間や腰板のあるものなど様々な形状のものが使われ、随所に和風の趣が演出されています。

このコーナーでは迎賓館に生かされる伝統技術を紹介していきます。

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